川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

『扉をたたく人』

2009-09-03 20:39:09 | 映画  音楽 美術など
 「月」が死して虱(しらみ)を残してくれたため、妻が家中をバルサンで燻蒸することになりました。この2,3日かゆくてたまらなかったのです。弱ったネコの体に虱がわいたのだろうといいます。

 燻蒸中は家に居れないので妻に誘われてスカラ座に映画を見に行くことにしました。先日の『ミルク』と同じく朝、10時半からです。

 心に残るいい映画でした。

   『扉をたたく人』

映画館でもらったビラにはこうあります。

 01年9月11日に起きたテロ以降、アメリカは移民希望者や不法滞在者に対して厳しい措置をとるようになった。不寛容な空気が増し、その扉は硬く閉ざされて閉まったかのようだ。冒頭のシーンでの頑ななウォルターはその象徴に見える。
 しかし、彼は文化も年齢も職業も異なる人たちとの出会いによって、奥底に眠っていた人間らしさを取り戻し、再び生きる意味を見出す。それは、彼の心の扉をたたく他者からの思いやりであり、たたかれた扉を開くほんの少しの勇気だった。これこそが人と人をつなぎ、人生の扉を開く鍵なのだということをこの映画は私たちに思い出させてくれる。

 
 そのとおりだと思う。この「ほんの少しの勇気」が私たちの人生を限りなく豊かにする。

  ストーリーなどはこのHPをご覧ください。

 http://www.tobira-movie.jp/

 僕は数年前、退去強制処分を受けた昔の生徒・杜くんを東京入管に訪ね金網越しに面会した時のことを思い出していました。あたりに響く大きな声でやり取りしました。ほとんど通じない言葉です。10年ぶりに会う喜びと悔しいことだがいったん国法に従い、他日再来日する道を選ぼうと伝えました。心と心が響きあったような気がしました。
 彼は再来日を果たすことができ、今は平穏な市民生活を送っています。でも、僕も当時、この主人公と同じように、なぜ、善良な市民をちょっとしたミスで生じた「不法滞在」で長期に亘って警察や入管に閉じ込め、挙句の果てに強制退去させるのか、心の底で叫んだものです。

 この映画は移民社会アメリカの厳しい現実を描いてはいますが、そんな社会で生きる移民たちの他者を思いやる暖かさがアチコチに垣間見られて心地よい感動を与えてくれます。

 主人公も偶然のことながらこれらの人々と出会って人として蘇っていく喜びを体感します。ジャンベ(アフリカン・ドラム)をたたく人々の一員となる主人公の喜びの表情を見ていると、僕もああいう風にできるかもしれないな、と、励ましを受けたような気がします。

 この映画を見た方のブログがあります。時間がある方は参考になさってください。
  http://sorette.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-82d8.html