ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




目の下にクマだのウマだの、なんなら人が沢山住んでいようが、それでも、寝る前に一杯飲むとき位は、やっぱり映画が観たいのです。

今まで、「うーんと、今から二時間観ると・・・あー、そりゃマズいかなぁ。今日は諦めるか」

なんて思ってたんです。映画はやっぱり一本通して観たいし、って思ってたからなんですけど、最近、考えを改めました。

「眠くなったら、途中でも寝てもいいじゃん。観ないで悶々とするよりも、少しづつでも観たほうがいいじゃん。で、いい映画だったら、また通して観れる時間のあるときに、ゆっくり観なおせばいいじゃん。」

ってね。お風呂で本を読み出した理由と一緒です。「ふやけるからって言って、読まれない本は可哀相じゃないか。要は僕が内容を知れるかどうかなのだ。『豪華愛蔵版』ってわけじゃないんだしね」の思ったのと近いです。できれば勿論ノンストップで一本でも二本でも観たいですけどね。

というわけで、相変わらず映画はちょこちょこ観てます

ちょっと前からなんですが、アフリカに関する映画、そこから広がって、黒人に対する人種差別問題などを扱った映画に特に興味があります。

まだまだ勉強不足ですが、知れば知るほど、だんだんとそういうことに敏感になってくるっていうか、見えるようになってくるもんなんですね。そういうこととは一見全然関係なさそうな映画を観ていても、ちょっとしたセリフやシーンに、随分とそういう事が描かれているのがわかるようになってきたような気がします。それだけ、恒常的な問題で、とにかく根が深い問題なんだよな、と。

 

あの「ドッグヴィル」の続編である「マンダレイ」。主演のグレース役が、ニコール・キッドマンから、ブライス・ダラス・ハワードになってました。彼女は、かなり好きなM・ナイト・シャマラン監督の「ヴィレッジ」や「レディ・イン・ザ・ウォーター」でも主演を演じてた女優さんだったので、僕にはここも見所となりました。アメリカ南部における黒人奴隷問題をベースにしたお話で、とても興味深く観ることができました。ただ・・・、前作同様やっぱり最後がとても切ないです。あと、前作に比べて、僕にはちょっと説明(ナレーション)が多く感じちゃったかな。でも、メッセージを伝えるため、あれが考えに考え抜かれた脚本だったのでしょうね。

 

そして、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)と、その後の本格的な和解に向けての公聴会(黒人による、白人に対する裁判のようなものです。アパルトヘイト下で、いかに黒人が惨い目に遭ったかを大勢の人の前で告白し、白人を糾弾する。そして、加害者の白人は内容を認め、「○○の命令だったから仕方なかった」とその命令系統を吐露することによって、減刑の恩赦を施される。・・・このシステムも問題になるのですが。)の模様を題材にした「イン・マイ・カントリー」。主演は、サミュエル・L・ジャクソンと、「ショコラ」でジョニー・デップと競演していたシュリエット・ビノシュ。これはとっても良い映画でしたよ。全ての出演者の演技の、なんと素晴らしいこと。公聴会での模様など、演技であることをすっかり忘れて見入ってしまいました。

そしてこの映画で、とっても印象的だったシーンがあります(以下、ちょっとネタバレですのでご注意を)。目の前で白人警官に両親を殺されて、以来、口がきけなくなってしまった5歳くらいの黒人少年。公聴会でも、大きな目は宙を見つめたまま。まるで人形のよう。付き添い人が警官の罪を明らかにすると、警官のうち一人は横の警官を指し、「この○○の命令だったんだ!本当にすまなかった!」と本当に後悔した様子で謝罪を始めます。そして、少年の前までフラフラと出て行って「許してくれ!謝らせてくれ!・・・この子の面倒をみさせてくれ!君の・・・学費を出すよ!出させてくれ!」と、少年の前にと跪きます(初等教育をちゃんと受けられるということは、こういう地域ではとても大きなこと。これも日本にいると、わかりませんね)。

すると、うつろに宙を見つめたままだった少年の目が、ゆっくりとその白人警官に向けられます。固唾を呑んで見守る街の人々。僕もテレビの前でドキドキでした。「この子はどうするだろう・・・」。

そして少年は、ゆっくりと警官に近づき、手を広げると、犯した罪の重さに泣き崩れる彼を無言で抱きしめます。

自分の親を殺した人間を、抱きしめる少年。

映画のテーマのひとつに「許し」がありました。そして黒人は、他のどんな人たちよりも、許すことのできる人種なんだ、ということが、映画では何度か描かれます。許しあうことで繋がり、支えあう人種だと。黒人って、そうなのか・・・。僕の知らなかった一面でした。他にもとても興味深いシーンが沢山ありましたよ。お勧めします。よろしかったら。

 

最近、こちらで前にご紹介した「ホテル・ルワンダ」「ルワンダの涙」を合わせて見返していたのもあって、アフリカについて、色々とを考えてしまいます。差別、飢餓、不安定な政治、そして、虐殺。

ずっと気になっている昨年末からのケニアでの暴動のその後も、なかなかニュースで伝わってきません。実際、日本で手に入るアフリカ発のニュースはとても数が少ないです。まだまだ現地にメディアが発達していないのもありますし、本当に危険なので、海外メディアもうかつに近づけない、ということもあるようです。危険なニュースが流れなければ平和、という日本とは違うんですよね。実際現地では何が起こっているのか、僕たちは知ることはできません(これは例えば、チベット問題もそうですね。こちらはメディアの未発達、危険というより、中国共産党による情報統制ですけれど)。

 

そして、昨日「マルコムX」を観ました。ずっと観たかったけど、縁が無くて観てなった一本です。やはり、まぁ眠くなったらそこで・・・と思っていましたが、ぐんぐん引き込まれてしまい、結局最後まで観てしまいました。確認しないで観始めたんで、「おー見ごたえあるなぁ」とは思っていましたが、終わってみたら3時間20分あった映画でした。

名前くらいは知っていても、何した人?っていう方も多いかと思います。マルコムXとは、60年代のアフリカン・アメリカン(あえてそう呼びます)の黒人解放運動家の名前です。もともとはマルコム・リトルという名前がありますが、黒人としての自意識に目覚めた彼は、「リトル」というのは奴隷時代に白人に勝手につけられた名前だ。私は本当の自分の祖先の名前も知らない。つまり、自分の名前すら知らないのだ、ということで「X」と名乗ることしたわけです。

牧師だった父を白人に殺された彼でも、若い頃はやはり白人に憧れ、白人の真似をしてました。そしてやがて罪を犯すようになり、刑務所に入ることになります。そして、刑務所の中でイスラム教の教えに出会い、どんどん傾倒していきます。そして、出所後、彼はカリスマ的な運動家として差別撤廃と民族の棲み分けを訴え、白人からの黒人の解放を訴え、その演説の上手さと熱っぽさから絶大な支持を受けるようになります。が、やがて・・・なんと同胞であるはずの黒人の手よって、演説中に射殺されてしまいます。39歳。僕と同じ年です。ちなみに同時期に生きたキング牧師も、やはり39歳で暗殺されてしまいました(こちらは白人に)。

これは、そんなマルコムXの半生を綴った映画です。デイゼル・ワシントンはこの映画でアカデミー賞にノミネートされましたが、映画がノミネートすらされなかったのは、宗教に関するメッセージが強い映画だったからでしょう。いわゆる「キリスト教」を批判してますしね。「イエスは白人なんかじゃない。そんなはずはないのだ!」という持論をぶつシーンは、なかなか痛快ですらありました(いや、キリスト教徒の方にとっては冒涜なのでしょうけれども)。

マーティン・ルーサー・キング牧師が平和的な黒人開放運動家だと言われ、マルコムはその対極のような、過激な運動家とされていますね。でも、彼自身は、決してそのような暴力推進家ではなかった。僕はこの映画の原作である彼の自伝を読んだわけではないのですが、本当にそれは違うと思いました。確かに過激な発言はありますが、僕にはむしろ、彼の抑圧に対する怒りと、それを何が何でも打開しようとする覚悟の表れなのだから、このくらい言うだろうさ、と思えました。

 

あれー。長くなってるなー。なので、今日はここらでやめときましょう。マルコム?マルコメ?・・・何がなんだか・・・って方もいらっしゃるでしょうしね

確かに、例えばこの映画を何の知識も無く観ても、さほど面白くないかもしれません。よく解らないしれません。黒人差別問題に興味のある方向けかもなぁ、とは思います。あ、でもそうでなくとも、アメリカに興味があるならば、一度は観たほうがいいと思います。って、そういう映画は、沢山あるんですけどね。でもこれは間違いなく、その代表的な一本だと思います。素晴らしい映画でした。ラストでの、意外な人物の出演にもビックリしましたしね。画面に向かって「えーっ!」って思わず声を上げてしまいましたよ(笑)。・・・でもこのシーンも、彼の事を知らない人は「なんか、おじいさんが喋ってる」、って思っちゃうのかもなー・・・

でもこれってね、決してそう思った人に問題があるわけじゃなくて、「大切なことを教えてない日本の教育」にそもそもの問題があるんだと思うんですよね・・・。だって、全員最低でも9年も学校に行ってるんですもの。例えばアフリカなどとは違ってね。

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今日は一日カキカキ仕事のはずだったのですが、急遽誘われて大槻ケン○さんのデビュー20周年記念ライブに行ってきました。いやー、楽しかったー。やっぱライブは楽しいです。

サポートメンバー皆さんの演奏も素晴らしかったですし、行ってみたら実は大半が知り合いだった、ってのも面白かったですねー。いやー、しかし三柴さんのピアノはやっぱり強烈でした。唯一無二ですよ、ほんと。そして大槻さんの歌、曲、歌詞、そして喋りのセンス。これまた唯一無二。本当に素晴らしいオリジナリティーを持った人です。大槻さんの本も何冊か読みましたけど、どれもめちゃめちゃ面白いですよー。日本の誇る才能の一人じゃないかな。「あと20年くらいはやりまーす」って言ってたから、これからも楽しみです

で、帰りに本を読んでたはずなのに、いつの間にかウトウトしてしまって、降りる駅を乗り過ごして、「しまったー」って降りて、ベンチでまたウトウトして、次に来たまたその方向の電車に乗ってしまいましたよ(笑)。ドアが閉まってから気づいたんですが、車内で一人で、本気で笑ってしまいましたよ

ではー。



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