出雲紫草は質がいい
とかねてから噂に聞いていた
その栽培の主は「舟木清」さん
紫根染めのしぼりの着物を染めている寺田豊さんにご紹介いただき本日お尋ねした
出雲は快晴真っ青の空の下美しい斐伊川の流れを遡りながら、色付き始めた山並みを眺めているうち、「うん?ここは何か見覚えある」
そう、あの夥しい銅鐸が見つかった山の近くだ
舟木さんのお話を聞いたら、まさしくその銅鐸に縁あって紫根の栽培を始めたのだという
銅鐸は弥生時代のもので、文化庁や考古学者たちが入れ替わり立ち替わり、この地の研究を始めた、その時船木さんも参加して、その当時の食べ物や家の作り、また衣類のことについて研究を重ねた時、出雲風土記の中に、この地は紫草の産地であったことが書かれていた
薬草でもある紫草を栽培してみようと思い、種を探して指定された畑に蒔いた。しかしその時はうまくいかず、自分の畑に撒いたら勢いよく育ち始め、土壌作りから本腰を入れて栽培を始めた
それが2008年のこと
その後試行錯誤しながら栽培を続け今では日本一の紫根の誕生
紫の色は紫根で染めるをよしとする。タネを大事にしているので種の改良を目論む人には種が分けないという強靭な姿勢
日本古来の種を大事にしたいのだ
万葉集に詠まれ、神事の色となり、紫根で染めた色は高貴さを表現する
正倉院御物の中の紫根染めの色を再現するためには舟木さんの紫根出ないとあの色は出ない
染色家たちの話も取り入れながら舟木さんは紫草を毎年栽培する
根をしっかり育てるのは、葉が美しく育つ環境を作らなければならない、植物の気持ちを汲み入れながら土の開墾、草の間引きなど注意深く作業をしている。
見えるところが美しくないと、根も美しくない
根を張らせるには太陽と水と風
時期というものがあって、焦っても、怠慢になっても物事は成就しない
人の生き方も同じだなあと思いながら取材を終えた