お正月に晴れ着を着なくなって久しい
おせち創りが趣味だったがそれもしなくなった
暮れに京都の「辻留」にいって「黒豆の煮方」を教わったりした
だから黒豆はうまいんだ
八坂神社に「おけらび」をいただきに行き
オクドさんに火をつけて雑煮づくりもした
そしてできた「おせち」を重箱に入れ東京に持ち帰ってみんなで祝う
何と悠長で優雅なお正月を迎えていたのだろう
晴れ着を着た人たちが家に集まってきて「カルタとり」
そのうち麻雀になって男たちは腕まくりで必死になる
彼らは生まれつき勝ち負けが好きなんだ
育った家でもお正月になるまでの行事はいろいろあって子供心に楽しかった
何より町内会うち揃っての「餅つき」
割烹着を着たお母さんやお姉さんが手ぬぐいを姉さんカブリにして、きびきびと動き、餅を丸めていく
あんこづくりがその餅の中に餡を入れる
そこに小さな手が一個盗み、二個盗みと手に入れて逃げていく
こういう状況は戦争とともに消えていった
此処十二社でも20年前までは「餅つき大会」を町内で行っていた
新宿の田舎として誇りを持って暮らしていたが、今はマンション族が多く田舎の気配がなくなり、それと同時に江戸の風も消えていった
ただ一つ
鳶たちが作る門松に江戸を感じる
花柳界もあったのでお正月は晴れ着の姐さんたちの姿もあでやかだった
公園の樹木は変わらずとも人の営みは年々変化する
それが時代の移り変わりなのだろうと散歩しながら感慨にふける朝
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