理研 脳の特定部位活性化
羽生善治名人らプロとアマチュアの棋士が詰め将棋などの問題を解いている際の脳の活動を分析したところ、プロは特定の部位がアマに比べて活発に働いていたとする研究成果を、理化学研究所が米科学誌サイエンスに発表した。 日本将棋連盟が協力し、プロ、アマ延べ約60人が参加。理研の田中啓治チ-ムリ-ダ-は「状況を瞬時に判断し、最善の一手を導くプロの『直観』は、10年以上の経験が必要といわれる。これに関係する脳の領域を明らかにできた」と話している。研究はまず、駒が配置された将棋盤の画像を短時間見てもらい、配置を認識する際の脳活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で計測。その結果、プロはアマに比べ頭頂部の後方にある大脳の「楔前部」という部位が約3倍、活発に働いていた。詰め将棋の問題を1秒間だけ見せて次の一手を答える実験では、プロはより深部の大脳基底核にある「尾状核」と呼ばれる部位が活発化。より活発に働く棋士ほど正答率も高かった。アマチュアはこの部位があまり活動していなかった。この二つの部位が連動して働くことで、プロの直観が生まれているとかんがえられるという。