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道尾 秀介/月と蟹

2011年09月20日 | 小説

月と蟹 


「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」

「叶えてくれると思うで。何でも」

やり場のない心を抱えた子供たちが始めた、ヤドカリを神様に見立てるささやかな儀式。

やがてねじれた祈りは大人たちに、そして少年たち自身に、不穏なハサミを振り上げる―


親や友達との関係に悩む小学生の不安定で繊細な心を描いた物語です。

鎌倉の海辺の町に住む小学5年生の慎一と春也。

転校してきた者同士、学校では孤立している二人が一緒に遊び始める。

放課後、海辺で取った「ヤドカリ」を、ある場所で、自分たちだけの神様・「ヤドカミ様」として秘密の儀式を行う。

「ヤドカミ様」に願うと、なんでも願い事がかなうと言う不思議な出来事にかわっていく。

学校でのイジメや、親からの虐待、そして片親に対する不信感など、自分で解決できない悩みを「ヤドカミ様」が全て解決してくれる。

やがて、その行動は徐々にエスカレートしていき、後戻りできなくなってゆく・・・。

中盤以降の展開は、ある程度予想はしていても、グイグイと引き込まれます。

そして、ラストは切なくも・・・。

第144回直木賞受賞作。

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