渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

シャフトの音の質性テスト

2022年02月16日 | open


ビリヤードのキューの音の質性は
バットの要素にもよるが、総合的
にはほぼシャフトの音質で決まる。
そのキューがどのような音質系で
あるかを試すには、シャフトのみ
をPタイルなどの上で垂直自重落下
させてみるといい。
その時、キーンと澄んだ金属音が
するシャフトは装着して玉を撞くと
スピーンというクリアで澄んだ高音
がする。
落下させて濁った音がしたり、低い
澱んだ材木の音がするシャフトは
バットが良質でもジョイントして
玉を撞くと絶対に抜けるような良音
はせずにボンボン音になる。

この実験をすると、シャフト一本
一本の音質の違いがてきめんに
判別できる。
ジョイントネジ山が同じで、多くの
シャフトから選択できるならば、
この方法はシャフトの音質判断には
使える方法だ。勿論先角とタップが
着いた状態で。
ハウスキュー用のシャフトであろう
とも良音を奏でる個体は良質なので、
曲がりが無ければそれに手を加えて
使用するのもノーマルソリッドシャ
フト選びでは手の内のカードとなる。
バラブシュカのコンバージョンの
手法がそれ。
ただし、多くの数の中から選べる
環境にないと、この方法ははなから
れない。

実はアダムもメッヅもハウスキュー
クラスでも良質品質のシャフトが
存在したりする。
一時期、アダムの倉庫に眠っていた
良材をアダム社は放出発売したが、
アッ!という間に200本あたりが
即完売した。
ノーマルソリッドの最大のネックは
良質材のいわゆるアタリシャフト材
にいつも出くわす訳ではない事だ。
そして、その質性は、日本刀と全く
同じで、見た目からは判断できない。
木の目も「ええっ?」というような
物でも良音を発して動きも最高の
アビリティを発揮するシャフトも
ある。
ハイテクシャフトの良い点は、そう
したソリッドシャフトのネガティブ
な面を幾分払拭している点だが、
ハイテクシャフトでも木材である限
り必ずアタリハズレがある。
ただその範囲が狭いのだ。
そして、ハイテクシャフトは、元来
のソリッド良材枯渇に対処する為の
物から今やシャフトの性能を設計し
て木材を使って化学素材と合体させ
てハイブリッドによる性能を出す目
的に完全に変化した。
これは道具としてはある面では進化
とも言える。
だが、手玉の直進性のみを求める
設計思想は底が浅い。
本当ならば、トビ具合、カーブ具合
も何通りかラインナップしてこそ
本当のハイテク技術を反映させた
シャフト製品といえるだろう。

そして、手玉の直進性のみを追求す
る玉撞きは、玉筋が見ていてちっと
も面白くない玉筋になるのも否めな
い。みんな縦割れ目一直線みたいな
玉になる。嫌いじゃないすけどね、
綺麗な縦割れ目の玉筋は。
ただ、ハイテク使用者がみんな金太
郎飴のようなプレーで、それは見て
いても相撞きしても全くちっとも
面白くもなんともない。
玉をどれだけ入れるかだけが穴台
撞球の目的となっては、観客のつく
プロスポーツとしては成功しない
だろう。
モグラ叩きどれだけ上手いか、みた
いなのでは。
プロでもアマでも、「魅せる玉」
を撞かないと、見てもやってもつま
らない。
結局は、抽斗の多いソリッドシャフ
トとカスタムキューになってくる。
玉入れだけならば、ハウスキューの
バットにハイテクシャフトだけで
いいだろ、てな事になるから。論理
としては。

あと、ハイテクシャフトの利点は、
いろんな性格づけをシャフト製品毎
に付与できるので、ユーザーの好み
に合わせて選択できるというのが
ある。
これは強みだ。
ソリッドだと、テーパー設計だけ
ではダメで、木材の質性が決定的な
要素となって来るから。
総じて、カスタムキューのシャフト
ならば間違いはない。超熟成厳選
素材を使用しているから。
フィリピン製は駄目ですよ。
作りと取り組みが超いい加減だし、
それに絡んでいる日本人が詐欺師
ですから。
金払ったら雲隠れなどは常習犯で
すから。
日本のメーカーもしくは米国の作者
から、あるいはディーラーを通して
キューはお求めになるのが確実かと
思います。
フィリピンだけは、悪い事言わない
からやめとけって。
ヤフオクでも激安なんたらカスタム、
発送海外としてるのは、あれフィリ
ピン在住の日本人の詐欺師の出品で
すので注意。

多分、日本国内で最高のソリッド
シャフトを作る人はラッキー菱沼
さん。
下手したら、アメリカンカスタム
を超えてるかも。
これまで、何十億円とキューを
買いまくって来た世界的なコレク
ターでもあり、本場米国作家たち
のキューメイキングのご意見番で
もあり、全米のビリヤードの殿堂
に入ってもいいような人。
単なる金持ちコレクターは世界に
多いが、彼の功績は、本場のキュー
職人たちに本気で良い物を作る気
を起こさせたそのロビー活動にある。
単なる大金持ちのコレクターでは
ない。世界的なビリヤード界にお
けるラッキー菱沼さんの功績は多大
だ。事業家というよりプロデューサ
ーでありコンダクターですね。
日本語でいうなら裏方ながら真の
立役者。
志を貫く事、巌の如し。
私はあの方は「真実の人」だと思っ
ている。
斯界にいなくてはならない人。
撞球界の良心すね、あの人は。

世の中悪人はいるもので、3.11震災
の時、仙台のラッキーさんの拠点か
ら高価な用品や何やらかなり盗ま
れたらしい。災害のどさくさで。
それを盗んだ奴も売った奴も分かっ
てるがもうどうでもいい、と言って
る。
馬泥棒は吊るし首という西部開拓
時代の米国ではないにせよ、やは
り人の物盗んだり恐喝して強取した
り騙し盗ったりする奴は、徹底的な
社会的制裁を受けるべきだと思いま
すけどね。
悪人だから、それ。本物の。
でも、盗人ほど猛々しかったりする。

キューケース

2022年02月16日 | open


今メインのキューケースは17年
前から使っているTADのキュー
ケース。バーチの新藝術さんで買
った。
TADコハラさんがケース作るので
はないだろうから、多分外注品な
のだろう。
ジェイ.フラワーズのキューケースに
とても造りが似ている。
多分、作っている人は同じ人か。

J.フラワーズ

TADキューケースにはTADキュー
を入れるが、DATキュー自作の
キューも入れる(笑


ジョー・ポーパー

2022年02月16日 | open

キューケースはいくつか持ってい
るが、それらの中でも一番愛用
していたのはアメリカのジョー・
ポーパーのケースだ。
一番右の#110は1バット2シャフト。
80年代にはこれを一番使っていた。
小脇に抱えて店に入る。それはこれ。
真ん中はポーパー#130で2バット4
シャフト。これは使いやすい。
一番左は年季が入った1980年代製
の革製のポーパーキューケース2&4。
中古で入手した物だが、この革の
ポーパーケースもかなり愛用した。
試合に行く時にはこれだった。
もう一つ1バット1シャフトのポー
パー#500を持っていたが、某店に
置いていたら誰かが持って行っち
ゃった。やだねーそういうの、
てんで置きキューはその店から全
て引き上げて来た。
経営者変わってから管理良くない。
創業者は気心知れた人だし、仕事
でも店の管理目配りも行き届いて
いた。
3代目の時もいい感じだったけど、
初代と3代目の時のみだったなぁ。

2021年1月18日。
ビリヤード界に偉大な足跡を残した
ポーパーさんは亡くなってしまった。
新型コロナウイルスにやられてしま
ったらしい。
志村けんさんや千葉真一さんまでも
がコロナでこの世を去ったもんなあ。
世界中で多くの人たちがコロナのせ
いで亡くなっている。残念過ぎる。

ジョー・ポーパーさんの功績は大き
かった。
ありがとう。


うまか棒

2022年02月16日 | open
最近は上質なマグロ黒檀が少ない。
手元にあるのは20数年前に仕入れ
た材料だ。

メイキング用素材。

専門的な設計図などは引かないが、
 
一応業界用語のポンチ絵という物
はメモ代わりに描いておく。
専門的な図面も手で引けるしCAD
も使えるが、そこまでやらない。
また、全部頭の中にあるなどとい
う現合(げんごう)などもやらない。
再現性が著しく低く、その場
限り
の行き当たりばったりの
作業にな
るのが実体だからだ。
どこをどの寸法でどのようなRに
して等々はちゃんと記録しておく
し、かなり練る。相当練る。
あらゆる方向から考察して。

素案練りの更に前の状態。

1970年代ブランズウィック社製
タイトリスト。


ティム・スクラッグスの初期の
作品。タイトリスト・コンバー
ジョン。



バラブシュカの正統後継者ともいえ
るタスカレラのタイトリスト・コン
バージョン。名手は皆んなそこから
初めている。


ただ、最低軸間が800mm程ないと
木製玉突き棒を削るのは厳しい。


うまか棒は面白い。
作るもいじるも玉撞くも。
うまか棒は面白い。
こんなのキューではなくただの
棒だけど(笑)。
でも、使える。
 

色彩感覚

2022年02月16日 | open

明るい蛍光灯の下では、この本ハギの
湘南電車カラーはちっとも冴えない
ださ色に思えたりもするが、プール
ルームの灯りの下では、別な色彩の
妖艶な表情を見せる。
とても深い緑とオレンジに変身する。

このハギはブランズウィックの伝統
的なタイトリストのハギをインスパ
イアしたものだ。
だが、このベニア種板の緑はタイト
リストの緑=ティールのように明る
い青緑ではなく、青みがかった深い
の色調のベニアを採用している。
このキューはアダムによる遺族ロイ
ヤリティ契約によるバラブシュカ
シリーズだ。1988年米国限定発売
で、後に日本国内でも発売された。
バラブシュカインスパイアモデルで
あるので、ハギは当然にしてブラン
ズウィックのタイトリストをイメー
ジしている。
バラブシュカに使われたタイトリ
ストのハギのベニアカラーは外側
から紫、緑、茶、ナチュラルの4色
が伝統色だった。
このGBシリーズのこの番手は一番
タイトリストに近く、外側から紫、
緑、オレンジ、ナチュラルとなって
いる。


本物のバラブシュカに使われた
タイトリストのハギ。

ブランズウィック・タイトリスト。




タイトリストを切断してリングと
バットエンドキャップを装着、
ハンドル溝を彫ってリネン糸を
巻いた組み立てコンバージョン
手法でバラブシュカはキューを
作った。
最初から使い込まれて木材の動
きが落ち着いたバットのフォア
アームとシャフトをバラブシュカ
は備えていたために最高のプレー
性能を持っていた。
一から作らぬコンバージョンゆえ
バラブシュカの事を組み立て屋と
揶揄する心無い人もいるが、コン
バージョンは立派なカスタムであ
り、キューの質性を飛躍的に向上
させた実績において、確実に正真
のカスタムメーカーであると断言
できる。


この私のキューの個体は、ノーマル
時に異様な快音が響いた。キーンと
いう金属バットで硬球を打った時の
ような音。気持ち良い。
バットエンドをデルリン系に換装し
たら音はキーンからクォーンに変化
した。
シャフトはノーマル標準品であるの
強い虎目が出ている極上品質だ。
材料は最初から良質な物が厳選さ
れて使用されたようだ。


ちなみに、湘南電車とはこれである。
東京神奈川の人間には極めて馴染み
深い生活に密着した、というか人生
に連結した電車。








私は20年程前に望郷の念でこの
キューを購入した。
見た瞬間に、タイトリストよりも
湘南電車が思い浮かんだ。

自作ジャンプキュー

2022年02月16日 | open
 
20年数年程前にまだジャンプ専用
キューが出回ってない頃に作っ
自作ジャンプキュー。
といっても、アッシュ材のハウス
キューをぶった切っただけなんす
けどね(笑
これでもある程度は使い物にはなっ
た。
樹脂タップなどは無かったので、
タップを締めてシアノを塗りたく
ってガチガチタップにしていた。
その後、エアドライブを買った。
メーカー品はあまりに簡単に飛ぶ
ので驚いた(笑
 
それ以前、トビ軽減のために結構
短い先角にしていた。
当時は短い先角はポケットでは標準
では存在しなかったので、地方
に行
くと珍しがられた。東京で
は某プロ
たちはそのカスタムは
やっていたが、
地方ではやはり
情報不足だったよう
だ。インター
ネットも普及してない
頃。
 
でも、キャロムの世界では、ポッケ
よりも道具の工夫は進んでいた。
キャロムキューはかなり以前から
ディフレクション軽減のために
先角
を短くして、かつ撞点を
広くとれる
ように直径の細い
先端に
していた。
ジョイントも木製だ。これにも
意味
があった。
ただ、ポケットキューのようにプン
と弾く動きがキャロムキューは乏し
い。ポケットは玉が小さく質量が少
ないためにシャフトのしなりが必須
だったが、キャロムの場合は大きな
玉なので玉負けしてしまうために
あまりしならないシャフトが主流
だった。根元が太い特殊テーパー
シャフトで。
 
先角が短く径の小さな私のポッケ
用のシャフトはとても使いやす
ったが、人に請われてあげて
しま
った。
その後、世の中にハイテクシャフト
が出て、トビ軽減の追求からどん
どん先角が短くなるのが主流と
った。
ただ、私の場合はある程度のトビ
がないと感覚に合わないのと、シャ
フトの弾き返す力がないと嫌なので、
90年代のような短すぎる先角は今は
用いていない。
今は短先角が流行りらしいけど。
最近ではカーボンシャフトが流行
らしくて、先端保護のための
先角は
必要ないようだが、目印
がな
いと狙いにくいので、目印
用にホワ
イトリングのよう
カラーをタップ下に装
着するら
しい。
世の中いろいろ変わったねえ。
 
今の流行。
・カーボンシャフト
・短先角ハイテクシャフト
・グローブ
・2千数百円のチョーク
・積層タップ高額品(高級かどうか
 は別次元の話)
・トン突きと転がし玉
 
私のプレースタイルとはまるで違う。
そうそう。最近「スタンショット」
いう単語が出て来たが、その
内実
は大昔から存在した技法で、
撞ける人
は誰でもやってた。
世界チャンピオンだったマイク・
シーゲルなどは、ほぼ全てのショット
がいわゆるスタンショットだ。
これは言葉の「流行」というものか。
技法自体は大昔からあったのに、何か
別物のような横文字を使って自分の
知識的優位性を誇示したがる。
中身が無く、詮無き事。
切り返しの事をクロスバックと呼ん
で広めようとしたり。
まるで意味が無い。
大切なのは内実がどうか、です。
言葉の修辞の向こうの現実が如何
なるものかが大切なのです。