「板垣死すとも自由は死せず」
とは一言も言っていない。
壮士に刺された時、いたいがじゃーと
言って転げ回っていただけだ。
この男、自由民権の士というよりも、私
が個人的に興味が惹かれるのは、私も修
める土佐藩の無双直伝英信流宗家の縁者
である、ということだ。板垣の子孫は、
英信流宗家の血が流れている事になる。
もしかすると・・・。
吉田東洋を斬ったのは無双直伝英信流
宗家の谷村龜之焏ではないか。
彼の歴史年譜の流れからして実に何か
臭う。江戸で何により不心得と勘気を
上役から蒙ったかは、わが流派に於いて
も詳らかにはなっていない。
ただ、その後、殿様の御前に出てから、
またそこで再度罷免、失脚している。
これはですね、何かの政治的な事が潜ん
でいるように思える。時局からして。
ぷんぷん臭う。
そして、藩を牛耳っていた吉田東洋亡き
後、直後の翌年2月に谷村は一転して表
舞台に復活。
だが、やはり藩内の反動勢力によりその
年の10月に息子ともども暗殺された、と
いうのが歴史の真相だったりして。
藩内穏やかならざる時はどの藩でも大あり
だからなあ。暗殺の横行が。「病死」と
いうのはまず暗殺を疑ったほうがいい。
基本的に武士というのは人殺しなんて何
とも思ってません。これ、ホント。
そして、戦国時代から日本は毒殺大流行
です。
特に明治の戊辰戦争前の幕末のあの時代
は、テロリズムの時代だった。どこも
かしこもテロだらけ。
もっとも、武士自体がテロリストだしね。
何かあったら人を殺しちゃう。簡単に。
自分の命も軽ければ、他人の命も軽かっ
た。
幕末最大の案件は将軍と天皇の立て続け
の暗殺だろうなあ。
芋と串団子は悪どいぜえ。三つ葉もワル
だけどな。
まあ、政治に関与してるのは全員腹真っ黒
なんだよな。勝にしろ山内容堂にしろ。
せごどんも桂も高杉も、幕末政治関与者は
全員腹真っ黒け。
誰だい?武士が高潔だとか言ったのは。
狡猾の間違いだろよ、そいつぁ。