くに楽

日々これ好日ならいいのに!!

孟 浩然(もう こうねん)

2009-08-07 14:29:25 | 四季おりおり
『夏日南亭にて辛大を懐う』  なつのひなんていにてしんだいをおもう

山光忽ち西に落ち       さんこうたちまちにしにおち

池月漸く東に上る       ちげつようやくひがしにのぼる

髪を散じて夕涼に乗じ     かみをさんじてせきりょうにじょうじ

軒を開いて閑厰に臥す     まどをひらいてかんしょうにふす

荷風香気を送り        かふうこうきをおくり

竹露 清響を滴らす      ちくろ せいきょうをしたたらす

鳴琴を取りて弾ぜんと欲するも めいきんをとりてだんぜんとほするも

知音の賞する無きを恨む    ちいんのしょうすろなきをうらむ

此れに感じて故人を懐う    これにかんじてこじんをおもう

中宵夢想を労す        ちゅうしょうむそうをろうす

詩意
 夕日に染まる山々の光は、見る間に西に消えると、池の向こうに月がゆっくり東から昇る。髪を解いて夕暮れの涼しさを楽しみ。窓を開けて静かな南亭にのびやかに横たわる。蓮の花を吹きわたる夜風はよき香を届け、竹の葉の露は池に滴り落ち清き響きを伝える。琴をとりて弾いてみようと思えども、知音のいないのが恨めしい。この想いにふと古い友人が懐かしく夜もすがら夢見続ける。
 
☆ 辛大=辛諤(しんがく) 孟浩然の親友
☆ 知音 愈伯牙(琴の名手)と錐子期(樵)とは中国春秋時代の人で音楽を通じ
     ての親友、子期は伯牙の音楽の最高の理解者だったので、子期が逝去後
     は伯牙は琴の糸を切り琴は以後弾かないと決心する。たとえて親友、よ
     き理解者という意。
☆ 荷風 蓮の花


唐の時代の詩人 孟 浩然
 689年から740年 若いとき隠居生活を送りましたが、40歳のとき都(長安)に出て科挙に挑戦するも及第せず、王維、李白(12歳年下)らと交友をした後、故郷に隠居しました。自然山水や、隠居生活をテーマにした詩が多い。王維とともに『王孟』と称されました。
日本では「春眠暁を覚えず・・・・・」の作者で有名