生まれ育った家の脇を、二級河川千鳥川が流れている。
子どもの頃には、その川に入って遊ぶのが日課だった。
川の両側が自然石の石積で、水中の石積の穴には、ツガネやウナギやナマズが隠れていた。
そのような穴に手を突っ込んで、素手で魚やカニを捕まえるというのが遊びの中心だった。
ある時祖母が、川に降りる石段の最下部の先に、洗濯用に設置していた平たい石の上流部分から、集めていたタバコの吸殻を揉みほぐして流し始めた。
次の瞬間、大きなウナギが白い腹を見せて、その石の下から姿をあらわした。
要するに、タバコのニコチンか何かの作用を利用した、極所的な毒流しを祖母はやって見せてくれたのだった。
それを見学していた小学生の自分は、あわてて川の中に入り、そのウナギを捕まえた。
そのウナギは、我が家の夕餉の食卓に、ぶつ切りの味噌炊きとなって出されて、家族の胃袋に収まった。
まだ我が家には、扇風機も冷蔵庫も、ましてや自家用車などは無かった頃の思い出。
その千鳥川は、昭和32年の諫早大水害の時に、私たちの住む集落にも、大きな被害をもたらした。
昭和32年7月25日、私が3歳の時だったが記憶に残っている。
その翌年から、川の神様に対する畏敬の念を込めて、私たちの「川端町内会」は、千鳥川の清掃奉仕活動を毎年行なうようになった。
従来は、その記念日である7月25日に、千鳥川の清掃奉仕活動を行なうようにしていたが、数年前から、7月まで川の中の雑草に手を加えないでいると、その繁茂により除草作業が大変だということから、春先に実施するようになった。
その、今年の千鳥川の清掃奉仕活動が今日だった。
朝の8時から、刈り払い機を持っている人は刈り払い機を使って、川の中に繁茂している雑草を切り倒した。
およそ1時間で完了。
そのあとは10時半から、町内会の公民館で、市役所の担当者の方からの、特定健診に関する啓蒙のための説明があった。
11時半頃からは、打ち上げの飲み会だったが、運転をしなければならないので、お茶でお付き合いをさせていただいた。
休みの2日間は、またたく間に過ぎてしまった。
草払いが終わった千鳥川の堤外地
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飛び石などが配置されて整備された千鳥川の下流部
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豊田一喜
子どもの頃には、その川に入って遊ぶのが日課だった。
川の両側が自然石の石積で、水中の石積の穴には、ツガネやウナギやナマズが隠れていた。
そのような穴に手を突っ込んで、素手で魚やカニを捕まえるというのが遊びの中心だった。
ある時祖母が、川に降りる石段の最下部の先に、洗濯用に設置していた平たい石の上流部分から、集めていたタバコの吸殻を揉みほぐして流し始めた。
次の瞬間、大きなウナギが白い腹を見せて、その石の下から姿をあらわした。
要するに、タバコのニコチンか何かの作用を利用した、極所的な毒流しを祖母はやって見せてくれたのだった。
それを見学していた小学生の自分は、あわてて川の中に入り、そのウナギを捕まえた。
そのウナギは、我が家の夕餉の食卓に、ぶつ切りの味噌炊きとなって出されて、家族の胃袋に収まった。
まだ我が家には、扇風機も冷蔵庫も、ましてや自家用車などは無かった頃の思い出。
その千鳥川は、昭和32年の諫早大水害の時に、私たちの住む集落にも、大きな被害をもたらした。
昭和32年7月25日、私が3歳の時だったが記憶に残っている。
その翌年から、川の神様に対する畏敬の念を込めて、私たちの「川端町内会」は、千鳥川の清掃奉仕活動を毎年行なうようになった。
従来は、その記念日である7月25日に、千鳥川の清掃奉仕活動を行なうようにしていたが、数年前から、7月まで川の中の雑草に手を加えないでいると、その繁茂により除草作業が大変だということから、春先に実施するようになった。
その、今年の千鳥川の清掃奉仕活動が今日だった。
朝の8時から、刈り払い機を持っている人は刈り払い機を使って、川の中に繁茂している雑草を切り倒した。
およそ1時間で完了。
そのあとは10時半から、町内会の公民館で、市役所の担当者の方からの、特定健診に関する啓蒙のための説明があった。
11時半頃からは、打ち上げの飲み会だったが、運転をしなければならないので、お茶でお付き合いをさせていただいた。
休みの2日間は、またたく間に過ぎてしまった。
草払いが終わった千鳥川の堤外地
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飛び石などが配置されて整備された千鳥川の下流部
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豊田一喜