
今日、N本工学院の授業の一環で、ボーカルのレコーディングをいたしました。
コンピューターの前に座って、録音をするのはクリエイターコース(いわゆる作曲コースですね)の学生たち。
そして、ボーカルブース(歌録りの為の小部屋)に入って、歌ってくれるのは、ボーカルコースの学生たち。
全ては実習ということで、僕は、黙ってクリエイターの学生の一番後ろに陣取って、双方の学生たちのやりとりを見守る、という算段でございました。
実際、レコーディングというのは、実は、機材のことがわかるというは勿論ですが、
・・・敬語が使える必要があるのです。
歌に限らず、レコーディングを”される”方というのは、デリケートな気持ちになっています。
上手くできるかな、とか、変に思われないかな、と、見た目は普通でも、内心ではドキドキして、マイクの前に立ったり、楽器の前にすわるもの。
ですので、エンジニア側は、「演奏を録音させて”頂きます”」という、謙虚な姿勢で臨む必要があります。
例外は、気心知れた友達同士ならば、というところですが、
実際には、間違っても、
「もう一回歌うか?」
「大丈夫か?」
「聴きなさい」
などといった言葉づかいはしないのです。
「音量は問題ないでしょうか」
「今のところ、確認させて頂きます」
「もう一度、お願いできますでしょうか」
「よろしくお願いします」
「お疲れ様でした。どうもありがとうございました」
とまあ、このように、丁寧過ぎるくらいでも、ちょうど良いものなのです。
さて、そんな大前提ではありますが、まずはお手並み拝見ということで、録音をしてみることにしました。
そして、クリエイターコースの学生に「やってみたい人」と言ったら、
最初に手を挙げたのが、コロンビアからの留学生くん。
わずかな時間で、日本語の習得もばっちりで素晴らしいのですが、でも、さすがに完璧な敬語までは・・・。
案の定、僕が「そういう時はね」と、細かく口をはさむことに(笑)。
でも仕方ないですよね。
で、二人目。ボーカリストも変わりまして、こちら、エンジニアも交代です。
「はい、誰か次に録ってみたい人」
「ハイ」
さくっと手を挙げたのは、中国からの留学生くん。
・・・まあ、日本語の勉強でもある、というね
。
でもまあ、まがりなりにも、来日して、わずか数か月で、こうして完全に日本語の環境の中で、勉強しているのだから凄いですよね。
そして、やっぱりすごいのは、
「ハイ、ヤリタイ!」
と手を挙げる、姿勢。
ちょっと前にも書きましたが、本当にこういう所は、日本人は奥ゆかしいのであります。
勿論のこと、それも良いところでもあるのですけれども。
実際、そのコロンビアくんや、中国くんが、汗をカキカキ、アタフタしてる時に、
小声で「あ、それはそっちだよ」などと、穏やかに優しく教えてあげているのは、横でじっと見ていた日本人の学生たちなのです。
音楽業界は、競争が激しいところでもありますから、
・・・言葉はアレですが、まあ、
ちょっと図太いくらいでも良いのかもしれないなあ、とも思ったりしますが、
奥ゆかしさも、素敵ですよねえ。
どっちも、応援してます。
ちなみに、個人的には、ラーメンは図太いくらいの麺が好きです。
ではー。