はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京都国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
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患者さんからの相談を受けて考えたこと

2021-05-19 22:07:30 | 鍼灸

先日、患者さんから一人暮らしのご自身のお母さんのことで相談を受けました。

お母さんは病気自体は完治したものの後遺症に悩まされていました。少しでも楽になれたらと、近所の鍼灸院の往診治療を開始。週3回のペースで治療を受けて1年ほど経ちましたが、治療後は毎回だるくて数時間は動けなくなってしまうそうです。お母さんは担当の鍼灸師に治療回数を減らしたいと伝えましたが、現在の症状には必要な回数であり、このままのペースで治療を継続することを勧められました。このことを相談された患者さんは、お母さんの治療に立ち会われたそうですが、施術時間は1時間から1時間半ほどだったそうです。
 
鍼灸師ごとに治療方法が異なりますので、他の鍼灸師の詳しい治療内容は分からないことが多いのですが、この話を聞いて複雑な気持ちになったと共に、いろいろと考えさせられました。
 
 
慢性的な症状の場合、自分が見立てた方針で計画的に治療しますが、その人に合った治療をする上で特に大切なのは、治療による刺激量の調整だと私は考えています。刺激量は患者さんの脈や舌やお腹の状態に加えて、皮膚の状態を診て調整しています。刺激に強い人は皮膚にしっかりと張りがあって、さらっとした感じ。刺激に弱い人は皮膚が薄くて柔らかく、しっとりしている感じです。刺激に弱いと判断した場合、私はできる限り患者さんへの負担がないように気を付けながら施術しています。
 
治療後に起きる反応も人それぞれです。
・眠気が強くなる。寝たらなかなか目が覚めなくなる。
・全身がだるくなる。
・それまで気になっていなかったところに違和感が出る。
・トイレが近くなる。
以上がよくあるものになりますが、挙げればキリがないほど個人差があります。
また、反応が起きるまでの時間が早い人や遅い人、反応の持続時間が数時間から数日間続く人もいます。
 
治療後のちょっとした変化や違和感が気になったら、まずは施術した鍼灸師に相談して下さい。身体に起きた変化を具体的に教えて頂けると、鍼灸師はそれが様子を見ていたら落ち着くものなのか、対処が必要なのか判断できます。良くないのは、これは何なのだろうと一人で悩むこと。身体に起きている感覚は患者さん本人にしか分かりませんので、遠慮せずに話して下さい。
 
鍼灸師は適正な刺激量を心がけて治療しても、刺激量の調整がうまくいかないこともあります。その場合、鍼灸師は誠実に対応する責任がありますし、そもそも患者さんがそういった相談をしやすい関係を築くことも大切です。また、患者さんの感覚を優先するのが何よりも大事です。
 
今回相談を受けたケースは、おそらく刺激量が多すぎることによってかえって患者さんが辛い思いをしているのではないかと推測されます。もう一度、担当の鍼灸師に相談して、ちょうど良い刺激量の治療が受けられるようになることを願います。
 
そして、私自身も他人事とせず、今一度気を引き締めて治療していきたいと思います。
 
コメント
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