はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京都国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
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目を使い過ぎると

2020-05-10 09:31:00 | 養生

患者さんへのアドバイスで、目を使い過ぎないようにしてください、と伝えることが多くなっています。

人は目から大部分の情報を得ます。テレビを観たり本を読んだりすると目が疲れます。また、パソコン・タブレット・スマホを使っている人がほとんどだと思いますが、それらの機器は特に目を酷使します。(聴覚障害のある方は視覚による情報がより重要となるため、また違った目の疲労があると思われます。)
 
東洋医学では、目を使うと血を消耗する、と考えます。ちなみに「血」と「血液」はほぼ同じですが、完全に一致するものではありません。
「血」は全身に栄養を与え、精神を安定させる働きがあります。
 
また、東洋医学では五臓として「肝・心・脾・肺・腎」という概念がありますが、こちらも、西洋医学的な「肝臓・心臓・脾臓・肺(臓)・腎臓」と一致するものではありません。
 
この五臓のうち、「血」と関係が深いのは「肝」「心」「脾」です。
「肝」は血の量を各臓器に配分したり、時間帯(昼・夜)に応じて調節したりします。
「心」は脈中(西洋医学でいう血管)を介して全身に血を巡らせます。
「脾」は血を生成し、脈外(血管の外)に漏れ出ないようにしています。
 
「肝」には収斂(しゅうれん)という作用があり、夜眠っている間に血を「肝」に集めます。また、「肝」は血を滋養するという働きも担っています。そのため、夜はなるべく頭や目を使わずに静かに過ごし、早めに就寝するようにします。そうすることで、血が十分に滋養され、血を必要としている目の疲れも回復しやすくなります。
 
スマホやパソコンを長く使用する方は、頻繁に画面から目を離すようにし、眼球の運動をするようにしてもいいですね。アイマスクで温めるのも良いと思います。
 
ちなみに、女性は目の使い過ぎによる症状が男性以上に出やすいことが多いです。「血」を消耗するということは貧血状態になっている、ともいえます。女性は生理があるため、普段から「血」が不足しがちです。生理痛や月経前症候群(PMS)を起こしやすくなりますし、不妊症にも繋がっていく可能性がありますので、どうぞ目を大切にお過ごしくださいね。
 
 
 冒頭の写真は、昨年9月の北海道旅行で行った開陽台からの景色です。360°遮るものなく景色を見渡せるスケールの大きさに驚き感動しました。
こういう場所から遠くを眺められたら目の疲労の回復もより速やかになりそうです。
 
近くばかりを見ないように、窓からでもよいので遠くの景色を眺めてぼーっとするのもお忘れなく。
 
コメント
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