最近、仮面高血圧という症状があると言うことを聞きました。病院 やなにか特別なところでの計測に高血圧状態に成ることは、以前 から話として聞いてはいます。ところが、血糖値に関して20年位 前、診療した患者さんに食事改善で糖分摂取量の是正による『食 事療法』、糖消費量を増加させる『運動療法』、これらを基本に、 経口糖尿病薬で血糖値を抑えたり、インスリンの注射等、現在も行 われている処方を行った。ところが、このご婦人は原則に沿った どんな治療法を試しても、血糖値はいっこうに改善もしません(悪化 もしませんが)。そのころアメリカからゴ-ルドマン博士という精神 科医が来日、偶然パンフレットに「仮面うつ病」という言葉を見つけ た。その説によると、狭心症とか胃潰瘍など、身体的疾患として 内科的に治療されているもののなかに、けっこうな数のうつ病が 混じっていると指摘。「糖尿病」という視点ではなく、『仮面うつ病』 だったらとの視線からこのご婦人を観察した。表情や物腰、話す 態度にそれらしい症状が感じられたので、心理テストを受けても らった。結果、はっきりと「うつ病」とでた。そこで彼女に抗うつ剤を 処方してみた。効果はてきめん、表情が緩和され、治療に抵抗し ていた血糖値が、徐々に下降し、ついには正常範囲(90㎎/dl)。
よく「糖尿病」対策に、ダイエットを勧めることは聞くことがあります。 たいがいこのような方は、かなりの肥満体質の方々です。ある医 学書で、がらがらに痩せた患者さんに、なお食事制限を強要して いる治療法に、疑問を呈している一文を読んだことが何度かあり ます。地域の住民で、同じような処遇にあった方がいます。痩せ てがらがらなご婦人ですが、朝早くから精力的に動き回る方です。 この方が閉経後血糖値が非常に高くなり、そのまま推移している とのことです。この方の家庭状況を知る機会が有り、また外見から 受ける印象は、今回の知ることと成ったうつ病との相関関係と照 合、想像ではあるが軽うつ状態が完治を阻害しているように感じら れます。お医者さんには、画一的な治療だけでなく、多方向からの 可能性ある治療方法を取得して欲しく思います。