「キレイな花だなー。」と思いました。
でも、カメラを持っていたから、この花の存在には、きっと気付いてなかったと思います。写真に撮ると大きくみえるけど、とっても小さな花。マクロレンズってのをつけてたから、もっと近寄って大きく撮ることも出来るけど、なんだか、こう、ひとつの茎に、寄り集まってる感じがいいなぁ、と。でもほんとね、カメラのおかげで楽しみが増えましたよ。
さて。
昨日書いた映画は相当なインパクトだったので、・・・ってわけじゃないんですけど。いや、やっぱりそうかもしれない。きっとそうだ。で、なんかまたそんな話を書くわけです。楽しい話じゃなくて、すいません。
先週だったとおもうんですけど、がっこーへ行く朝の電車の中。僕はドアに寄りかかって本を読んでました。だんだん人が増えてきて、ある駅で、女の子が乗ってきたんですね。一見、普通の子。ほんとに若い、「女の子」。そしてその子は、僕のすぐ目の前に、僕に背を向けるようにして、ちょっとドアに身体を預けるようにして立ちました。
ふと気が付くと、その子は携帯を取り出して、サイトめぐりを始めたようでした。別に覗き込んだわけじゃないんですけど(そういう趣味はありませんです)、たまたま、ちょうど僕が本を読んでる視線の方向にその子の携帯の画面があったので、見るとも無しに、見えてしまったんです。
普通の朝の、普通の電車。でも、その中で彼女の見ていたサイトは・・・。
携帯の掲示板のようなものじゃなかったでしょうか。ちらりと見えたその画面には、ネットのカキコミにありがちな、まったく無責任な、匿名だから書ける様な、他人への思いやりや想像力が欠如したような言葉がずらりと見えました。何かへの文句を言いあう、不満を書きつける、そういうコミュニティなのかな(・・・ほんと最近、色々ありますものね)。でも彼女は、それすらも熱心に読む様子でもなく、さーっとスクロールして眺めて、自分も何か書き込んでるようでした。
「・・・」
そして、彼女は次にね(って書くと、なんかずっと見てたみたいに思われるかもしれませんが、そういうわけではないんですよ。誤解のなきよう。でもねちょっと、気になって。)・・・。
しばらく電車が走って、僕も本に目を戻して、またふと気付くと、今度は彼女はメールのアドレス帳を開いて、「○○さん」「△△△さん」などの名前を、ものすごい速さで・・・消去してたんです。それも、いくつも、いくつも、何十と。
なんかね、怖かったんですよ。理由も事情もわかりませんよ。でもね、なんかね。その消し方に、全く躊躇が感じられない様子が、なんかね。
そして、その携帯を持つ彼女の、五分丈のシャツから覗いてる左手にはね、手首から間接にかけて、無数の傷跡があったんです。もう、腕一杯に。あれは、ためらい傷、というか、いわゆる・・・。
リストカッター、という嫌な言葉があります。必ずしも死ぬ目的だけではなく、何がしかの心の重荷に耐えられなくなって、どうしても自分を傷つけなければならない衝動に襲われるのだそうです。もちろんその行動の先には当然、死、というものも見ているのでしょう。刃物で自分の手首を傷つける。尋常ではありません。心の病気というにも、あまりに危険で、重すぎる。
「切っているときは何も考えない。嫌なことも悲しいことも全部考えずに済む。ただそれだけ」というのは、「DaysJapan」の記事で読んだ、あるリストカッターの女性の言葉です。
「最初は、切って心配をかけたら、自分のことをみてくれるんじゃないかって思ってた」、「切らないと、自分が駄目になる」、「ストレス解消法がないから。でも、周りに当たるのが怖いから」「また切っちゃった・・・って自己嫌悪に陥って、また悪循環に」・・・記事には、こんな女性の言葉が続きます(「DaysJapan2007年12月号より」)。
途中の駅で、彼女は降りていきました。まったく普通の乗客のように。あの手首と携帯さえ見なければ、ほんとうに普通にしか見えない女の子です。
「色んな人がいるよなぁ」
・・・で済ますには、あまりにも重たかった。彼女が気になった理由のひとつに、「もしかして僕と同じ駅で降りるのかも。そして」っていう思いが一瞬だけよぎったからなんです。その「もしかして」は外れましたが、がっこーへ行けば、今の彼女とほとんど同年代くらいの子たちと接するわけですよね。勿論、学生さんたちは皆んな明るくて、音楽に夢を持っていて・・・
いや。
それは否定しない。
でも。
僕に、一体何がわかる?わかったつもりでいる?
いつもみんな言いますよね。
「まさか、あの人が」って。
今日は、学生さんたちの顔を、目を、今までよりもしっかりと見て話をしようと思って教室へ入りました。なにせ大勢の学生さんがいますから、対一人のコミュニケーションの時間としては、やっぱりあまりにも短い時間。しかも皆んなパソコンに向かってそれぞれ作業をしているわけですし、それに対してアドバイスをするわけですから、まじまじと顔を見て話すよりも、やっぱりどうしてもお互い画面を見ながら話す方が多くなってしまいます。でも、今日いつもよりもそう心がけてみて、「あ。これ絶対に大事だ」って確信はできました。思ってたよりも、彼らは、彼女たちは、僕のことを見てくれてました。
そして、彼らには、友達がいる。今はまだ一人ぼっちの内気な子でも、見回せば、どんな子にだって友達になってくれる子が絶対にいる。音楽でどうこうも大事な事だけど、まずは友達を、一杯作って欲しいな。できたら、・・・あの電車の子にも。
しかし、
・・・「なーんか、川村せんせー、今日はなんかやけにニヤニヤじろじろと見るなぁ。」って不審に思われてなければいいんですけども・・・ね。それは誤解です!せんせー、困りますー(笑)。
不審者がられたこと、けっこう多くてちょっとしたトラウマになってるんですから(←これ、カメラのせいね(せい、かい(笑)))。
ではー。