今声楽のレッスンをさぼっている
55歳の時、その当時社会の定年が55歳で、上皇陛下が即位したのも55歳、妹君が「お兄様は社会の男性が一線を退きゆったりとした生活に入るのに、これからが本番人生で大変だと思う」とおっしゃったので、「そうか55歳で何か挑戦しよう」と思い立ち、声を出すのが好きだったので声楽を志した
そのころチャ子ちゃん先生のマネージャーがママさんコーラスをやっていて、指導の先生は芸大出身のバリバリというので個人レッスンという形で紹介してもらった
初めて伺ったら
「素人に教えたことがないので、声を出したかったらコーラスの方へどうぞ」
「コーラスはやりたくないのです。声楽を教わりたい」
聞くと音楽学校の受験生のための指導、また二期会に入っている人たちの指導、更に有名劇団の人たちの歌唱指導ということで、ここでしり込みしないところが図々しいチャ子ちゃん先生
決して声に自信があるわけではない、「頭の中は55歳で挑戦!」という考えに酔いしいれているだけ
ご夫妻ともに芸大出身で男先生はテノール(帆足卓也)、女先生はソプラノ(山城道子)
女先生がコーラス指導をしていらしてクリスチャンで教会の音楽指導も行っている優しい方、ニコニコ笑いながらお茶だお菓子だともてなしてくださる(しかし本番の時は厳しくチェック)
「先生は高校生の時藤沼先生(大分の音楽家はほとんどこの先生に教わっている)に師事されたのですよね、そして芸大に優秀な成績で合格されたとお聞きしています。実は私も高校で音楽担当が藤沼先生でした」
「じゃあ大分上野が丘高校の出身なの?」
「ハイ、ピアノは辛島先生に教わりました」
「えっそう、辛島先生の次男辛島先生は芸大の教授だよ」
というわけで「声を出して見ますか」というところまでこぎつけ
「声は小さいし響きもないけど音程が確かなので少しずつやってみようかね」
と入門許可
発声がこんなに気持ちのいいものとは思わなかった、普通の発声から、寝て発声、かがんで発声、腰をおって発声、後ろ向いて発声、それからエチュードをながながとやりやっと歌に入る
その間体の骨の位置、頭蓋骨のどこに声を響かせるかなど等、背筋を伸ばしてお腹を引っ込め横隔膜を広げる、横隔膜を
広げるのは肩甲骨を開く
「先生この骨の使い方着物の着付けと一緒ですよ」
嬉しい発見
そして初めての発表会に「芭蕉布」と「待ちぼうけ」を歌うことになり
「そうだ芭蕉布の着物を着て歌おう」
知り合いやスタッフを総動員して会場に来てもらった
無知のこわさ、私以外はプロかセミプロ、プロに向けて勉強中の方ばかり
聴けば聞くほど恥ずかしく身の置き場もない
プリマをはじめ皆さん優しく「お着物で歌うっていい姿だったわよ」と声をかけてくれる
それ以来発表会は着物で歌っている、だってほかに見せ場がないもの、着物に感謝!
「素人に教えるのはいろんな発見があって面白い」
と男先生、それ以来素人にも門戸が開かれている