夢を見た。
クロサワの『椿三十郎』(1962)
にそっくりな夢だ。
ただし、椿三十郎は出てこない。
若者たちだけで若者たち特有の
発想力と知恵とを振り絞って、
事件を解決して行く。
瀬戸内海に面した某藩。
継嗣問題に端を発した御家騒動
を利用して不正を働き、藩の公
金着服により藩内権力奪取を狙う
反城代家老一派とそれを暴いて
藩取りつぶしに動こうとする幕府
隠密たち、その両者の策と動きを
封じて行く城代家老派の若者たち
による三つ巴の冒険活劇だ。
私の名は市之介という若き武士
で、『椿三十郎』ならば加山雄三
の役どころにあたる。城代家老派
だ。
だが、私たちは『椿三十郎』の
若侍たちのような猪突猛進で浅慮
の若者ではなく、奇想天外な知恵
と勇気を以て難局を解決して行く。
我々は秘密裏に幽閉された城代
家老の派の若者たちであるが、
国元の藩の御城代の執政のまずさ
についての問題意識も持っていた。

途中、幕府隠密の忍びの者が、
「もはやこれまで」と割腹する
際、「せめて最期だけは武士と
して死にたし。是非に願う」と
懇請したため、武士の情で介錯をするシーンもあった。
冒険活劇にお決まりのヒロイン
の若き娘も出て来た。じゃじゃ
馬姫のような女性ではなく、穏
やかなお嬢様だった。

騒動の中身はかなり克明に覚え
ているが割愛する。
継嗣問題の藩内対立を利用して
不正に城郭改築を請負業者と組ん
で行なおうとしている反城代家老
一派とそれをかぎつけて藩内に
予め代々配置された「草」と幕
府から派遣された隠密が暗躍する
騒動だった。
最後、騒動を無事解決し、城代
家老も救出し、同志たちが見守る
中、江戸表への早馬に私が乗る
シーンで目が覚めた。
あまりに暑すぎる夜なので目が
覚めたのだが。

なんだか、一つの時代劇映画の
ような夢だった。
異様な程に各場面が超リアル。
「総天然色」の夢だった。
『SF サムライ・フィクション』
(1998)にも少し似たタッチだ
った。あの映画はあえてモノクロ
でほぼ全編が撮影されたが。
私は実年齢の武士ではなく、まだ
20代の年若い侍だった。
なんだか、ストーリーの整合性を
もう少し整理すれば、時代劇作品
になりそうな物語だった。
