昨日の雨で木の葉が散り、道路は落ち葉の山
土の上に落ちた落ち葉はそこが安住の地になるのだが、歩道に落ちたおびただしい落ち葉は、風に吹かれてあちらにこちらにと揺れている
出来るだけ踏まないようにと歩いていたら、都庁裏に住む路上住民が落ち葉をかき集めていた
今時珍しい「高帚」をもって落ち葉を片付けている
年齢は60代だろうか、お家にいたときはきっときれい好きだったのだろう
どういう人生を過ごして、これから寒くなる日々を路上ですぐすのだろうか?
「ご精が出ますね」
「いやーいい運動です」
とにっこり笑って箒を動かしている
、
都庁裏の公園を住処にいしていた人たちが大勢いたのが、今から20年も前
その頃もいまごろの季節は公園住民は掃除に余念がなかった。あちこちに葵テントが張り巡らされ、一個のコミニテイーが出来ていた。公園でのラジオ体操が終わるころそこの住民はお茶の時間を持つ
いい香りがテント内から漂ってくる、ある日そのテントに近づいたら
「オネエサンどうですか?いっぱい」
といってロイヤルコペンハーゲンのマグカップを差し出されて驚いた。しかもキリマンジェロの味だ。思わず口にした
「おいしい!」
「ははは」
とおじさんたちが笑う
すぐ取材体制になるチャ子ちゃん先生
「贅沢なお暮しですね」
「仲間がいいですからね、居心地がいいですよ」
とその中の一人が衝立に隠れて(テントの中に衝立もある)パリーっとしたスーツに着替えて出てきた
「いってきます、ごゆっくり」
あっけに取られているチャ子ちゃん先生
「お勤めここから?」
「あの人は大学の教授」
「えっ!」
「詳しくは聞かないことになっているけどね、大企業に勤めている人もいる、そうそうあそこに朝出かけた人もいる」
と都庁を指さす
すごす
時々家に帰り、またここに集まって何となく将棋を指したり、マージャンをしてすごす。料理上手が買い物をして来て整える。それぞれ得意分野で分業をしながら、その人の背景には立ち入らず優雅な時間を持っているようだった
しかし都の意向で一掃され、今はこの公園は子供を中心にした場所になっている
おじさんの一部は都庁裏の路上に引っ越したのだろう、これから寒くなる