1981年に登場してすぐに買った
RZ350の前輪にも、車両購入後
暫くしてからダンロップTT100
を履かせた。RZは後輪のみが標
準販売時でTT100だったのだ。
前後TT100セットは馴染みの挙
動特性になった。標準RZのフロ
ントの接地感の不安感が消滅し
た。馴染みというのは1970年
代のレーシングマシンMT125
のタイヤがTT100だったからだ。
私は高校時代、街乗りはCBも
SSもTT100を履かせていた。
極めてナチュラル。
サーキットを走る125純レーサー
のタイヤはすぐに三角おにぎり
形に摩耗してしまうのだが。
中央トップだけが異常に尖った
ような形に変形する。
初めてBSから出たばかりのハイ
グリップタイヤのバトラックス
をRZ350に履かせた時には戸惑
った。
TT100の場合、滑り出しがとて
も感知しやすい。前後とも。
だが、バトラックスの第一号
製品は、滑り出しが急にガッと
来る感じだった。スリックとも
感覚が異なる。スリックでコー
スを走ると一般タイヤより粘っ
て寝ない感覚だが、バトラック
ス第一号は素直に寝た。
だが、滑り出しが徐々に滑るの
ではなく、ある所から急激に
バッと一気に滑るのだ。
「このタイヤ、公道でハイサイ
ドくらうのでは」とさえ思わせ
る感じだった。
まだ世の中のタイヤが劇的進化
し始めの頃だ。
現代とは比較にならない程の
タイや性能の時代。
国内でプロダクションやF3と
いう一般市販公道車両を改造
したレースが盛んになった頃
から一般車両用タイヤも高性
能タイヤが開発ラッシュとな
った。
1980年代は、二輪車の爆発的
な進化と共にタイヤも進化し
た。
現代も進化し続けるタイヤだが、
ただ、二輪の車体がそうである
ように、最新型が最良という事
ではない。
バージョン変更したら前の製品
のほうがトータル性能や走行
フィールが格段に良い、という
事は往々にして存在する。
最近のミシュランのロードスポ
ーツタイヤなどはその事例の典
型だろう。他のメーカーも然り。
車両もそうだ。
すべて最新型が最良という事は
存在しない。
良い物は良く、良くない物は良
くないのであり、その真実は全
て最新物が最良であるというよ
うな事を担保しない。
タイヤ如何によって車両の動体
特性は激変する。
これはかなり面白い。
特に二輪車はまるで別物のよう
な挙動をタイヤによって示す。
そこが面白い。
そして、最近のオートバイは、
標準でかなり良いタイヤが装着
されている。
かつての空前絶後のバイクブー
ムと呼ばれた1980年代は、標準
タイヤなどは、ただ車両を前に
進ませる為だけのタイヤだった。
走り込みをしたい方はどうぞ
ご自分でお好きなタイヤを着け
てくださいな、的な。
現代は、マクロ的には高性能
タイヤが最初から新車には装
着されている。
ただ、細かい視点で見ると、
タイヤが二輪の挙動特性に
与える影響は大きいので、ど
うでもいい汎用タイヤが最初
には着いていて選択を自分で
行なえた昔の車両よりも、性
格が狭まっているのが現代新車
だといえる。
といっても、好きな人は自分で
どんどんタイヤを替えるのは
今も昔も変わらないが。
タイヤ大切。
ただ、私自身、スクーターや
軽自動車に履かせるタイヤは
どれでもいい。スポーティー
ライディングやドライブ用の
車両ではないから。ただの
移動用の車両として利用して
いるから。
だが、スポーティーな走行を
させたい車両にはタイヤはこ
だわりを以て自分に合う物を
探すのがいいかと。
タイヤ一つ(2個)で車両の
動きが全く異なるから。
レース経験者がよくやる公道
二輪のタイヤ利用法では、コ
ースで使った高性能タイヤの
中古(レース等ではもう使え
ない)がまだ公道では十分に
使えるので廃棄処分物を貰っ
て来たり激安で入手して公道
車両に履かせるというのがある。
(昔は全日本でも廃棄タイヤ
を「まだ使えるよ」と貰って
来て自車に履かせて優勝して
しまうノービスもいたりした)
これ多くのコースライダーたち
がやっている。公道車で。
そして、合わなければ即別物
に交換。無料だったり格安入
手であるし、本来廃棄処分にな
る物だったので躊躇はない。
結果、いろいろな種類のタイヤ
を試す事ができる。賞味期限
などは短くて良い。挙動特性に
マッチングを感じたら、その
銘柄の新品をそこで初めて購
入して着ければよい。
このやり方、1980年代初頭から
一部のコースも走る公道乗り屋
の中では見られた現象だった。
現役レーシングライダーであり
公道でも二輪に乗るうちのMC
メンバーの綿貫マイクなども
それをやっている。1980年代
からの乗り屋のやり方。
おかげで、お姉さんやお母さん
のスポーツバイクも、履き古し
の中古ながら慣らしが終わった
ようなハイスペックタイヤが装
着されている(笑