今日は、目黒のさんま祭りの日。
ニュースを見たら、「これは食べねば」と、7000匹は無理ですが、一匹買ってまいりました。98円。
落語の有名な噺に「目黒のさんま」があります。
目黒に鷹狩りに来たお殿様。お供の者がお弁当を忘れてしまいます。お腹が減ってたまらないところに、焼いたさんまの匂いがぷーん。
お殿様、「あれは何のにおいだ」
「ははっ、さんまであります」
「さんま?はて。知らぬが、いいにおいだ。これへ持て。」
「恐れながら、お殿様がお口になさるようなものではありませぬ。あれは、下々の者が食す、下魚でございます」
お腹の減っていたお殿様は、
「つべこべぬかすな!いいから、これへ持てと申すに!」
声を荒げます。
「ははーっ」
こんがりと焼けたさんまが供されましたところ、一口食べてお殿様、
「うむ、なんという美味」
すっかりさんまが気に入ってしまったお殿様。
お城へ帰りましても、あの味が忘れられない。
ある日、「今宵は、さんまを食したい。これへ。」
と、侍従に言います。
侍従ほか皆で「おい、お殿様がさんまをと申しておる」と大騒ぎ。
とにかく、使いの者を魚河岸へ走らせ、最高に新鮮なさんまを手に入れ、
・・・たのですが、ここからがいけない。
「このような下等な魚など食して、お殿様が食あたりにでもなられたらいけない」と、
焼かずに、蒸して、身の脂をすっかり落としてしまった。
ぱさぱさになったさんまから、さらに、
「骨などをお詰まらせになられては」
と、背骨はもとより、小骨の一本一本まで、丁寧に取り除きますと、
さらにぐじゅぐじゅになるのであります。
それを、小さく刻んで、お椀にいれて、
「さんまにござります」
と、お殿様へ供します。
「うむ、これへ」
「ははーっ」
お殿様、見た目で「あれ?」と思ったか思わなかったか。ようよう一口箸をつけ、口へ。
「(もぐもぐ)」
「(あれっ?)」
過日のさんまとあまりの味の違いに、お殿様、こう尋ねました。
「これはどこで買い求めたものだ」
「ははーっ、日本橋の魚河岸でございます」
・・・そこで、お殿様が一言。
「ばかもの。さんまは目黒に限る!」
お後がよろしいようで・・・。
とまぁ、これが有名な「目黒のさんま」のあらすじであります。細かいところは噺家さんによっても色々に脚色されますが、おおむね、こういったものです。
聞いた人は、「あはは!ばかだねぇ、お殿様は。あんなに海から遠い目黒(海から歩いて2~3時間。当時は車とか自転車とか無いですからね)で、さんまが美味しいわけないじゃないか」、と大笑いするわけです。お殿様の世間知らずを笑う、というお話ですね。
僕もここまでしか知りませんでした。・・・でもね、あながちこれはウソではないそう。本当に目黒のさんまは美味いのだそうです。
当時、目黒ではお芋が取れた。農家の人は、それを担いで河岸まで行商に行き、帰りによくさんまを買って帰ったのだそうです。
実はさんまは、取れたてのものに塩をふって、2~3時間馴染ませたものが、一番美味しいのだそう。
つまり、河岸で下味をつけ、目黒に持って帰ったさんまを焼くと、これがなんとも最高に食べごろのものだった、というのです。
面白いですよね。
というわけで、僕も、下味からつけることにしました。こないだ、丁度テレビでも焼き方をやっていたので、こちらでもご紹介しますね。
・まず、包丁でウロコをとる。サンマにもウロコがあるのです。
・塩を上からパラパラと両面に振って、10~20分くらい置く(塩は身が崩れるので、もみこまない)。この塩で、身から臭みをともなった水分が出ます。
・それから、その水分をキッチンペーパーなどでよくふき取り、改めて塩を振る。これも、もまない。
・グリルはよく余熱をして温めておく。これで、身がくっつかなくなる。
・アタマを左にした上がわ、ややアタマよりの方に(まぁ、どちらでもいいんでしょうけれども、食べる時のことを考えてね)、十字に切り込みを入れる。これで、火の通りがぐんと良くなる。
・切り込みを入れてないほうを上にして、5分、中火で焼く。
・絶対に途中で開けない(←これ、ポイントです。途中で食材の温度を下げてはいけないのです。ちなみに、餃子も一緒ね(笑))。
・5分たって焦げ色が付いたら、裏返して、さらに3分半程度焼く。
・これも、途中で開けない。
・はい、これで十字の切り込みから、ジュウジュウと脂がでてきて、最高の食べごろに焼き上がりです。
あと必要なものは、大根おろしとお醤油、それとお好みでかぼすとか。
僕の場合は、忘れちゃいけない、グリーンラベル、ね(笑)。
いやー、我ながら最高でした。ビバ、神奈川県東部のさんま、でした。
・・・実際は、北海道産でしたけれども(笑)。
さんまの下味をつけてるあたりで、北原引越しセンターくんから電話が。
「ケンさん、何やってます?」
「ん?さんまの下ごしらえ」
「ああ、いいですね、さんま。今日はお祭りもありましたし」と。
そして、「だから、ラーメンなら今日はいけないなぁ」と言おうとしたら、
「筑前煮を煮たんで、ちょっとおすそ分けに行きたいんですけど」と言う。
・・・面白いヤツです(笑)。
「おお!大好き!是非持ってきて!」
「では」
と、本当に持ってきてくれました。まだ、温かいのを、タッパに入れて(笑)。
はい、それが、
こちら。
「作りたてなんで、まだ味が。一度冷えてから温めなおして下さい」といっていたが、どうしてどうして、とっても美味しかった。
食後に、「ありがとう!美味しかったよ」とメールすると、
「えー、もう食べちゃったんですか。食べごろは明日だとあれほど」
とのこと。
大丈夫、まだ半分あるよ。
いや、三分の一かな(笑)。
おかげで、今夜は一層おいしー、へるしーな食事となりました。
そうそう、筑前煮はね、ダイエットに最高なんですよ。一週間くらい、これをメインに食べたら、2~3キロくらいあっという間に落ちます。おまけに、身体の中身もきれいになります。それでも、野菜や鶏肉で栄養も摂れるので、体力はそんなに落ちませんので、お勧めでありますよー。
ではー。