ある人に、ナントカ占いによると俺の来年はものすごくいい年になる、ということを言われた。
まぁ今、何を信じないかと言われたら、占いと守屋前防衛事務次官ほど信じられへんものは
ないわけやけど、いい年になる、と言われて悪い気はせえへんわな。
でも実はこの「悪い気がせえへん」というのが占いのミソというかカラクリ。つまり、悪い気が
せんとちょっとでも気分がよくなり、いいことが起こる確率はほんの少しでも上がることになり、
ほんの少しだけの“いいこと”でも、占いで言われた通りや!みたいな安直な喜びにつながり
…と「風が吹けば桶屋が儲かる」風に連鎖していくわけ。逆に悪いことを言われると嫌な気が
する、ということでも原理は同じや。
俺はこういう「心理操作」というものが大嫌いなので、操作されることもすることもしない。
でも、そんな俺が一度だけ自ら進んで占いをしてもらったことがある。それは、今の会社に転
職する時のこと。
さすがに40歳を越えての転職ということでやっぱり勇気がいったし、ものすごく悩んだ。で、
結局転職しようと決断したんやけど、さすがに人生の一大事やから、その後に、なんか転職
へ向けての“勢いづけ”みたいなもんが欲しかったのよね。そこで俺はふと思った。「とんでも
なく当たる」という噂の占い師の所へ行って、是非「あなたの転職は失敗します」なんてこと
を言ってもらい、それをものの見事に外してやろう、と。
我ながらなんといじけてるというか、こういう「まやかし」を徹底的にやっつけてやりたい、と
いう思いに駈られた時の俺のエネルギーはものすごいもんがあるので、きっと勢いがつくは
ずやし、逆に「成功します」といわれりゃあ、それは始めに言った通り悪い気はせえへん訳や
しそれはそれでええから。
で、俺の今。とりあえず転職は成功してるみたい。
ところが、その時占いの人がどう言ったのかを全く覚えてない。たぶん行ったはええけど、
端から何も聞いてなかったんやろね。
結局いじけてようがまっすぐだろうが、前進するエネルギーさえあればできないことなんか
何もない。そういう意味では俺の場合、占いと言われただけで、それを否定しようとするエネ
ルギーが湧いてくるのでちーとはその存在意義があるのかも知れない。
もし、こういうところまで考えて占い師という職業を選んだ人はとても利口。
でも自分では絶対に占いを信じない人やろけどね。
※来年はいい年になる、と言ってくれた人にはもちろん何の罪もなく、感謝しています。