Efren Reyes vs Earl Strickland
$100,000 The Color of Money
Challenge Match Part 1 of 5
私は見逃さない。
選手紹介直後に、世界チャンピオン
エフレンが「お!このチャンネー!
いい女」という目線だった事を(笑)。
一番大切な所で間違った事が書
かれていることがあったりする
のですが、きょうはビリヤード
のオハナシです。
ほぼ100%のビリヤード教則本
は間違ったことを書いている
部分があります。
それは、撞球というのは「キュー
を真っ直ぐに出して撞く」という
のが基本中の基本なのですが
(手玉に特殊な動きを求める
ためにわざと横に払ったり、
上から撞いたりするショット
もあるが、基本は水平)、その
際の説明部分が大抵は不完全なの
です。
<振り子の原理の誤りについて>
大概の教則本は「キューは地面
と水平に」と書いてあります。
これはいいのです。基本的な事を
ごく初心者に教えるにはキューは
できる限り床と水平に保つとする
説明は間違いではない。
だが、次が問題なのです。
手玉と的球の重なり具合の厚み
を見て、キュー先で撞き出す
手玉の撞点(どうてん)にタップ
を狙いすまして、そして撞く。
撞く前には撞点が狂ってないか、
厚みがずれていないか、キュー
出しのストロークがぶれていない
かなどを確かめるために、ゆっく
りとキューを前後に何度か振りま
す。
この撞く前の予備ストロークの
時に教則本は「肘から吊り下げた
振り子のように振る」と必ず書い
てあるのです。「吊り下げた」は
正しいのですが、「振り子」と
いう表現が大問題なのです。
さらにその振り方で「キューは
床と平行に」と教えようとして
いる。
人間の肘から下は伸びたり縮ん
だりするゴムではないのですか
ら、これはできません。物理的に
不可能。
振り子のようにキューを振った
ら、テイクバックの時はキュー
尻が上がり、撞き出しの時も
キュー尻が上がってしまうの
です。
つまり上下方向に対して斜めに
キューを撞き出すことになります。
キュー出しの理想形は下図の
赤ラインです。
インパクトポイントは肘の真下
に拳が来る位置が基本ですが、
様々なショットによっては、あえ
てずらすこともあります。
肘を動かさずキューを水平にスト
ロークするためには、振り子の
ように振っては水平ストロークに
はなりません。
海外の動画サイトなどでも初心者
にストロークを教える動画など
このような誤った説明が多く
アップされています。
撞き出した時にこんなにキュー
尻が上がってしまっては、キュー
のシャフトはブリッジで固定
されているのですから、キュー
先は「水平」ではなく狙った
エイミングポイントよりも下に
撞き出してしまうことになりま
す。
それなのに肘を固定して撞く
ように指導する。
下に撞き込むとどういう現象が
起きるのでしょうか。
それは、水平撞き出しと手玉の
同じ場所(撞点)にタップが
当たろうとも、キューの延長線
上は下に向かっているので、実質
は下に対するスピンをかけた事
になり、マッセと同じような
現象が起きるのです。
的玉との厚みが合っていれば、
これでも的球はポケットイン
します。
しかし、「ドローショット=
引き玉」になるので、手玉の
次のポジショニングは引き玉
の軌跡で組み立てないとなら
なくなってくるのです。
さらにキューを立てた場合は
わずか1ミリでも撞点が左右
にずれると手玉にカーブが出
てしまう。これもショットが
マッセと同じになっているか
らです。
しかし、「床に水平に撞く」と
いうのは一般論(あくまでも
一般的なショット)としては
正しいでしょう。
ではどうすればよいか。
それは、腕の回転する部分で
ある「肘」と「肩」を連動さ
せて、肘を動かすのです。
但し、同じ回転する関節でも、
肩の位置はそのままで肘の
位置は回転しながら前に送り
出します。
さらに、キューの握り方(本当
は握らない)も大切で、ムンズ
と握り締めていてはキューも
利きませんし、振り子原理で
キューが上下に動くことになり
ます。
そのキューの上下運動を押さ
えて水平に撞き出すためには、
「手(掌と指)」を使います。
具体的にはどういう使い方を
するかというと、テイクバック
の時に手の指は、指を揃えた
ジャンケンのパーというか握手
を差しだす時の手のような
(あるいは敬礼のような)状態
にして予備ストロークと同じ
軌道にキュー尻を持って行きます。
そして、撞き出す時には肘を
前に送るような感じにするの
です。キュー先で撞くのでは
なく、キュー尻を真っ直ぐに
手玉に当てるような心持ちで
キューを運びます。
力ではなく、しなやかに、手の
内を利かせて、キューの重みを
手玉に伝えてやる気持ちで切れ
よくスパンと撞きます。(繰り
返しますが力ではありません)
この画像のショットは、2番ボール
取り出しの後、3番と4番が重なっ
ていて、次に入れる穴が限定され
ているため、「狙った通り」に
2番を入れながら手玉で3-4番を
割りに行ってます。
そのため、通常の引き玉では弱い
ため、勢いのあるいわばマッセの
ような活力ある手玉のスピン
ドローが欲しいので、やや意図的
にキューを立てて下に撞き下ろす
ドローで手玉に強いバックスピン
をかけています。
そして、結果は狙った通りの角度
で3-4番に当てて取り出し易いよう
に割っています。偶然に「割れた」
のではなく、狙った角度で手玉を
当てて「割って」いるのです。
(すごい色のラシャですね(笑)。
ただし、この店はこの台のラシャ
のみがシモニス860でラシャが
とても重くて玉走りが悪いため
キュー切れの差が出やすく、また
ポケットも渋めのため、この店で
は好んでこの台で撞いていました)
ビリヤードはキャロムビリヤー
ドもポケットビリヤードも
手玉を制御して自在に操る
のが技術の中心コア部分です。
勿論、キャロムは手玉を的球と
先玉に当てること、ポケットや
スヌーカーは的球を穴に落とす
ことは大前提で、そうした当た
り前のことの先に「手玉を次に
どこに持って行くか」という
命題があり、その命題こそが
ビリヤード(キャロム、ポケッ
ト共に)の主軸となって来る
のです。
勿論、的玉を入れながら手玉を
任意の場所に運ぶのは、台上の
玉をすべて取り切るためです。
ナインボールもテンボールも
ローテーションも14.1ラックも、
1キューですべてを取り切るの
が理想形です。
先玉に当てる、穴に入れるの
は当たり前。メインディッシュ
はその後に控えているのです。
でも、先玉に当てたり(キャロム)、
穴に入れたり(ポケット)は、
決して前菜ではなく、メイン
ディッシュに限りなく近いもの
でもあるので、キャロムならば
当ててナンボ、ポケットならば
ポケットインさせてナンボの
世界でもあることも確かです。
ただし、A級クラスになるとめっ
たなことでイージーな玉は外
しません。SAやプロになると
もっと外さないし、極めてシ
ビアな玉撞きをします。
AとSAとプロは「ボウラード」
などをやると点数はさして変
わりませんが、Aとプロでは
「玉の取り出し」、「テーブル
の支配の仕方」、「手玉の制御
の仕方」がまるで違うことが
多いのです。
つまり、野球のプロ試験で50m
走、100m走、遠投、打撃に
おいて現役プロと同じような
記録が出せても、現役でプロ
の世界で活躍している選手は、
基礎体力や技術ももちろん
優れてはいますが、「試合」
における「組み立て方」、
「敵軍攻略の仕方」、「作戦
の抽斗の多さ」「技術の発揮
のしどころ」がアマチュア
とはまるで違うのです。
プロはプロフェッショナルで
すから、プロとしての「戦う
ための奥深さ」を備えている
のです。
ただし、ビリヤードの場合、
プロ試験はボウラードで一定
得点が出せて、学科も受かれば
プロ試験は合格します。
しかし、問題はプロになって
からどうなのかであり、トー
ナメントプロは全国を回る試合
のツアーで勝負の世界に入るの
ですから、やはり資格試験の
ようにプロ試験を受けただけ
ではないのです。「選手」で
あることこそが本当のビリヤー
ドのプロといえるでしょう。
そして、本来はプロスポーツ
はその専門職のみで生活が成り
立つべきなのですが、ビリヤー
ドの場合はなかなかそのよう
な環境にはなっていません。
さて、ビリヤードの基本は
「水平に」「キュー先から
キュー尻まで」「真っ直ぐに」
撞き出すことです。基本は。
撞くためにはキュー先が移動
する「撞き代」が必要で、タップ
と手玉がヒットした後もキューを
前に出す気持ちで撞きます。
ゴルフや野球のスウィングと
同じ、日本刀の切り下ろしと
同じです。慣性力を伝えてやる
ためには当たったところで
ピタリとは止めない。
これをフォロースルーといいます。
ビリヤードの場合はテイクバッ
クからインパクト、そしてフォ
ロースルーが一連の動作の中で
淀みなく一直線に成される事が
大切です(意図的にスィープ=
掃くように払うショットもある。
これは横払いや上払いがある)。
そのためには「振り子理論」は
厳密には百害あって一理なし
といえるかも知れません。
<キュー切れについて>
手玉に活力ある動きをさせる事
を「キュー切れがよい」とか
「キューが利く」とかビリヤード
では表現します。
キャロムビリヤードのスリークッ
ションやアーティスティックでは
キューが切れなければ競技になり
ません。
また、ポケットにおいても、自在
に手玉を押したり引いたり、ある
いは横のスピンをかけたりしない
とならない場面が多くあります。
その際には、やはり「キュー切れ
よく」撞く必要があります。
手玉のド真ん中を撞くのは始め
たばかりのごく初心者のみの段
階で、手玉を自在にポジション
しようと思ったら、手玉の上下
左右の撞点を撞いて手玉にスピ
ンをかけて、的玉をポケット
した後に手玉を次の的玉を入れ
やすい場所まで移動させます。
これを連続してすべての玉を繋
いでいくのがポケットビリヤー
ドで、それをポジションプレー
と呼びます。
ポジションプレーのためには
手玉の制御が絶対に必要です。
自在に任意の場所に手玉を
持って行ける技術がないと全部
の玉をノーミスの1キューで取り
切ることができないからです。
対戦相手も全部取り切る腕と
気持ちを持っているのが常です
から、相手に一度もキューを
握らせないつもりで撞き抜く
事がベストです。
キューを切らすには、あまり
手玉の端っこを撞いてもキュー
は切れません。
ドローなどは下を撞けば撞く
ほどスピンがかかると思い
がちですが、実は若干(ほん
のわずか)キューを立てて、
手玉の真ん中寄りの下を突き
抜きます。その方がトルクが
乗ったショットとなり、キュー
が利くのです。
こうした特殊なショットの場合
は、キューは水平ではなく
「立てぎみ」に撞き出すように
します。
フォローショットの場合は、
下から上へ撞き上げるショット
はなかなか困難ですので、キュー
をできるだけ水平にして真ん中
寄りの上を撞くと端っこの上を
撞いた時よりもキューが切れます。
ただし、手玉が完全にラシャに
接地しているならば、押し玉に
限り最初の撞き出しの瞬間から
手玉は完全円周回転をします。
シュルシュルとスピンしながら
進むことは物理的に現象として
あり得ないということが実験から
明らかになっています。手玉が
一度止まったように見えて、
そこから一気に強烈な前進を
開始するのは、あれは実は手玉
が微妙にラシャから跳び上がって
空中で空転しているのです。
ただ、ドローの場合は接地して
いても逆回転の空転スピンがか
かります。不思議ですね。
このフォローショットが撞き出
した瞬間から完全円周回転をす
るという物理現象についても、
旧来のビリヤード教本は誤った
記述で「強烈な前進回転により
スピンしてそして前に進む」
というようなことをどの教本も
書いてあります。
しかし、これは近年のハイスピー
ドカメラによる実験で、物理現象
としてはそうなっていない事が
発見されました。押し玉に限っ
ては、手玉がラシャに接地して
いる限り、最初から手玉1回転分
で円周の距離を進むのです。車や
バイクのホイルスピンのように
ギュルギュルと止まって回転して
いるように見えるのは、実は
手玉がラシャを離れて空中で
空転しているだけだったことが
科学的に判明しているのです。
そのジャンプが撞いた瞬間に
は肉眼では視認できなかった
ので、フォローショットにおい
てもドローと同じように手玉が
ギュルギュルとその位置で回転
しているように今までは錯覚
していたのでしょう。
ただし、教則本のほぼすべてが、
重版を重ねても、その部分に
ついて訂正をしていません。
それと、「キュー切れ」という
のは、なにも手玉がギュイン
ギュインと台上を走って動き
まわるのが「キュー切れ」では
ありません。
手玉の移動距離が短くとも、狙っ
た通りにキュッ、キュッと生き
物のように手玉を動かして止める
という活力ある手玉の動きを
キューさばきによって実現する
ことを「キュー切れ」というの
です。
そういう意味ではパンチショ
ットで手玉を横に出す技術や、
「殺し玉」と呼ばれるしなやかな
下撞き逆回転が的球に当たる瞬間
に正回転になるために的玉に当た
った瞬間にストップショットに
なる撞き方も「キュー切れ」の
範疇にはいるといえるでしょう。
逆にキュー切れの悪い、キュー
を利かしていない玉というのは、
手玉がコロコロと慣性で転がって
自然に止まる玉で、意図的に
そういう撞き方をしたのでは
なく、常にそのような転がし
玉を撞くのは「キュー切れ」が
ほとんど無い撞球といえるで
しょう。
キュー切れよく、キューを利か
せて撞くと、押しのスピンで
平撞きなのにマッセのような
円弧軌道を描かせることも容易
にできます。エフレン・レイエス
がよく使う玉筋。
押しが利いているのでクッショ
ン側からはバックスピンとなる
ため、ピタリと狙うところに失速
させて止められるので、転がし
玉よりもある意味楽で確実な
取り出し方でもあるのです。
こちらはフォローの練習をして
いるようです。
キューが切れているので、手玉
の動きをよく見てください。
キューが良い音がしていますね。
この人のキューもフェルールは
象牙なのかもしれません。
注目してほしいのが、力を抜い
て、しなやかに撞いた時のほう
がキューが切れていることです。
良いショットと良くないショット
がどちらも動画に収まっています。
キューを真っ直ぐに水平に撞き
出すためには、肘を固定する
「振り子理論」は誤りだと断言
できます。
そして、事前ストロークも、場合
によっては必要がないこともあり
ます。
ただし、2~3回の事前ストロー
クでタイミングを計ったり、
キュー出し方向が合っているか
を確認するのはショットの正確
性を期すためには有効で、その
意味で一般的には事前ストローク
をすることを基本としているの
だといえるでしょう。
マッセなどの場合には何度も
事前ストロークしますよね。
あれは、それだけ「ミスが多い
ショット」だから、事前スト
ロークで何度も確認している
のです。勢いをつけるためでは
ありません。
それと、上級者は自分のリズム
を持っているので、毎回ほぼ
同じ事前ストロークでリズムを
刻みます。これはエフレン・レイ
エスの「スッスッスーッスッ、
スコーン」という彼独特のリズム
などがそうで、アール・ストリッ
クランドなどのプレーヤーたち
も自分独自のリズムを刻んで
からショットを繰り出しています。
もちろん、私にも私独自のリズム
と事前動作があります。
きょうは、「あまりビリヤードを
知らないけど、ちょびっとだけ
やったことがある」という人向け
のビリヤード四方山話でした。
私は上級者ではありませんが、
年季だけは入っているので(笑)。
ビリヤード、フライフィッシング、
オートバイ。教則本には嘘が多い
のが事実です。
嘘を嘘と見抜けるように真の実力
と眼力をつけましょう。
オマケ。
タコ踊りのダンスをするような
私のストローク前の妙な事前
動作(笑)。
でも、これは脱力させる為の
準備動作なのです。フンワリと。
汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
(by 中原中也)と。
世界グランプリはコンチネンタル
サーカスですが、ビリヤードも
サーカスのブランコなのです。
オートバイもビリヤードも腕は
脱力させて、たんたんタヌキの
ぶーらぶら。これ極意で奥義。
フランスのホテルの部屋にあった
の紅茶、めっちゃうまい。
ブルーアイズのにゃんタマの目は
とっても綺麗なのさー。宝石みたい。
ないんだけどね。周りにジャー
マンブルーぽい外輪もうっすら
と入ってるし。
明石大橋を渡り、本州から淡路島へ。
空が良い。
年末の近畿への挨拶回りだ。
これで今年2012年は仕事終了。
うむ。空が良い。
640キロ走った。
帰らず、どこかに泊まるか。
結局ここに来た。高松の「ビリ
ヤード吉田」。
穴せめぇ~(笑
ドキウコ(撞球会)くらいかな。
でもって、撞く。仲良しの朝まで
撞いて朝うどんをいつも一緒に食う
マスターがキュー貸してくれたよ。
すごいね、このキュー。俺が一番
欲しかったはこのザンボッティの
デザインだ。奥村モデルみたい。
う~ん。奥村さんのは、S字イン
レイがフラットだったかな。
よく覚えてないけど。
店のお客さんのA級の人が相撞き
してくれました。ありがとん。
ビリヤードの面白さはね、キュー
を持っていろいろな店に立ち寄る
のよ。ふらりと。きょうは持って
ないけど。
それがまるで武者修行のような
感じで、そこで一人で撞いている
と、必ず誰かが「よろしかったら
ご一緒に」と声をかけてくれるの。
声をかけるまでは大抵こちらの
腕を見計ってるのね。これが昔
からの「玉屋」の風習なんだ。
たぶん賭け玉の時代の名残りなの
だろうけど、「素玉(=賭けで
ないスポーツ)」だとしても、
大抵今でも声をかけてくれる。
もしくは、店主がお客さんを紹介
してくれる。
その場面で問いかけられるセリフ
は不思議なことに日本全国定番だ。
「普段はどちらで撞いていらっ
しゃるのですか?」
必ずこのセリフが出てくる。
「いずれのご家中か」
みたいな感じで。
このセリフが全国版だという事は
西日本に引っ越してきてはじめて
知った。
私は都内のほぼすべての撞球場で
撞いたが、どこでもこのセリフ
が存在した。
また西日本では、大坂でも、中国
地区でも、四国でも、九州でも
このセリフを投げかけられた。
このセリフはアマもプロも問わず
投げかけてくる。一人で撞いて
いると、プロも大抵はこのセリフ
で声をかけてくれる。
ただし、こうしたやりとりが行な
われるのは本式のビリヤード場=
玉屋だけのことだ。
数年前から登場したネットカフェ
やアミューズメントのような本物
ではないビリヤード台が置いてある
「遊び場」ではこうした文化は
一切ありません。玉撞いてるの
素人さんばかりだし、そういう
本式でない場所は。
場所がなくて仕方なくアミューズ
メントで撞いていてもちっとも
面白くない。「文化」が皆無だか
ら。
この今でも残っているビリヤード
文化は日本だけかと思ったら、
考えたら映画『ハスラー』でも
「どこの出身だ」というミネソタ・
ファッツのセリフがあったので、
アメリカ合衆国でも似たような
文化がかつてはあったのかも知れ
ない。
だが、『ハスラー』から25年後の
1986年の『ハスラー2』では、その
ようなやりとりが一切なかったの
で、合衆国ではすでに80年代には
すたれていたことが推測できる。
最近、2012年現在では、戦隊物が
アメリカでも大流行らしいが、
アメリカ人が不思議そうに言って
いた。
「なぜ登場の時に自分の名を名乗る
のか」と。
あれね、あれは日本の伝統的な風習
なんだよ、サムライからくる。
と説明したが、でも「なぜ」という
のは理解が及ばないようだ。
名乗って正々堂々の一騎打ち、と
いうのは、英仏人には理解できて
も、騎士がいなかった合衆国の人
には理解しにくいみたいよ。
日本のビリヤード場での「撞ける人」
同士のやりとりは、昔の侍のやり
とりのようでなんだか面白い。
こういうのは、この世界の中に入ら
ないと、つまり一歩踏み出さない
と知りえないことだろうと思う。
本式に玉を撞く人というのは、どな
たもとても礼儀正しいしね。
ポケット・ビリヤードも礼儀正し
いけど、キャロム(穴なし台で
撞く競技)の人はもっと礼儀正
しい。
ただ、最近世界的には強いフィリ
ピンのプレーヤーはそういう礼儀
は一切ない。
フィリピンではビリヤード=バクチ
だから、礼儀など育つわけがない。
実際にフィリピン・プレーヤーと
競技してみたら、あまりの文化の
違いに驚いたよ。
わざと台汚したりチョークの粉を
落としたり、こちらが撞く直前に
音を出したり等々、汚い手管使う
の当たり前だし、マナーもへった
くれもあったものではない。
ガレゴあたりなんかまんまそれ。
あまりにしどいので、一度目黒で
スボコにしたけど。
正々堂々と勝負して勝ちたい、と
いう映画『ハスラー』の中にあった
精神、というものはまったく存在
しないのがフィリピン式のプレー
だよ。
あと中国人ね。ビリヤード後進
国だった中国は、最近、ここ
2012年時点で国家的テコ入れ
でものすごい躍進しているようだ
が、90年代後半のブクロあたりに
いた大陸中華の人間もエグかった
なぁ。プロなの隠して素人から
むしっていたしね。ゼニカネにしか
興味がないみたい。「社会主義」の
国の人間なのに(笑)。
中国人の女性もゼニカネがすべて
の判断軸で、「すごいね~。この
ニセモノの社会主義の国の人間
たちは」と思ったよ。
ビリヤードでは、フィリピンとか
中国を相手にすると、勝っても負
けても、まったくもって気分が
良くない。
そりゃあ勝負の世界は勝ってナンボ
だろうけど、小汚い手を使ってで
も勝つというのは、日本の撞球師
には馴染めないのではないかなぁ。
それを指して「日本のプレーヤー
は甘い」とか言う日本人もいるけど、
俺はそうは思わない。それで勝って
も、それはそういう手で勝ったので
あって、本来の技術力で勝負した
ことにはならないでしょう?
サッカーの強い国の人間が、プレー
中に対戦チームのメンバーのユニ
フォームを審判に見えないように
掴んでいて、それを指して「勝ち
方知ってるよな」と言った人がいた
けど、それって違うと思う。
ビリヤードでも、技術力で勝負する
のでなく、小汚い手を使って勝ちの
助けとするとというのは、あくま
でも小汚い手が長けているかどうか
であって、本筋のビリヤードの
技術での勝負ではないでしょう?
ボクシングでも、頭突きしたり
「ええか。肘で目狙っていけ、目」と
かいうのは、そうまでして勝ちたい
のはなんなの?なんだか、外道その
ものに思えるのよ、私は。
でも、プロスポーツのボクシングの
世界でもそれを平気でやっちゃう
人間がいるのだから、えげつなく
ひどい話だ。
武術でも「勝ちゃあいいんだ」と
いうのを旨としている人もいるみた
いだけど、どうなのかなあ。大切な
「名誉」は守られないよ、それで
勝っても。まあ、武士らしくは
ないし、誹りは受けるだろうね。
映画『ハスラー』の中でも描かれた
「金は関係ない。金が絡まないとこ
ろで真剣勝負がしたい」と表明して
頭がいかれてると思われたエディ・
フェルソン(ポール・ニューマン)の
心意気というものは、そうした気概
が銭金にのみ囚われた人たちの世界
の中で孤独感にさいなまれていき、
「本当とはなんだ?」「本物とは
なんだ?」という映画のテーマに
さえなるほど輝きを持っていた。
映画『ハスラー』はアカデミー賞に
ノミネートされたが、残念ながら
その年のアカデミー賞は『ウエスト・
サイド・ストーリー』だった。昔は
いい映画が多かったね。
しかし、勝負の本筋に何を求めるか
を見誤ると、俗人たちの暗黒面に
支配されてしまうように思えるのよ
ね。こうしたことはビリヤードでも
武道でも同じ地平にあるように思える。
囲碁や将棋はいいよね。真っ向勝負
だから。
ビリヤードの世界では、アミューズ
メントではない「玉屋」には、まだ
名を惜しむ気風が残っているから、
俺は好きさ。
私は全長60インチ=153センチの
長さのロングキューを普段使って
いる。
気をつけして立って、キューを直立
させるとちょうど顎下にキュー先が
収まる位の長さ。
これが非常に調子がよい。
ボウラードでもしっかりと「撞く」
ことをしないと撞球は駄目。
ボウラードはエニーボール系のプール
なので、手玉の動きが命。
ボウラードのコツは、とにかくブレ
イクにある。
ナインボールなどは次の玉が決まっ
ているからサクサクと取って行ける
が、ボウラードは14.1のように考え
ながら構想を練る。だが狭く限定せ
ずに常に「アンド」を考えて。
そして、オープンフレームを出さな
ければ絶対に100点アップ、150点
アップ、200点アップは誰でもでき
るようになる。
ボウラードはボウリングと同じ計算
方法なので、インフレ計算になる。
同じ1フレーム9個落とすのでも、
オープンにしてしまうのとスペア
では点数が全然違ってくる。
10フレームまで終わって落とした
総玉数が同じ90個でも、スペアと
ただの9個では全然点数が違う。
倍近くも違ってしまう。それが
ボウリング計算方式のボウラード
だ。
日本人が考案した。プロ第一期生の
藤間プロが。
ボウラードの計算方法はボウリング
と同じで特殊なので、絶対にオープン
フレームを作らずに、スペアで必ず
2キュー目には取り切ることが大切だ。
事と次第によっては途中で連続ポケ
ットを捨ててでも塊を割りに行く
ことも必要になる。入れながら割る
のが一番よいが。
とにかくエーチャンのように「黒く
塗りつぶせ」がボウラードのキモ
なのだ。
黒く塗って行けばすぐに150点アップ
は出るようになる。
ストライクをいくつか連続させれ
ば200アップもすぐに出る。
なので、ボウラードはシュート力を
磨くゲームとはならない。
私が考えた得点訓練ゲームがある。
ボール15個を使って10フレーム
までのゲーム。2005年考案。
1フレームを2キューまでとして、
全部取り切りで150点。
これはボウラードのインフレルール
が無いので直にシュート力の実力が
判る。1フレームでのボウリング式
スペア加算やストライク加算は無し。
1フレーム2キューの合計点を合計
10フレーム足して行くという方式。
私自身はこれを「シューティング」
と名付けて、遊びで自分自身時々
やっている。
ボウラードのボール10個より増える
ので、台上で渋滞が起きるためボウ
ラードよりも一気に難しくなる。
A級ならば15個を1キューで取りきる
だろうが、それについての倍加算は
無し。
総合計140点以上でA級クラスあたり
だろうか。
<シューティング>
(下段左側がそのフレームの合計点。
下段右側がそれまでの全合計点)
全米トッププロの14.1ラックでは、
最後1個残しで入れてブレイクし
ながら80点ランや100点ランは普通
に出している。150点撞き切りなど
もトップはやっている。
私などは14.1ラックでのハイランは
45点しか出したことがない。
ウイリー・モスコーニなどはどれ
くらい取り切れるか挑戦し、526点
ノーミスで撞いて「疲れたから
やめた」というギネス記録を残し
ている。しかも渋滞が発生しやすい
難しい7フィート台で。
ストリックランドが7フィート台で
挑戦して、240点あたりから「頭が
おかしくなりそうだった」として
中止している。
ただし、ボウラードで高得点が出る
ようになっても、ナインボールや
テンボールの試合で強くなるわけ
ではない。
14.1ラックで強くなるわけでもない。
ボウラードはシュート力というより
も、集中力と自分のコンディション
を維持するゲームだ。
ちょっと撞けるようになると200点
アップもたやすくなるが、それを
3ゲームも続けて1ゲーム210点以上
の点数を取ることをプロたちは楽々
と超えて来てプロ試験をクリアして
いる。
そこに撞球手としての一般人との
違いがある。
それと、プロ試験はあくまで通過
試験であって、そこから同じ土俵
で年間ツアーで他者より強くなら
なければならない。
これは相当な鎬の削り合いとなる。
真っ向勝負だ。
だからプロスポーツは面白い。
本当に真剣に実力を出してぶつかり
あっての勝負だから。
せこい賭け玉のダイムゲームでは
なく。
ウィリー・モスコーニ(1913-1993)
アメリカン・ポケット・ビリヤードの
歴史上、彼を超えるプレーヤーは、
まだ登場していない。
映画『ハスラー』(1961)を昨日観て
いた。
もう何度観たかわからない。
100回などではきかない。
ネットが無いビデオ時代には観過
ぎてテープがお釈迦になった。
ネットなどは世の中に無いどころ
かスマホは勿論、携帯電話さえない。
オープニングから36時間に及ぶ
エディとファッツの対戦終了まで、
セリフを全部覚えた。
ちょうど年上の相撞き仲間も鬼の
ように観まくって、同じあたりまで
台詞を覚えていた。
ネイティブ米語なのでヒヤリング
が覚束ない部分もあったが、私は
すべてノートに書き出した。
ネットさえないのでシナリオなど
は手に入らなかった時代だ。
何度も観ていたら、日本語字幕
スーパーはかなりの部分でテキ・
トウスケ先生である事が判った。
DVDが発売されてからも見まくった。
特に二枚組は日本語吹き替え(部分)
バージョンが収録されているのと、
製作者の全編解説、それと2000年代
に入ってからの出演者の製作秘話
インタビューなどが収録されて
いるのが秀逸だった。
だが、日本語の字幕は、かなりその
二枚組バージョンでもはしょって
いる。日本語吹き替えはいい線いって
るのだが、やはり一般人にも分かり
やすいように専用言葉は省略して
いる。
日本語字幕バージョンはいくつも
あるのだが、NHK BSで放送された
時の独自字幕がかなり正確だった。
笑えたのが、15回も世界チャンピオン
になったウィリー・モスコーニが
本作品の技術指導をしているのだが、
キャストとしても本人役で出演して
いる。
その世界王者を顎で使うのがミネソタ・
ファッツという設定だ。
その日本語吹き替えバージョンが
かなり笑った。
ファッツ「ウィリー。金を預かっておけ」
ウィリー「へい」
ヘイですぜ(笑)。
街のチンピラの返事だよ、これじゃ。
ここは、日本語の時代劇のように
「はっ」とかいう吹き替えにして
ほしかった(笑)。
そういう返事は、使い走りでJ.T.S.
ブラウンのバーボンを買いに行く
プリーチャーのセリフにしてほし
かった。
ただ、日本語吹き替えでは、ルイビル
のフィンドレーの屋敷でスリークッ
ションの対決をする時、パンの銅像
を指してフィンドレーは「ギリシャ
神話の半分獣の小僧」と説明して
いる。これは原語を大幅に変更して
いるが丁寧なセリフ改ざんとも
いえる。
あと、どうにも、ポール・ニューマン
の日本語吹き替えが、これまた街の
チンピラ風でいただけない。
対するファッツの日本語吹き替えの
声優さんのセリフ回しは完璧すぎる
ほどに違和感がない。ありゃ凄い。
黒幕マフィアのバート・ゴードン
の日本語吹き替えの声優さんの声色
や言い回しは原語の本人にソックリ
で、これもなかなかの声の演技だった。
で、映画を観ていて今更ながら気付い
た事。
エディとファッツは二人ともハーマン・
ランボウのキューを使っている。
1961年公開で撮影は1960年だろう。
まだバラブシュカは本格的なキュー
製作で名を成してはいなかった。
ウィリー・モスコー二が使用していた
ランボウ製カスタムを勝負師の二人
は使っている。尻ゴムのないキューを。
それで床をドンドンドンと叩いて
相手のナイスショットを称賛する。
そのランボウのキューなのだが、
映画を観ていると、シャフトが
やたらと太い。
ハウスキューの極太シャフトを
そのままぶった切りコンバージョン
にしたような感じなのだ。
だが、二人ともよくキューが切れて
いる。
トリックショットのシーンのみは
ウィリー・モスコー二がやった
手だけを撮影してエディのように
した映像だが、長尺シーンでは
本当にポール・ニューマンが撞いて
いる。
製作者によると、ポール・ニューマン
はど素人だったが、ウィリーの指導
でめきめきと腕をあげて大会に出場
もできる程にはなったという。
ニューマン自身も、変装して大学
のプールルームに練習に行っていた
りしたそうだ。
一方、ファッツ役のグレースンは
もう玉撞きがプロ並みにできる人
だったので、何の訓練も必要なか
ったという。
この上掲画像は、ランボウによる
ブランズウィック・コンバージョン
だが、二本あるうちの下のシャフト
がやたら太い。
これがオリジナルシャフトなので
はなかろうか。先角はかなり短いが。
上のトラ目のロングシャフトは後年
作のスペアシャフトだろうが、こち
らはかなり注目できる。
見るからに動きが良さそうな雰囲気
がプンプンしているのだ。
走る前から走る二輪のマシンが判る
ように、この上のトラ目シャフトから
は独特のオーラが出ている。
これは、できる。