ある種の光学迷彩。
迷彩の歴史は軍用との歴史と連動してい
る。
そもそも軍装備のうちの被り物や被服は
敵と味方を区別するために派手に目立つ
色合いが万国でも施されていた。
それが、戦争の変遷と共に、識別不能を
目的とした彩色が採用されるようになっ
たのが第一次大戦あたりからだ。
日本では、迷彩色は忍び装束の柿渋色が
あった。実は暗闇においては真っ黒は案外
と目立つのだ。深い柿渋の焦茶色が一番
闇に溶けるのである。
日本はもしかすると、世界的に最初に迷彩
色を使った国かも知れない。
だが、時代は流れ、敵と味方を区別する
軍用思想から、現代に入ってからは、迷彩
色が軍服の主流を万国で占めるようになっ
た。
現代の時代区分にありながら世界的に時代
の中での異例としては、1960年代末期〜
1980年代までの凡そ四半世紀、日本の
学生運動の参加者が被った安全帽のヘル
メット(通称ゲバヘル)は、自派と他派を
視覚的に区別が即断できるようにする為
にメットの色分けを施していた。
それは、そこには学生や党派労働者の隊列
のヘルメットには「迷彩」の意味は存在
しない事を意味した。我と他者を明確に
区別するアイデンティティの表現の為に
被り物の色分けしていたからだ。
東大闘争。東大を守る学生(右)と
彼らを襲撃する日本共産党(左)。
だが、普段赤や白や銀のヘルを被っていて
も、70年代末期の千葉三里塚のゲリラ戦
の夜戦では、黒に近い濃い焦茶色の艶消し
塗装でサンドブラストのように加工した
ヘルメットを特殊作戦部隊が被っていた
事などは表の闘争史には一切出て来ない。
ゆえにそのヘルメットは世間には知られて
いない。対空警精鋭部隊との対戦でも一切
戦闘現場で鹵獲されないからなおさらだ。
とりわけ、地下水脈で謀議した多党派で
構成される混成部隊が同じその揃いの夜戦
野戦特化用ヘルメットを被っていたら、
完全にマル対のガラ押さえに成功しない
と、どこの党派の誰がやったのかは全く
判明しない。大抵は報道では「黒ヘルメッ
ト」で括られる。考えてみてもノンセクト
やアナキストの黒ヘルが300名の1個大隊
レベルで命令系統を律した同時作戦行動な
どする訳はないのだが、その色を黒か焦茶
の艶消しサンドブラストかを対戦側と報道
が全く識別把握出来ていない時点で迷彩の
効果は最大限に発揮されていた、という
真実の歴史がある。
こうした事は、CIAのFALのような話だ。
未来の迷彩は光学迷彩になるだろう。
超マイクロカメラで360度と上下の全方位
を感知検出して、その映像を自分に投影す
ることで風景と同じ視覚的像を出させて
迷彩する事だろう。プレデターのように。
既に開発は先進国各国で着手されている。
それに熱感知回避の何らかの技術が併用
されたら、透明人間のような特殊部隊や
兵器が実用化される事だろう。