
人はたったひとつの自分の一生を
生きることしか出来なくて
あといくつかの他人の人生を
ひっかいたくらいで終わる
でもそのひっかきかたに
自分の一生がかかっているのだ
ー谷川俊太郎「午前二時のサイレント映画」ー
大好きな場所
に
スクッと
伸び立つ
樹木
が
ずっと
気になっていた
特徴
を
羅列して
検索してみると
おそらく
~バクチノキ ~
では
ないか
と
辿り着いた
鱗状
に
樹皮
が
剥がれ
中からは
なんとも
生々しい
赤い木肌
が
現れる
〜樹皮が自然にばっさり剥がれ落ちる様子が
いさぎよく、失敗を恐れず大胆に
挑戦する人にふさわしい。〜
とも
記され
縁起木
としても
認識されているらしい
すくすくと
成長を続けている
樹木
の
樹表
は
生きているんだぞ!
と
云わんばかり
に
赤い木肌
が
まるで
血流
や
血脈
が
あるかのような
躍動感
に
充ち溢れている
対して
傍らに
葉も
枝も
落とされた
朽ちかけ
の
一本
の
バクチノキ
が
在るのだが
まるで
風化した遺跡みたい
に
首を擡げように
佇んでいて
それは
堅く
厚い
鱗状の樹皮が
剝げ落ちるコトなく
挑むコト
を
止めてしまった
悲哀感
に
充ち満ちていた
同じ
土壌
に
根を下ろした筈が
いつのまにか
全く
異なる
生き様
を
選んでしまう
今生
の
人々
の
多様なる
生きざま
そのもの
の
ようで
ハッと
させられた
の
だった
その場所
へ
導かれるように
辿り着く
と
いうコト
は
望むモノ
望まれるモノ
が
両立している
が
故
だと
想う
でも
その場所
で
気付かなければいけないコト
を
知るか
知らぬまま
終わらせていくか
で
枝葉の数
も
根の張り方
も
遷っていく
の
だろう
傷付いても
成長できるなら
悦んで
その身を
晒せるような
バクチノキ
は
時々
行方を
見誤りそうになる
ワタシ
の
生き神さま
なのかもしれない
ヒト
は
どうしても
利き手
や
利き目
が
有る様に
少しだけ
偏った捉え方
を
してしまう
それが
個性
や
主張
なのだけれど
大切なモノ
が
増えれば
増えるほど
それでは
生き辛く
行き詰まって
しまう
のも
正直なところ
だ
脱皮
を
最期の瞬間
まで
繰り返せるくらい
の
貪欲さ
と
引き際の良さ
を
併せ持ったモノ
で
在りたい
空に
憧れながらも
自身
の
大地に
然りと
根を張り巡らせられる
たじろが無い
生き様
を
貫けるモノ
で
在りたい
時々
は
風に
褒めてもらうかのように
枝葉
を
撫ぜて
貰い
ながら