チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物を脱ぐときーー

2015年06月10日 15時22分28秒 | 日記
脱いだ着物をどうしていますか?
ハンガーに掛けてしばらくそのまま置く
と言う方がほとんどだと思う

仲間のMさんは
脱いだ着物に必ずアイロンをかけるという
其れを聴いていた連中
「ひえーー」と驚いた

「蒸気アイロンだから当て布もしないでささっさとね」
「毎回?」
「もちろんよ、そうすると着るとき気分が楽でしょう?」
「ーーーーー」一同こえなし

先日別の方で
「昨日は出していた着物をやっとたたんで仕舞いました疲れた!」
聞くと出かけた後疲れたのでココ10日分部屋中にかけていたのだそうだ
一度たたむのをさぼると永遠にたたむのが億劫になる

「私は腰紐とか伊達締めは丁寧に巻いてしわを取るけど着物はぬくもりが取れたらたたむ」
畳紙に一枚ずつ入れてしまう人
着物ときものの間に和紙を挟んでおく人

それぞれ工夫をしながら着物と付き合っている
しかし
毎回アイロンをかける人は珍しい

脱ぐときは
「先ず足袋」
と言う方がほとんど
足袋を脱ぐことで開放感を味わう
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梅雨入り

2015年06月09日 10時44分23秒 | 日記
花奈から実
季節は移ってきた
何と早い。最近は一週間が「アッ」という間
それだけに一瞬一瞬を大事にしないととつくづく思う

芭蕉布の雨ゴートのことは前にも書いたが
芭蕉布は布が延びないので、長く着ていると縮んでしまう
写真のコートも袖の所に当て布をしている

しかもこの形が良い
実はこのコートにおはしよりの布を当てると着物になる
こう言う手品をして下さったのが二戸の田家呉服店の女将
着姿を如何にスッキリ見せるかを研究し
「田家粹」たやすい着物と名をつけた

本来は誰でも着やすいようにワンピース仕立てを考案したのだが
チャコちゃん先生はそれをコートとして愛用することにした
着物をワンピースにし
おはしよりの部分を別布に仕立て
着物として着るときはそのおはしよりを着ける

帯をしてしまうと普通の着物姿になる

着物を心から愛していないとこう言う発想は生まれない
しかし
梅雨の雨ゴートとしては最適な芭蕉布ではある
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紅花染めのパジャマ

2015年06月08日 12時35分10秒 | 日記
友人がお姉様の入院生活を優しい環境にしようと
かねて考えていらしたが
紅花染めのパジャマに決定

寒中染めを山岸幸一さんにお願いして
写真のようにできあがった
なんだかみんなの気持ちが優しくなり
触っているだけで元気になってしまった

紅花は紅花の液を使って「紅花療法」たるものがむかしあった
チャコちゃん先生が学生の頃だが
厳しい叔母がいて私の素行を常にチェックチェックで細かく小言を言われていた
その日も呼び出しを食らって重い足を引きずって田町の家に行った

「出かけるのよツイテらっしゃい」と阿佐ヶ谷まで
当時チャコちゃん先生大學の阿佐ヶ谷の寮に入っていたので
更にうるさい舎監さんに叔母が呼び出されたのかと思い
殊勝な態度で叔母の3歩後を渋い顔で従って歩いた

とあるに本家屋の家の前で「ココよ待っててね」
半分胸を撫で下ろしおそるおそる玄関にはいると「紅花治療」という文字が読めた
治療室に入った叔母は「ヒサちゃん身にいらっしゃい」
と呼ぶので白いカーテンをくぐると
白衣を着たおじいさんが竹べらで叔母の指をマッサージしている
叔母の指がみるみるピンク色に染まる
傍に赤い液体が置いてありおじいさんは其の液体に竹べらを入れては
叔母の指をマッサージする

なんとそれは紅花の液で
其れをこすりつけると毛細血管を刺激して血の巡りが良くなるのだそうだ
叔母は其の治療を受けるようなってリュウマチが完治し
チャコちゃん先生にも優しくなった
其れが一番良かった
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ルセーヌ館

2015年06月05日 11時34分17秒 | 日記
季刊 KOSMOSと言う雑誌を出していて
其の表紙には当代一流の染織家に「秋櫻」を書いていただいていた
創刊号は初代由水十久先生
其の当時チャコちゃん先生は新聞に
「名人を訪ねて」というテーマで寄稿をしていた

そのとき多くの方達を取材させていただいた
基本は着物に携わる方ばかりなので
作り手売り手
さらに当時華々しく活躍そていらした
「着物研究家」という方々も取材の対象

その中でも由水十久先生とは特に気があって
まだ酒豪だったチャコちゃん先生はいつもいつもお酒のお付き合いをしていた
そしてこの本を作るにあたってトップバッターをお願いしたら
快く引き受けて下さった

東京から金沢の仕事場に秋桜の花をわんさと送りつけ
先生はスケッチを始めた
「ずっと見てると花弁から花びらが落ちる風情が慎に艶っぽい」
と仰って花びらが3枚くらい残っている秋櫻も描いて下さった

2号目はこの先生とも大の仲良しで
よく道具函ヺ抱えて事務所に現れ竹だとか牡丹の花の墨絵の書き方を
うちのスタッフに教えていた熊谷好博子先生

そういう素敵な先生方にお願いした表紙絵
「こすもす表紙10人展」をルセーヌ館で開催した

ああーー話が長かった
そのルセーヌ館に久しぶりにいったら
表紙絵のおひとり前田先生の息子さんにばったり
やはりルセーヌ館は素晴らしい
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初心

2015年06月04日 09時19分42秒 | 日記
色々と身の回りにおきることが多いので「初心」について考えてみた
チャコちゃん先生の場合は「着物」だ
昭和46年に主婦と生活社から「若い人のためのきものの本」を出版した
それがきものの本を出版した一冊目

きものの取材を始めて3年目くらいだと思う
きものの基本が面白いと思ったものだ

其れまでは婦人誌のフアッション記者
つまり洋服こそ命みたいな取材活動していた人が
新宿のデパートで「万葉の色を染める」という展覧会場に足を踏み入れ
その日からきもの道にはまってしまった

それは日本人として「きもの」を識らないと
日本人の本当の心根や文化が解らないと思ったからだ
それから
各地の取材旅行が始まり
またきもののことを色々教えて下さる方にもお会いし

「おもしろがって着ているので一冊の本にまとめてみたら?」
と仰ってくれたのが主婦と生活社で「ジュノン」という本の編集長だった

モデルには友人の女優さん生田悦子さん
ヘアメイクは大関早苗先生
その他メーカーの方々のご協力でこの本ができあがった

きものの基本を素直に正直に編集をしていて
ここの時点に帰ることがチャコちゃん先生の初心だ

しかもこのときの着物に対する尊敬の念も今も全く変わっていない
着物が如何にチャコちゃん先生を見守ってくれていたかを感じる

ときどきこうして読み返す
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芭蕉布の雨コート

2015年06月03日 09時22分57秒 | 日記
真っ直ぐな雨は好き
爪革のついた雨下駄と蛇の目はたまらなく好き
雨コートはチョット肌寒いときは大島紬の単衣のコート
むしむしする日は紗のコート
そして絶対脱がない場合は芭蕉布のコート

梅雨から夏そして九月にはいるまでこの3種類のコートが活躍

芭蕉布のコートを着ているとき
あるデパートの呉服売り場の店員さんに注意をされた
内容はまあ「ふさわしくない」というようなことだったが
言い返さないでそのまま「有難う御座います」とやり過ごした

まだ沖縄が日本に復帰していない頃
チャコちゃん先生琉球の染織の研究に沖縄に赴いた
そのとき見た風景は
芭蕉布は琉球風に羽織ってみんなが踊っていた
つまり農民の着る布であった

平良さんの工房も尋ねた
女達が楽しそうに仕事をしていた
その中の人たちも芭蕉布を羽織っている人もいた

チャコちゃん先生の芭蕉布の原点は其の時代にある
そのときもちろん求めて帰った
普通の着物に仕立てようとしたら
姑がチャコはきかないしへらもできない躾糸でかりぬいしなければ無理ね

そして仕立て上がった芭蕉布は着付けがタイヘンだった
今は糸が細くなり高級品になってしまったがーーー

というわけで雨ゴートにしたら
何と快適!
着物にも適材適所がある
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着物は着たいと思ったときが着るとき

2015年06月01日 13時11分01秒 | 日記
6月1日は衣替えでこの日から着物は単衣という人が多い
冗談ではない
5月5日頃は「立夏」だよ
チャコちゃん先生はこの日あたりから単衣にして久しい

今年は5月に夏日が多く
沢山の人が単衣を着始めたことが嬉しかった

5月は洋服でもノースリーブを着る人が多い
其れなのに何故に袷の着物を着なければならないのか
一体其れは誰が決めたの!

と言う思いでチャコちゃん先生歴史を紐解いたところ
とんでもない話が出てきた
6月1日の衣替えは明治五年に発令されたものだが
その中には「着物」のことは一切記されていない
つまり「制服」の決まりであった

軍服、学生服、車夫、郵便屋、裁判所、官吏など
制服着用の衣替えだ

着物の場合は江戸時代から四立の中での取り決めが基本になって居た
「立春」「立夏」「立秋」「立冬」
つまり着物は自然との協調を主としていたのだ
だから柄や色にも自然を取り入れた物が多いのもうなずける

「ああせい」「こうせい」
ではなく自分の身体と自然の移り変わりを感じて
其れにあわせた着物生活が最も美しい

着たいときに着るのが一番

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