大原麗子さん

あれは森進一さんと再婚前だった
人形の東玉の衣装デザインをしていたチャコちゃん先生
其のコマーシャルに
大原麗子さんをお願いした

全国区のCMではなく地方局のCMだが
大原さんは快く引き受けてくれた

其の前数年きものブックのモデルをお願いしていて
チャコちゃん先生のコデイネートを気に入ってくださった
当時はきつけもさせていただいていて
其の衿合わせがいいとーー

大原麗子さんは白がお似合い
白地に金箔の肩身代わり
白地に金泥の葦の葉
白地に白い鶴の刺繍とか
白をテーマにきていただいていて
いつも一発でOk

ところが或る日
雑誌の仕事で紫地の訪問着を持っていったところ
「これは京紫、私は江戸紫がいいの」
と譲らない

「ナマイキ！フン」
と思ったが江戸紫の地色を顔に持っていくと
さすが！よく映る
参った！！！

結婚披露にもおよばれし
引き出物にカルチェのボールペンをいただき
いまだに使っている

お二人の新婚家庭にも何回か伺い
着物の着付けをしている
夫の森進一さんが子供みたいに可愛かった

紅白の審査員に出たときだと思う
白地に金泥で鷺と葦の葉を手描きした色留
これがまた良く映る
「まずいかな」
「まずいでしょ、白組応援になってしまう」
「でも着たい」
と言うことで急遽紅絹の長襦袢
赤の伊達衿、紅白の帯締め
というコウデイネートで落着

その後なんとなく疎遠になってしまったが
舞台に出てらっしゃるときは
楽屋お見舞いして
お会いしたが

笑顔の美しい方で
それで居て芯がしっかりしていた
「私はこうよ」
と頑なまでの心が
あの美しい顔に隠されていた

今風水で見ると「天」のひと
白が似合うわけだ
そして真直ぐに自分の道を歩むわけだ

お一人で静かに旅立ったのだろう
そして今日は立秋