渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

CUE STRUCTURE

2022年02月09日 | open


このキューはデザインが気に
入っている。
撞球性能としては、キューが
よく切れる。

キューの内部構造はいろいろな
技法がある。
ビリヤードキューは大別して
上部のシャフト部分とジョイント
から下のバット部分に分かれる。
さらにバット部分は上からジョイ
ント、リング、フォアアーム、
ハンドル、スリーブ、エンドキャ
ップ、ダンパーゴム、となる。
バット部分にはインレイやハギや
リングが装飾的に仕込まれる事も
多い。私のキューなどはジョイント
リング下はすべてただの一本のメイ
プルであるので、棒のような物だ。
ただし、ただの棒ではない。
数十年寝かして、さらに入手して
から30年後に削り終えてパーツを
組み込んで糸巻きをして塗装した。
ただの棒ではなく乾燥棒だ。
軸心計測器で計測しても曲がり
ゼロ。

バットのうち、リアのスリーブ部分
には各キュー製作者の工夫が導入
されている。
バラブシュカは典型的に超長期使用
された程度の良いハウスキューを
原本ブランクとしていたので、合体
組み立てクラフトマンとはいっても、
入手素材からして違っていた。
必要十分にして長い年月で枯れに
枯れたメープルを原本素材として
キューをコンバージョン方式で
作り上げた。
彼は最初の一から作るビルダーでは
なく、コルト・パーカッションを
カートリッヂモデルにコンバージョン
改造して西部開拓時代に超絶普及
させたリチャード・メイスンのよう
なコンバージョン製作者だったのだ。
ゆえに、バラブシュカのキューの
性能が悪い筈がなかった。
あれ、1920年代のハウスキューを
原材ブランクとはせずに一から木材
の乾燥を待っていたら、バラブシュカ
の生きているうちには彼のあの伝説
的なアビリティのキューは生まれ
なかったと思う。
バラブシュカはデザインのファンシー
さで抜き出ていたのではなく、その
実力性能ゆえのキュービルダーと
して知る者は知っていた。

その後、1970年代末期から1980年代
初期にかけて、材木を家のような太い
原木から切り倒して製材して自然乾燥
させる従来の方法ではなく、人工的に
強制乾燥させる方法が楽器や家具や
木製道具の世界に登場した。
ビリヤードのキューもこの超短縮乾燥
の新工法に飛びついた。
結果、最初はよくとも、時間をかけて
乾燥寝かし削りを経て来たこれまで
のビリヤードキューとは異なり、
しばらくするとよく曲がった。

ひどいのはフィリピン製のキューなど
で、完成直後はまっすぐだが、ほん
の数か月でヘビがのたうったように
曲がりまくる。これは今でも。
気乾比重も何も関係なく、ただ材木
を切って適当に乾燥させて削って
キューの形にしただけだからだ。
かつて国内で詐欺行為を働いていた
森という者が手掛けるフィリピン製
のキューが今もフィリピンで製造
されてヤフオクで出品されている
が、十分に注意されたい。
出品先「海外」とある大量出品の
キューがそれ。
かつては「X CUSTOM」という名称
だったが、現在は別な似たような
名称でフィリピン製の悪質キューを
販売している。
入金したら連絡が取れなくなって
一人頭10万円から、何十人も詐取さ
れた被害者が多いので、十分に注意
してください。
現在は安物の手ごろ価格のキューで
荒稼ぎしようとしているようだ。
アカウントは複数持っている。注意。

さて、バットの構造なのだが、この
上掲のキューは変わったリアスリーブ
の構造をしている。
(一番下の図が上掲画像のバラブ
シュカコピーモデルの内部構造)

この一番下の図のキューの構造は
変わっていて、かなりキュー研究
の上において考察の勉強になった。
中空部分の木部にはネジが切って
あり、太ネジ山が合うウエイト
ボルトをねじ込むとバットバラン
スが任意に変更できるようになって
いる。
TADのようにウエイトボルトを使わず
に一本木でピタリと狙った重量を
出すのにはかなりのノウハウと材料
の選択が必要になる。
TADはバット材は30年ほど寝かせる
というが、それも頷ける。
私のキューも、一本木だが、狙い
通り、ピシャリと19.5オンスを出し
た。シャフトは125g物だと19.70前
後に収まる。
また、軽いシャフトだと19オンス強
程のセッティングになるが、私自身
の使い勝手の良さは19.5前後程度の
重量だ。私の自作キューは私のTAD
と寸分違わぬ重量とバランス配分に
してある。
そもそも30数年来の構想が、TADと
同じ外径(一般より細め)と重量
とバランスで使いまくりのシバキ
倒せるキューを作りたい、という
のが製作動機だった。
人の為ではなく自分自身の為だけ
のキューを作り持ち、それを使い
まくりたかったのだ。
外見などはファンシーでなくとも
よい。重くなるだけだ。ハウス
キューのような物でよい。
ただし、打球性能は秀でた物と
する。そうしたコンセプトだった。
ゆえに、キューの構造だけではなく、
まるで日本刀の押形(おしがた)を
採るように多くのキューのテーパー
を計測させてもらった。
多くの協力者の人たちがいたから
こそテーパー理論についての研究
ができた。
疵が着かないように金属ではない
樹脂ノギスで5ミリ単位で多くの
シャフトのテーパーを計測した。
また、そのシャフト個体は経年と
使用度数がどれくらいであるの
かも勘案してデータ化して来た。
ゆえに、私自身の私が持つテー
パーデータは私自身の為の物
であり、公開する気は一切無い。
また、多くのビルダーさんたちや
メーカーはすでにやっている事だ
ろう。そちらに私以上のデータ
の蓄積がある。

私自身がかつてキューリペアマン
と共同で開発した先角数種は、
外見上は全くのノーマルで、内部
構造は非常に計算された構造に
してあった。これも私個人の為
だけの開発。
開発要件のキモは振動をどのよう
に外周に振らずに中心に集めて
抜けさせるか、だった。
それを素材選択ではなく、構造
的な面からクリアするアプローチ
をしていた。加工は結構困難。
ただのチクワはめ込みポンや
ネジ込み接着で装着完了という
一般売りの先角ではなかった。
今はそのリペアマンが廃業した
ので作れない。私にはそこまで
の加工技術が無いからだ。
出来合いのパーツを取り付ける
ありきたりの先角加工しかでき
ない。いくら構想や着眼があって
も加工技術を有する人間がいない
とモノヅクリは成立しない。
リペアマンと練りに練って作った
先角を着けたシャフトは私の
所蔵キューのシャフトとして
現在は複数本を秘蔵している。
テーパーは私のオリジナルだが、
大昔のビルダーキューのテーパー
にやや近い。だが、決定的に
異なる点もある。
シャフトはブランクからの削り
物で、非常に良い物が何本かある。
すべては、私が撞き、違いを
感知して見識を深める為の物。
売り物でも進呈物でもない。
ゆえに、私が開発した先角を
着けた私のテーパーのシャフト
は、いくら気前よくザンボッティ
フルコピーのP.モッティさえも
人にプレゼントしようとも、その
スペシャル物を人に渡すつもり
は無い。自分用だからだ。
私は業者でもプロでもないので
それでいいと思う。
ただ、それらのシャフトを装着
したキューで撞いたプロプレーヤー
3名はそれらを絶賛していた。
もちろん、ノーマルソリッドだ。
3名ともソリッドシャフトの遣い手。
ただ、一人、元モーターサイクル
ロードレーシングライダーだった
撞球プロが使うキューのご自身で
育てたシャフトを着けたキューで
撞かせてもらったらぶったまげた。
お店のオーナーが私が行ったから
とプロに電話して、自宅でお休み
中なのにわざわざ呼び出してくれた。
撞かせてもらったら、これ、最高
じゃないすか、と驚いた。
その時はノギスを持っていなかっ
たのでテーパーは測れなかった。
8時間ほどそのプロの所属する店
にいて、4時間以上、二人で座り
込んでずっとバイクレースの話
をしていた(笑)。
彼は某チャンピオンの4気筒ワー
クスマシンのキャブを1個持って
いる。1個だけ(笑)。
ワークスマシンだろうとそういう
事はある。

このバット内部のウエイトボルト
方式というものは、バットキャップ
が接着不能のデルリンⓇを使用
したバラブシュカが採用していた。
TADなどは一本木にしてウエイト
は用いず、ダンパーゴムは木ネジ
で硬木のプラグ芯部にねじ込む
だけの構造になっている。
これは、できる限り木部内部に
金属を入れない方向性を採る事
で、木材の動きを妨げず、打感
を損なわない事が狙いだから
だろう。

この上掲のトップ画像のバラブ
シュカタイプの4剣キューのバット
のリアスリーブは、とても面白い
構造をしていて、キュー考察の
上でいろいろな発見を与えてくれ
た。
世の中、いろんな事を考える人は
いるものだ。
玉撞き棒のキュースティック一つ
とっても、内部構造は多岐に亘る。
スポーツで使う道具というものは
設計の発想を見ていると、とても
面白い。


ディフレクション考察 〜技の理(ことわり)〜

2022年02月09日 | open




剣技における刀術と撞球における
キューさばきにあっては、両者に
共通する現象と一つの真実が存在
する。
それは両者の技法の核ともいえる
ディフレクションについての考察を
成す事で筋道が見えて来る。
重要な事だ。



ヒントは画像の中にあり。
これ、乗れる二輪士たちの操縦に
関する操作とも共通する。

北京五輪 〜フギュアスケート〜

2022年02月09日 | open


本日の練習情報。
ちょい心配。

女子プロ 〜ビリヤード〜

2022年02月09日 | open


1988年に放送されたUSオープン
ナインボールの動画を観た。
関東で人気だった三浦陽子プロが
解説をしていた。
それがね、もう、かわいいの(笑
年齢は私のいっこ下。この放送時
は夏なので誕生日前の彼女はまだ
26才だった。多摩美卒。本来は
芸術家。確か彫刻やってた。
声が当時の松田聖子さんによく
似ている事に今更ながら気づいた。
そして、喋り方は増田明美さんの
ように品がある。
あー、こりゃ大人気だった筈だ(笑

放送ではエワ・マタヤが超絶美人
だった。


私はローリー・ジョン・ジョーンズ
がいいねーとか思ってた。


日本に招聘された全米女子プロの
エキジビジョントーナメントでは、
本人、目の前で見たらめっちゃ
可愛かった。


帝王マイク・シーゲルの奥方も
美人さん。なぜかモーター・
スポーツとビリヤードの世界は
奥さん美人というパターンがとて
も多い。


成人してからは高倉の健さんに
そっくりになった女王ジーン・
バルーカスも少女の頃はとても
愛らしい容貌だった。
この人、13才で全米オープンを
制した大天才。男子に混じって
ノーハンデですよ。歴史的な偉業。
この人とウイリー・モスコーニ
だけは歴史的に突き抜けた偉人と
いえる。
ジーン・バルーカスは体操選手で
いうならばコマネチみたいなぶっ
ちぎりで飛び抜けた実力を持つ
歴史的に稀有な人。
年齢は私のいっこ上。
撞球者としては現役。




試斬 〜撞球剣〜

2022年02月09日 | open
 
昨夜、友人からの誘いがあり、仕事
がハネてから相撞き。
久しぶりにオリジナルのハカランダ
キューを数ゲーム使ってみた。
1980年代のJOSSダン・ジェーンズ
のキューと同じ音がする。
 
3時間後に一名が帰った後、相方と
5先を3回やった。
使ったキューは自作LUKEキュー。
クゥーンという音がする。
この音はかなり精神的に個人的には
大切で、濁ったボンボン音のキュー
だとテンションが上がらない。
先角に象牙を使っていずとも、この
快音が出るキューとシャフトは木材
のアタリハズレによるので、なかな
か最初から選べない。刀と同じ。
日本刀も個体により大切れする物と
凡庸な平凡な物に分かれる。
ただ、キューの場合、音質はバット
エンドの構造にもよる。
デルリンは素の素材では叩くとキン
キン音がする。
そのデルリン等のバットキャップ
をどれくらい精度を出して芯の通
った木材に密着させるかが良音
現出
の成否となる。


昨夜の5ゲーム先取り3セット、私
が勝った。何故か知らねど圧倒的。
短時間だった。

チョーク 〜ビリヤード〜

2022年02月09日 | open

ビリヤードには滑り止めのチョーク
が絶対に必須だ。

これは1986年の映画『ハスラー2』
でも多く登場したナショナルのチョ
ーク。日本でもブランズウィックの
ゴールドラベルと共に定番だった。
サラサラした感じで、ノリも散りも
良い。

144個入りの12ダース1グロスが
もう残りはこれだけになった。
1986年からどれだけ玉撞きをして
きたのか。
無論、このナショナルだけを使って
来たのではない。それでももう残り
はこれだけ。これでオシマイ。
ナショナルは現在廃番。


このチョークが一番いろんな場面
で馴染みが深い。


ナショナルの箱は、今はチョーク箱
入れになっている(笑


極めて優秀だったのが、このブラ
ンズウィックの黒。通称黒ブラ。


このチョークもよく使った。
現在廃番。残りはもうこの1個しか
手元にない。優秀なチョークだった。


黒ブラよりもノリがよいのがシルバー
カップの座無しイラストのオールド。
現座廃番。


非常に優れたチョークだった。
現行品はカップに座があるイラスト
入りの物で、旧タイプとかなり質が
異なる。シルバーカップは旧型が良。
これも大量にストックしていたが、
もうあと残りは数個しかなくなった。
こちらは12ダースの大箱ではなく、
ダースの小箱で買っていた。


マスターチョークの緑。
一般的な現行品マスターだが、この
セージカラーのマスターはブルーと
はまるで質性が異なる。
サラサラとしていながらノリがとて
もよく、そして、撞くとパッとすぐ
に散り落ちる。これまでの中で最高
の質性。

これは私が仲間とクラブハウスを
持った際、ブランズウィック台を
設置してくれた大阪の業者さんが
オマケでハウスキューと共にダース
箱を4箱程クラブにくれたその残り。


撞球会倶楽部ハウスの撞球室。
5年間維持運営した。
国内初の運営形態でビリヤード
専門誌にも紹介された。
ブランズウィック台は穴幅1.7玉
にセット。渋い穴の華台とした。
結果、クラブ員全員のシュート
が飛躍的に上がった。


ヨーロピアンチョーク。
キャロム用。

柔らかいクレヨンのようにノリが
良いが、撞いてもパッと散らずに
手玉が汚れ過ぎるので、質量が小
さなポケットのボールでは摩擦引
きずりの「スロウ」が多発して厚め
に軌道が外れる。
なので、ポケットビリヤードでは
使わない。

謎のチョーク「パイオニア」。
あまり見かけないチョークだが、
これが何とも具合が良い。
大阪道頓堀の玉屋で貰った物。
もうこの1個になったので、あえて
使うことはしない。資料保存。


チョークというものは、同じ品番で
あっても、ロットにより焼成具合が
異なり、ロットごとの個体差が出て
まう。
現実には「アタリ」と「ハズレ」が
あるのだが、上掲のブランズウィッ
クの黒やマスターのセージカラーの
チョークはかつては定番廉価ながら
極めて優秀な性能を持っていた。

チョークとは、平均1個150円程で
あり、それが適正価格だ。
現在、タップを高級品として暴利で
販売するビリヤード業者だが、最近
ではチョークに目をつけて、さも
究極至高のチョークかのように宣伝
して1個2700円程で販売している。
極めて由々しき所業であり、とても
馬鹿らしい事だ。
チョーク生産の製造元は同じだ。
だが、多少成分と焼成具合を変え
させた物をオリジナルブランドと
し、通常の20倍近い金額で販売し
ようとするその商魂。
150万円の軽自動車を3000万円で
「これは最高の車です」と言って
販売しているのと全く同じなのだ。
タップもそう。
いくら張り合わせの手間がかかる
とはいえ、1個2000円台後半の
タップなどは暴利も甚だしい。
タップなどは消耗品であり、1個
1000円以内あたりが適正相場だ。

ビリヤード業界は「高級」「特別」
「特権」等の人のいやらしい意識
をくすぐりながら商品販売をして
いるとても露骨な業界で、およそ
健全なスポーツの世界とはいえな
い面も多くある。
業者そのものが、客からどうやって
むしり取るかばかりをごく最近は
考えている。
こうなったのは今世紀に入ってから
だ。
ネオコン台頭以降に世界の商業人
の性根が露骨にえげつなくなって
きているのは日本のアキンドたち
だけの事だけではない。
全世界的にグロくなってきている。
グローバルとはグロテスクのグロ
なのかという程に。

私はチョークは1個2000数百円など
という馬鹿げた物は使わない。
現行普及品で十分だ。
黒い化学シャフトもグローブも使わ
ない。
なぜならば、全て「売らんがな」の
ためのイメージ商品であり、流行り
廃りの類の消費物体だからだ。
それに乗るつもりはさらさらない。

アマチュアだからそれができる。
自分の自由意思による選択を断行
できる。確固たる信念を貫徹して。
プロというのはヒモ付きなので、
いろいろ大変だなぁ、と思う。
自分の意思とアイデンティティを
企業に売り渡すのだから。
そして、軒並み手袋着けて、ねっ
とりチョークを使って、黒いシャ
フトに最新「高級」タップを着け
て広告塔となる。好きな作者の
キューさえ使えずに。
そのあたり、明らかにアメリカン
テイストとも異なる。
JOSSがシーゲルとバーナーを
サポートした頃の企業媒体の姿
とは。