日本全国 絶景列車の旅 価格:¥ 3,360(税込) 発売日:2007-07-19 |
櫻井 寛さん
満開の桜の下を走る路面電車、紅葉の山を横切る二両編成のディ- ゼル車-。世界の鉄道写真を撮り歩く著者が、足元である日本各地 の中から百十五路線を厳選した、いわば国内ベストアルバム。「著書 として五十作目。節目の作品として、これはと思う写真ばかりを収録 した」道内の写真も豊富だ。立ちはだかる利尻富士に向かうように、 列車が雪原を行く宗谷線。浜いっぱいに干したコンブをエスコ-トする ように、駅がたたずむ日高線。「広大で異国の雰囲気を感じる」。雪の 中を走る蒸気機関車にスポットを当てた。自身の初めての写真集「凍 煙」以来、北海道が大のお気に入りだ。取材では、行きは列車に乗っ て撮影ポイントを決め、終点から車でその地点に戻る。「でも上から見 下ろす絶景ポイントには、列車からは気づきにくい。ここは、と思っても、 実際には木立ちに邪魔されて、肝心の列車が見えないことも多い」そう した試行錯誤の中から、珠玉のショットを得る。その一つが、狩勝峠か ら見下ろす石勝線の一枚。本書では秋の風景を収めているが「最初に ここを狙ったのは、吹雪が激しい日。車が雪に埋もれ動けなくなり、命 の危険さえ感じた」。精悍な浅黒い顔を照れ隠しに崩すが、自身を貫く のは「行かなければ撮れない」という徹底した現場主義だ。長野県生 まれ。国鉄職員の両親のもとに育ち、国鉄マンになるのが夢だった。 だが高卒当時の国鉄は、合理化の影響で採用を見送っていた。日大 芸術学部に進み、本格的な鉄道写真の腕を磨く。出版社勤務を経て 独立。主なフィ-ルドは海外。10月下旬に訪れたバルト三国を加え、 訪問国は七十七ヵ国に上り、新聞、雑誌に写真や旅行記を送る。現在、 十一のコ-ナ-を持つ多忙さだ。恭子夫人と、10月で結婚30周年。 取材旅行のため一年のうち約二百日、家を離れる。「亭主元気で留守 がいい」が口癖だが、札幌発上野行きの寝台特急カシオペアの高級 客室で、夫婦水入らずの時間を過ごしたことも。「日ごろの罪滅ぼしで す」飛行機の旅全盛の時代だが「スピ-ドが人間のリズムに合っていて、 心を和ませるのは列車での旅。席を離れてほかの人と触れ合うことも、 飛行機では難しいでしょう?」。東京都在住。五十三歳。
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