日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

簡単な算数

2009年01月04日 | インポート
地方分権化の掛け声のもとに、実は中央集権化の一環として、まんまと市町村合併をさせられてしまった自治体では、経費削減策のひとつとして、例外なく、役所の職員数の削減を謳っておりそれを実行しつつある。

若い人たちの働き口が少ない田舎の自治体でも、類似団体の実態がそうなっているからということで右へならえということで、そのような愚かな選択をしている。

私たちの雲仙市でも同様だ。
10人の定年退職者が出たならば、3人だけ補充するという3割補充ということで、合併当初は約500人だった役所職員数を、合併後15年目には350人まで減数する予定だそうだ。

地理的条件から、地域の若い人たちの大量雇用に繋がるような企業の誘致もうまくいかないような地域においては、公務員という職業は、若い人たちが地域に根を下ろして生活するのに魅力的な職業の様に思われる。

それなのに、そのような若い人たちの職業選択の門戸を、これから先は150人分も減らそうとしている。
おろかな事だと私は思う。

簡単な算数の認識を導入すれば、人数は減らさなくとも、人件費の削減は可能であろう。

公務員の給料は概略で、年齢の数より2だけ差し引いた万円に近いという事を聞いた事がある。

だとすれば、定年退職者が1人出れば、若い新入職員を2人雇い入れたとしても、現状の人件費よりは減額になるはずで、単年度で考えれば人件費の経費削減は可能である。

しかし、終身雇用の仕組みが定着している公務員の給料は、勤続年数が増えれば確実に上昇していく。

民間では、その企業の収益が減れば、昇給無し、ボーナス無し、となり、それでも立ち行かなくなれば給料カット、更に最悪の場合には解雇という事もありうる。

公務員はそのようなことは無いのだから、せめて地域の民間企業の給与体系を参考にしながら、初任給を見直し、昇給率を見直し、給料にある程度の上限額を設定するようにすれば、職員数は維持したままで、かなりの人件費の削減は可能なはずだ。

初任給を見直して現在よりも低くし、昇給率を少なくして、ある程度の給料の上限額を設定したとしても、若い世代の市役所職員への就職希望者は相当数いるはずだ。

そのような事をきちんと納得できる人を採用すれば、その組織はそのような流れで維持できる。

中央では公務員改革と声高に議論しているふりをしているが、現政権はそれを本気で改革するつもりは微塵も無いばかりか、公務員の天下りを国家が堂々と斡旋できるような仕組みを作ろうとしている。

あきれ果てる。

中央ではそのような状況だが、私たちの身近な役所では、市長と議会議員と職員組合での合意が形成できれば、今年からでも実施できるはずだ。

今、公務員をしている雲仙市職員の人達は定年まで働くことは可能だが、これから先の雲仙市の若い人たちにとっては、市役所職員という雲仙市内の就職口が150人分無くなるということになる。

働き口が無ければ、他県の学校を卒業して地元に戻りたくとも戻れない。

若い人たちが戻ってくる事が出来ないような地域は人口が減り、やがては衰退していく。

私たちが住んでいる雲仙市は都市部とは違う。
田舎なのだという認識を持って諸施策を策定すべきで、中央の官僚が作った施策をそのままコピーするような愚かなことだけはやめてもらいたい。

雲仙市役所は簡単な算数の認識を導入し、可能な限りの工夫をして人件費支払額を減らし、職員総数は減らすべきではないと私は考える。

要するに、現在の350人分の人件費で、15年後には500人を雇用するという発想で工夫すればよいだけの話だ。
15年かけて、職員の人件費を3割減らすという簡単な算数だ。


豊田かずき