僕たちは一生子供だ

自分の中の子供は元気に遊んでいるのか知りたくなりました。
タイトルは僕が最も尊敬する友達の言葉です。

はいはい、お幸せに。

2010-10-21 | Weblog
男は50歳、奥さんに先立たれ、一人娘を男手ひとつで育て上げた。
女も50歳、ご主人と別れ、(一人?)娘を女手ひとつで育て上げた。
出会うべくして出会った二人が一緒になることになった。

男は釣りが好きである。女はついてゆく。
魚が釣れると、女が「キャー釣れたぁ」と声を上げるもんだから困ったもんだ、と男が言う。
はいはい、それは困ったものですね、「キャー」て魚がたくさん釣れるのね、と私は思う。

女が唄っていると、男はこれ以上ない笑顔で女を見つめている。その目はたぶん上瞼と下瞼が
入れ替わらないとできないくらいに細い。「恋は細目」でしたかね?はいはい。

一緒に暮らしているのかと俺は問う。「いやいや、カリ住まいはあるけどな」と男は答える。
そのいやいやはなんですねん。宇宙まで舞い上がった男に、「そうそう!カリブ海はいいねぇ!」
なんてツッコミを入れる気にもならんわい。

私と彼らが知り合ったのは1年半前。いきつけのお店で。
個人的な付き合いはなく、店で会い話をし、音楽を一緒にするだけで、今までの彼らの人生は
人づてに聞いただけ。

50歳を超えてもまだケツの青い私に彼らの苦労のほどが分かるはずもない。
ただ、これだけは分かる。きっと50年経ってつかむ幸せの密度は、若い頃につかむ幸せの何十倍も
濃いものであろうことが。
ただ、これだけは信じたい。必死で全うに生き、人の何倍も苦労してきた人には人の何倍もの
幸せが待っているのだということを。

どちらかというと蜜の味が好きな私が、この幸せ感に圧倒されている。
大げさではなく自分の娘を嫁に出した時よりも彼らの幸せのほうが嬉しい。

はいはい、素直にお祝いすりゃいいんでしょうよ。
キャー、君たちに幸あれ。いやいや、蜜の味もたまにくれ。