チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

蚕の受難

2015年12月14日 11時22分50秒 | 日記
天の虫をまとめた字が蚕
本当に天から人間が授かった虫としか思えないほど
蚕は人間に従順
己の命の全てを投げ出し研究者の追求のまま実験台に生身を投げ出している
世の中の遺伝子工学の元は
優等生の蚕にまさるものはない

蚕は日本の農業の先端を走っているといつも思う

遺伝子を利用する格好の生き物なので
今年は蜘と蚕を交配
蚕とクラゲを交配
蚕を人工飼料で育て一年中繭を吐ける状態にしてサプリメントの材料にする

すべて人間のために我が生命を投げ出している蚕

本来蚕が糸を吐き繭を作るのは
蚕が存続するために自分のシェルパーを作ったのだ
中で蛹になり殻を破って蛾になって交尾し命をつなぐ

人間はその繭から糸を取り自分の衣服を作った
たしかに蚕は変態して蛾になる時繭を脱ぎ捨てる
その繭を糸にした人間は自然法則を守っている
つまり蚕が捨てたものから糸を作るのだからこれはもう自然だ

しかし
その糸があまりにも素晴らしいので
人間はついにまだ蛾になる前
つまり蚕が繭を捨てる前に繭の中の蛹を殺してしまうという暴挙にでた
私たちはその暴挙の戒めとして布を切り落として捨てない仕立ての着物を作った

ここまでは天からのいただきものという謙虚な気持ちが見える

しかし蜘蛛だクラゲだ人工飼料だとなった今
蚕の気持ちはどうなのだろうか
コメント
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