

Efren Reyes vs Earl Strickland
$100,000 The Color of Money
Challenge Match Part 1 of 5
私は見逃さない。
選手紹介直後に、世界チャンピオン
エフレンが「お!このチャンネー!
いい女」という目線だった事を(笑)。
明石大橋を渡り、本州から淡路島へ。
空が良い。
年末の近畿への挨拶回りだ。
これで今年2012年は仕事終了。
うむ。空が良い。
640キロ走った。
帰らず、どこかに泊まるか。
結局ここに来た。高松の「ビリ
ヤード吉田」。
穴せめぇ~(笑
ドキウコ(撞球会)くらいかな。
でもって、撞く。仲良しの朝まで
撞いて朝うどんをいつも一緒に食う
マスターがキュー貸してくれたよ。
すごいね、このキュー。俺が一番
欲しかったはこのザンボッティの
デザインだ。奥村モデルみたい。
う~ん。奥村さんのは、S字イン
レイがフラットだったかな。
よく覚えてないけど。
店のお客さんのA級の人が相撞き
してくれました。ありがとん。
ビリヤードの面白さはね、キュー
を持っていろいろな店に立ち寄る
のよ。ふらりと。きょうは持って
ないけど。
それがまるで武者修行のような
感じで、そこで一人で撞いている
と、必ず誰かが「よろしかったら
ご一緒に」と声をかけてくれるの。
声をかけるまでは大抵こちらの
腕を見計ってるのね。これが昔
からの「玉屋」の風習なんだ。
たぶん賭け玉の時代の名残りなの
だろうけど、「素玉(=賭けで
ないスポーツ)」だとしても、
大抵今でも声をかけてくれる。
もしくは、店主がお客さんを紹介
してくれる。
その場面で問いかけられるセリフ
は不思議なことに日本全国定番だ。
「普段はどちらで撞いていらっ
しゃるのですか?」
必ずこのセリフが出てくる。
「いずれのご家中か」
みたいな感じで。
このセリフが全国版だという事は
西日本に引っ越してきてはじめて
知った。
私は都内のほぼすべての撞球場で
撞いたが、どこでもこのセリフ
が存在した。
また西日本では、大坂でも、中国
地区でも、四国でも、九州でも
このセリフを投げかけられた。
このセリフはアマもプロも問わず
投げかけてくる。一人で撞いて
いると、プロも大抵はこのセリフ
で声をかけてくれる。
ただし、こうしたやりとりが行な
われるのは本式のビリヤード場=
玉屋だけのことだ。
数年前から登場したネットカフェ
やアミューズメントのような本物
ではないビリヤード台が置いてある
「遊び場」ではこうした文化は
一切ありません。玉撞いてるの
素人さんばかりだし、そういう
本式でない場所は。
場所がなくて仕方なくアミューズ
メントで撞いていてもちっとも
面白くない。「文化」が皆無だか
ら。
この今でも残っているビリヤード
文化は日本だけかと思ったら、
考えたら映画『ハスラー』でも
「どこの出身だ」というミネソタ・
ファッツのセリフがあったので、
アメリカ合衆国でも似たような
文化がかつてはあったのかも知れ
ない。
だが、『ハスラー』から25年後の
1986年の『ハスラー2』では、その
ようなやりとりが一切なかったの
で、合衆国ではすでに80年代には
すたれていたことが推測できる。
最近、2012年現在では、戦隊物が
アメリカでも大流行らしいが、
アメリカ人が不思議そうに言って
いた。
「なぜ登場の時に自分の名を名乗る
のか」と。
あれね、あれは日本の伝統的な風習
なんだよ、サムライからくる。
と説明したが、でも「なぜ」という
のは理解が及ばないようだ。
名乗って正々堂々の一騎打ち、と
いうのは、英仏人には理解できて
も、騎士がいなかった合衆国の人
には理解しにくいみたいよ。
日本のビリヤード場での「撞ける人」
同士のやりとりは、昔の侍のやり
とりのようでなんだか面白い。
こういうのは、この世界の中に入ら
ないと、つまり一歩踏み出さない
と知りえないことだろうと思う。
本式に玉を撞く人というのは、どな
たもとても礼儀正しいしね。
ポケット・ビリヤードも礼儀正し
いけど、キャロム(穴なし台で
撞く競技)の人はもっと礼儀正
しい。
ただ、最近世界的には強いフィリ
ピンのプレーヤーはそういう礼儀
は一切ない。
フィリピンではビリヤード=バクチ
だから、礼儀など育つわけがない。
実際にフィリピン・プレーヤーと
競技してみたら、あまりの文化の
違いに驚いたよ。
わざと台汚したりチョークの粉を
落としたり、こちらが撞く直前に
音を出したり等々、汚い手管使う
の当たり前だし、マナーもへった
くれもあったものではない。
ガレゴあたりなんかまんまそれ。
あまりにしどいので、一度目黒で
スボコにしたけど。
正々堂々と勝負して勝ちたい、と
いう映画『ハスラー』の中にあった
精神、というものはまったく存在
しないのがフィリピン式のプレー
だよ。
あと中国人ね。ビリヤード後進
国だった中国は、最近、ここ
2012年時点で国家的テコ入れ
でものすごい躍進しているようだ
が、90年代後半のブクロあたりに
いた大陸中華の人間もエグかった
なぁ。プロなの隠して素人から
むしっていたしね。ゼニカネにしか
興味がないみたい。「社会主義」の
国の人間なのに(笑)。
中国人の女性もゼニカネがすべて
の判断軸で、「すごいね~。この
ニセモノの社会主義の国の人間
たちは」と思ったよ。
ビリヤードでは、フィリピンとか
中国を相手にすると、勝っても負
けても、まったくもって気分が
良くない。
そりゃあ勝負の世界は勝ってナンボ
だろうけど、小汚い手を使ってで
も勝つというのは、日本の撞球師
には馴染めないのではないかなぁ。
それを指して「日本のプレーヤー
は甘い」とか言う日本人もいるけど、
俺はそうは思わない。それで勝って
も、それはそういう手で勝ったので
あって、本来の技術力で勝負した
ことにはならないでしょう?
サッカーの強い国の人間が、プレー
中に対戦チームのメンバーのユニ
フォームを審判に見えないように
掴んでいて、それを指して「勝ち
方知ってるよな」と言った人がいた
けど、それって違うと思う。
ビリヤードでも、技術力で勝負する
のでなく、小汚い手を使って勝ちの
助けとするとというのは、あくま
でも小汚い手が長けているかどうか
であって、本筋のビリヤードの
技術での勝負ではないでしょう?
ボクシングでも、頭突きしたり
「ええか。肘で目狙っていけ、目」と
かいうのは、そうまでして勝ちたい
のはなんなの?なんだか、外道その
ものに思えるのよ、私は。
でも、プロスポーツのボクシングの
世界でもそれを平気でやっちゃう
人間がいるのだから、えげつなく
ひどい話だ。
武術でも「勝ちゃあいいんだ」と
いうのを旨としている人もいるみた
いだけど、どうなのかなあ。大切な
「名誉」は守られないよ、それで
勝っても。まあ、武士らしくは
ないし、誹りは受けるだろうね。
映画『ハスラー』の中でも描かれた
「金は関係ない。金が絡まないとこ
ろで真剣勝負がしたい」と表明して
頭がいかれてると思われたエディ・
フェルソン(ポール・ニューマン)の
心意気というものは、そうした気概
が銭金にのみ囚われた人たちの世界
の中で孤独感にさいなまれていき、
「本当とはなんだ?」「本物とは
なんだ?」という映画のテーマに
さえなるほど輝きを持っていた。
映画『ハスラー』はアカデミー賞に
ノミネートされたが、残念ながら
その年のアカデミー賞は『ウエスト・
サイド・ストーリー』だった。昔は
いい映画が多かったね。
しかし、勝負の本筋に何を求めるか
を見誤ると、俗人たちの暗黒面に
支配されてしまうように思えるのよ
ね。こうしたことはビリヤードでも
武道でも同じ地平にあるように思える。
囲碁や将棋はいいよね。真っ向勝負
だから。
ビリヤードの世界では、アミューズ
メントではない「玉屋」には、まだ
名を惜しむ気風が残っているから、
俺は好きさ。
私は全長60インチ=153センチの
長さのロングキューを普段使って
いる。
気をつけして立って、キューを直立
させるとちょうど顎下にキュー先が
収まる位の長さ。
これが非常に調子がよい。
ボウラードでもしっかりと「撞く」
ことをしないと撞球は駄目。
ボウラードはエニーボール系のプール
なので、手玉の動きが命。
ボウラードのコツは、とにかくブレ
イクにある。
ナインボールなどは次の玉が決まっ
ているからサクサクと取って行ける
が、ボウラードは14.1のように考え
ながら構想を練る。だが狭く限定せ
ずに常に「アンド」を考えて。
そして、オープンフレームを出さな
ければ絶対に100点アップ、150点
アップ、200点アップは誰でもでき
るようになる。
ボウラードはボウリングと同じ計算
方法なので、インフレ計算になる。
同じ1フレーム9個落とすのでも、
オープンにしてしまうのとスペア
では点数が全然違ってくる。
10フレームまで終わって落とした
総玉数が同じ90個でも、スペアと
ただの9個では全然点数が違う。
倍近くも違ってしまう。それが
ボウリング計算方式のボウラード
だ。
日本人が考案した。プロ第一期生の
藤間プロが。
ボウラードの計算方法はボウリング
と同じで特殊なので、絶対にオープン
フレームを作らずに、スペアで必ず
2キュー目には取り切ることが大切だ。
事と次第によっては途中で連続ポケ
ットを捨ててでも塊を割りに行く
ことも必要になる。入れながら割る
のが一番よいが。
とにかくエーチャンのように「黒く
塗りつぶせ」がボウラードのキモ
なのだ。
黒く塗って行けばすぐに150点アップ
は出るようになる。
ストライクをいくつか連続させれ
ば200アップもすぐに出る。
なので、ボウラードはシュート力を
磨くゲームとはならない。
私が考えた得点訓練ゲームがある。
ボール15個を使って10フレーム
までのゲーム。2005年考案。
1フレームを2キューまでとして、
全部取り切りで150点。
これはボウラードのインフレルール
が無いので直にシュート力の実力が
判る。1フレームでのボウリング式
スペア加算やストライク加算は無し。
1フレーム2キューの合計点を合計
10フレーム足して行くという方式。
私自身はこれを「シューティング」
と名付けて、遊びで自分自身時々
やっている。
ボウラードのボール10個より増える
ので、台上で渋滞が起きるためボウ
ラードよりも一気に難しくなる。
A級ならば15個を1キューで取りきる
だろうが、それについての倍加算は
無し。
総合計140点以上でA級クラスあたり
だろうか。
<シューティング>
(下段左側がそのフレームの合計点。
下段右側がそれまでの全合計点)
全米トッププロの14.1ラックでは、
最後1個残しで入れてブレイクし
ながら80点ランや100点ランは普通
に出している。150点撞き切りなど
もトップはやっている。
私などは14.1ラックでのハイランは
45点しか出したことがない。
ウイリー・モスコーニなどはどれ
くらい取り切れるか挑戦し、526点
ノーミスで撞いて「疲れたから
やめた」というギネス記録を残し
ている。しかも渋滞が発生しやすい
難しい7フィート台で。
ストリックランドが7フィート台で
挑戦して、240点あたりから「頭が
おかしくなりそうだった」として
中止している。
ただし、ボウラードで高得点が出る
ようになっても、ナインボールや
テンボールの試合で強くなるわけ
ではない。
14.1ラックで強くなるわけでもない。
ボウラードはシュート力というより
も、集中力と自分のコンディション
を維持するゲームだ。
ちょっと撞けるようになると200点
アップもたやすくなるが、それを
3ゲームも続けて1ゲーム210点以上
の点数を取ることをプロたちは楽々
と超えて来てプロ試験をクリアして
いる。
そこに撞球手としての一般人との
違いがある。
それと、プロ試験はあくまで通過
試験であって、そこから同じ土俵
で年間ツアーで他者より強くなら
なければならない。
これは相当な鎬の削り合いとなる。
真っ向勝負だ。
だからプロスポーツは面白い。
本当に真剣に実力を出してぶつかり
あっての勝負だから。
せこい賭け玉のダイムゲームでは
なく。
ウィリー・モスコーニ(1913-1993)
アメリカン・ポケット・ビリヤードの
歴史上、彼を超えるプレーヤーは、
まだ登場していない。
映画『ハスラー』(1961)を昨日観て
いた。
もう何度観たかわからない。
100回などではきかない。
ネットが無いビデオ時代には観過
ぎてテープがお釈迦になった。
ネットなどは世の中に無いどころ
かスマホは勿論、携帯電話さえない。
オープニングから36時間に及ぶ
エディとファッツの対戦終了まで、
セリフを全部覚えた。
ちょうど年上の相撞き仲間も鬼の
ように観まくって、同じあたりまで
台詞を覚えていた。
ネイティブ米語なのでヒヤリング
が覚束ない部分もあったが、私は
すべてノートに書き出した。
ネットさえないのでシナリオなど
は手に入らなかった時代だ。
何度も観ていたら、日本語字幕
スーパーはかなりの部分でテキ・
トウスケ先生である事が判った。
DVDが発売されてからも見まくった。
特に二枚組は日本語吹き替え(部分)
バージョンが収録されているのと、
製作者の全編解説、それと2000年代
に入ってからの出演者の製作秘話
インタビューなどが収録されて
いるのが秀逸だった。
だが、日本語の字幕は、かなりその
二枚組バージョンでもはしょって
いる。日本語吹き替えはいい線いって
るのだが、やはり一般人にも分かり
やすいように専用言葉は省略して
いる。
日本語字幕バージョンはいくつも
あるのだが、NHK BSで放送された
時の独自字幕がかなり正確だった。
笑えたのが、15回も世界チャンピオン
になったウィリー・モスコーニが
本作品の技術指導をしているのだが、
キャストとしても本人役で出演して
いる。
その世界王者を顎で使うのがミネソタ・
ファッツという設定だ。
その日本語吹き替えバージョンが
かなり笑った。
ファッツ「ウィリー。金を預かっておけ」
ウィリー「へい」
ヘイですぜ(笑)。
街のチンピラの返事だよ、これじゃ。
ここは、日本語の時代劇のように
「はっ」とかいう吹き替えにして
ほしかった(笑)。
そういう返事は、使い走りでJ.T.S.
ブラウンのバーボンを買いに行く
プリーチャーのセリフにしてほし
かった。
ただ、日本語吹き替えでは、ルイビル
のフィンドレーの屋敷でスリークッ
ションの対決をする時、パンの銅像
を指してフィンドレーは「ギリシャ
神話の半分獣の小僧」と説明して
いる。これは原語を大幅に変更して
いるが丁寧なセリフ改ざんとも
いえる。
あと、どうにも、ポール・ニューマン
の日本語吹き替えが、これまた街の
チンピラ風でいただけない。
対するファッツの日本語吹き替えの
声優さんのセリフ回しは完璧すぎる
ほどに違和感がない。ありゃ凄い。
黒幕マフィアのバート・ゴードン
の日本語吹き替えの声優さんの声色
や言い回しは原語の本人にソックリ
で、これもなかなかの声の演技だった。
で、映画を観ていて今更ながら気付い
た事。
エディとファッツは二人ともハーマン・
ランボウのキューを使っている。
1961年公開で撮影は1960年だろう。
まだバラブシュカは本格的なキュー
製作で名を成してはいなかった。
ウィリー・モスコー二が使用していた
ランボウ製カスタムを勝負師の二人
は使っている。尻ゴムのないキューを。
それで床をドンドンドンと叩いて
相手のナイスショットを称賛する。
そのランボウのキューなのだが、
映画を観ていると、シャフトが
やたらと太い。
ハウスキューの極太シャフトを
そのままぶった切りコンバージョン
にしたような感じなのだ。
だが、二人ともよくキューが切れて
いる。
トリックショットのシーンのみは
ウィリー・モスコー二がやった
手だけを撮影してエディのように
した映像だが、長尺シーンでは
本当にポール・ニューマンが撞いて
いる。
製作者によると、ポール・ニューマン
はど素人だったが、ウィリーの指導
でめきめきと腕をあげて大会に出場
もできる程にはなったという。
ニューマン自身も、変装して大学
のプールルームに練習に行っていた
りしたそうだ。
一方、ファッツ役のグレースンは
もう玉撞きがプロ並みにできる人
だったので、何の訓練も必要なか
ったという。
この上掲画像は、ランボウによる
ブランズウィック・コンバージョン
だが、二本あるうちの下のシャフト
がやたら太い。
これがオリジナルシャフトなので
はなかろうか。先角はかなり短いが。
上のトラ目のロングシャフトは後年
作のスペアシャフトだろうが、こち
らはかなり注目できる。
見るからに動きが良さそうな雰囲気
がプンプンしているのだ。
走る前から走る二輪のマシンが判る
ように、この上のトラ目シャフトから
は独特のオーラが出ている。
これは、できる。