猿人足裏に「土踏まず」
初期の人類で「ル-シ-」の愛称を持つ化石でも知られるアファ-ル猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)は、足裏にヒトと同じ土踏まずのア-チ(弓)状の形があったとする研究結果を、米ミズリ-大などのチ-ムが米科学誌サイエンスに発表した。アフリカ東部・エチオピアで発掘した約320万年前の足の骨を分析した。アファ-ル猿人は樹上での生活ではなく、地上で直立二足歩行していたとの説を裏付ける内容。チ-ムは、足は木の枝など物をつかむ構造から、ヒトのような二足歩行を可能にする構造に進化したとみている。 チ-ムはエチオピアのハダ-ルで、左足の薬指と足首の部分にある「第4中足骨」の完全な形の化石を発見。チンパンジ-やゴリラ、ヒトの骨と比較したところ、骨の先端が地面に平らに着くようねじれ、骨が地面に対して傾きを持つなど、ア-チを持つヒトの骨と同じ特徴を持つことが分かった。地面をけり出す強さと衝撃を吸収する柔軟さがあったと考えられるという。諏訪元東京大教授(形態人類学)は「足の他の骨の分析からア-チがあると判断した研究はこれまでにもあるが、今回のように甲の部分の保存状態がいいものはめったにない。完全な素晴らしい骨で、二足歩行に特化していたとの説を支持するものだ」と話している。