チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

利休の月

2014年02月18日 09時23分46秒 | 日記
私たちは真っ直ぐ「かんぽの宿」の露天風呂に
「えいゆうさま」は入浴道具を二人分用意され
「はいこれ」
とバスタオルとタオル、andキャップの入ったビニール袋を私に手渡す

チャコちゃん先生は脱衣所の戸棚を二つ分占領し着物を脱いでいく
仰天した顔で二人を見続ける入浴者達
それはそうでしょう尼僧と着物姿
「なにごと!」

月見の露天風呂ではもっとすてきな贈り物が待っていた
中天に上った月が風呂の湯の中に落ち着いていた
私たちが湯を揺すると月も一緒に踊る
「なんと!これはまるで映画利休にたずねよの構図ですよ」
「それなーに」
ということで映画の話を熱く語る

ちょうど其の時間後で分かったのだが
「利休にたずねよ」の原作者山本兼一さんの通夜が執り行われていたのだそうだ
享年57才の若さ

この月の話は次の日のお茶席で盛り上がり
赤穂の驛近くの映画館で上映されていることが分かり
住職と映画を見に行くことになる

葬儀の時間に私たちは映画を見ていたのだ
図らずも自然に供養していたことになる

しかし映画が終わり小腹がすいたということで喫茶店に入って
やれこれからお茶しようというときに
何気なく帰りの時間を見ようとチケットを見たら
なななんと新幹線に乗る時間があと数分

これはたまらんと
切符を取り換えるのに飛び回り
決着して落ち着いてメロンパンを口にしたら「ぽろ」
チャコちゃん先生の歯が落ちた

「これはこれは」
おしぼりに包んで持って帰ったつもりが
何も入っていないてテイッシュを丸めたものをバックに入れていて
歯は赤穂に残ってしまった

(つづく)
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