かって日本の天気は、農作業、特に収穫に多大な影響を及ぼす ことから、自然の観察を永年積み重ね、田植え時期や肥料などの 時期などを経験によって、予想していたと言われています。その 様な予報の方法に「寒試し」と言うのがあります。十勝管内芽室 町に在住の松浦元治さん(73)が、今年の道内の天気予想を発 表した。それによると、春先から六月にかけては曇天、低温傾向。 続く八月初めごろまでは少雨、高温で干ばつの恐れ。盆明け以降 は高温多雨で湿害も。秋は長く初霜も遅いという。寒試しとは、 1月の小寒から2月の節分までのひと月の天気を観測し、一年に 置き換えて、その年の天候を予測する手法。古くは中国に発し、 東アジアの稲作地帯で広く行われている。松浦さんは三十年前に、 農作業と施肥、肥料の選別がその年の天候と不可分だったことか ら、農家に伝わる寒試しに着目。これに易学を加えた独自の予測 方法をつくり、以来毎年、この時期に発表してきた。「制度は90% 以上」と松浦さん。昨年の予想も七月までの低温、八月以降の高 温、初霜は遅いなどことごとく的中させた。「金銭が絡むと予想が 曇る」と、作成した二千部以上の予想図を無料で、全道の農家や 関係業者に配布している。
その松浦さんにとって、最近特に気がかりなことは「地球の温暖 化」だ。「この三十年で作物の北限が二百~三百㌔上がった。 西日本はすでに稲作の敵地でなくなり、東北地方も危うい」とい う。道産米の食味向上の陰には温暖化もあるようだが、干ばつに よる土壌劣化も懸念され、北海道農業も磐石とはいえないよう。 「将来に備えた土づくりが不可欠」と訴えている。