中国、対米黒字が過去最大=貿易戦争激化へ―8月
米中貿易戦争により、目下、アメリカも中国も、相手国からの輸入品に対して高額の関税を課しています。今年の7月10月に発表された第3弾となる追加関税案では、衣料品や食料品といった幅広い日用品を含む6031品目がリストアップされており、その規模は凡そ22兆円にも上るそうです。
第3弾まで発動されますと、米中貿易戦争は‘全面戦争’の様相を呈するのですが、高率の関税の設定は、自動的にアメリカの国庫に関税収入が転がり込んでくることを意味します。それでは、対中制裁関税で増えた関税収入分を、トランプ政権は、一体、何に使うのでしょうか。
アメリカは、長年に亘って双子の赤字、即ち、貿易赤字と財政赤字の二つの赤字に苦しんできました。今般のトランプ政権による関税率の引き上げは、前者の赤字に対する対策の一環として理解されます。この政策効果として歳入が増加し、この増収分を財政赤字の削減に役立てれば、一石二鳥で双子の赤字問題は解消へと向かうことでしょう。現状では、対中貿易赤字はむしろ拡大しており、成果らしい成果は確認されていないのですが(もっとも、代替が完了すれば減少に転じるかもしれない…)、第3弾まで歩を進めれば、中国の対米輸出は減少に転じるはずです。11月に予定されている中間選挙でも、この点を国民にアピールすれば、共和党に追い風が吹くかもしれません。財政赤字が改善されれば国債発行額も抑制できますので、米債が大量に中国に保有され、政治的カードとして利用されるリスクも緩和されます。
内政を重視すれば、増収分を財政赤字の削減に用いる案は、政権支持率の上昇を見込めますので有力なのですが、外政に注目しますと、別の使途も考えられます。米中貿易戦争の背景には、経済分野のみならず、中国の覇権主義を抑え込むとする政治的目的も指摘されています。むしろ、後者こそ真の目的である可能性もあり、軍事力にものを言わせた中国の世界支配計画の遂行は、アメリカのみならず、国際社会の脅威とする認識が広がっています。こうした状況を考慮しますと、関税収入の増加分を対中軍事費に費やすとするのも一案となりましょう。この案が実現すると、中国は、対米輸出を増やせば増やすほど、米中間の軍事力の差が開いてしまうという深刻なジレンマを抱えることとなります。言い換えますと、この案でも、アメリカにとりましては、対中貿易赤字を削減できると共に、対中軍事的優位を保持することができますので、一石二鳥となるのです。
高額関税の効果により中国からの輸入量が減少に転じれば、増加した関税収入も漸減してゆくのでしょうが、それでも、当面の歳入の拡大は、その使い道によっては政治的なチャンスともなり得ます。果たして、トランプ政権は、米中貿易戦争の副産物としての関税収入を、どのように有効活用するのでしょうか。
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米中貿易戦争により、目下、アメリカも中国も、相手国からの輸入品に対して高額の関税を課しています。今年の7月10月に発表された第3弾となる追加関税案では、衣料品や食料品といった幅広い日用品を含む6031品目がリストアップされており、その規模は凡そ22兆円にも上るそうです。
第3弾まで発動されますと、米中貿易戦争は‘全面戦争’の様相を呈するのですが、高率の関税の設定は、自動的にアメリカの国庫に関税収入が転がり込んでくることを意味します。それでは、対中制裁関税で増えた関税収入分を、トランプ政権は、一体、何に使うのでしょうか。
アメリカは、長年に亘って双子の赤字、即ち、貿易赤字と財政赤字の二つの赤字に苦しんできました。今般のトランプ政権による関税率の引き上げは、前者の赤字に対する対策の一環として理解されます。この政策効果として歳入が増加し、この増収分を財政赤字の削減に役立てれば、一石二鳥で双子の赤字問題は解消へと向かうことでしょう。現状では、対中貿易赤字はむしろ拡大しており、成果らしい成果は確認されていないのですが(もっとも、代替が完了すれば減少に転じるかもしれない…)、第3弾まで歩を進めれば、中国の対米輸出は減少に転じるはずです。11月に予定されている中間選挙でも、この点を国民にアピールすれば、共和党に追い風が吹くかもしれません。財政赤字が改善されれば国債発行額も抑制できますので、米債が大量に中国に保有され、政治的カードとして利用されるリスクも緩和されます。
内政を重視すれば、増収分を財政赤字の削減に用いる案は、政権支持率の上昇を見込めますので有力なのですが、外政に注目しますと、別の使途も考えられます。米中貿易戦争の背景には、経済分野のみならず、中国の覇権主義を抑え込むとする政治的目的も指摘されています。むしろ、後者こそ真の目的である可能性もあり、軍事力にものを言わせた中国の世界支配計画の遂行は、アメリカのみならず、国際社会の脅威とする認識が広がっています。こうした状況を考慮しますと、関税収入の増加分を対中軍事費に費やすとするのも一案となりましょう。この案が実現すると、中国は、対米輸出を増やせば増やすほど、米中間の軍事力の差が開いてしまうという深刻なジレンマを抱えることとなります。言い換えますと、この案でも、アメリカにとりましては、対中貿易赤字を削減できると共に、対中軍事的優位を保持することができますので、一石二鳥となるのです。
高額関税の効果により中国からの輸入量が減少に転じれば、増加した関税収入も漸減してゆくのでしょうが、それでも、当面の歳入の拡大は、その使い道によっては政治的なチャンスともなり得ます。果たして、トランプ政権は、米中貿易戦争の副産物としての関税収入を、どのように有効活用するのでしょうか。
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