池井戸 潤 著 「鉄の骨」を読みました。
謎の日本的システム 「談合」
若きゼネコンマン富島平太は建設現場担当から、業務課別名「花の談合課」へ配属になる。
「次の地下鉄工事、何としても取って来い」
会社倒産の危機に役立てるか。
そして、大物フィクサーとの出会いの真相は・・・。
池井戸作品を読むのは直木賞受賞作「下町ロケット」に続き2作目です。
こちらも直木賞候補にもなり、NHKでドラマ化もされた作品です。
2007年に大林組の元幹部や清水建設、鹿島建設などゼネコン5社の営業担当者が逮捕された名古屋市発注の地下鉄延伸工事をめぐる談合事件がモデルになっているのだとか。
現場監督をしていた入社4年目の主人公が突然本社に配属される。
その部署は業務課、別名「花の談合課」と呼ばれる部署だった・・・。
やがて、主人公は現場では知り得なかった様々な事を知ります。
会社の苦しい財務事情・・・。
運営資金を出し渋る銀行とのやりとり・・・。
公共工事の落札を巡る業界内の駆け引き・・・。
大型公共工事入札の裏で蠢く政治家たち・・・。
しかし、何としてもこの仕事を受注しないと自分たちがいる会社が成り立たない・・・。
「談合」は犯罪と判っていても、やがて主人公もまた抜けられない迷路にはまっていく・・・。
そんな建築業界の裏側が主人公の目を通して判り易く描かれてゆきます。
逆に判り易過ぎて、特に目新しさはなかったですね。
入社4年目の社員が一人で談合を取り仕切る大物フィクサーに合えるなんて、現実では有り得ないでしょう・・・。
それよりも、主人公と彼女との恋の行方の方がまどろっこしくて気になりました。