万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

戦争も陰謀では?

2022年11月03日 13時18分21秒 | 国際政治
 人類は地球上で最も優れた知性を有する生物であり、合理的に思考すれば、戦争がもたらすデメリットに思い至るはずです。しかも、時間軸の最先端、即ち、現代に生きる人々は、歴史の教訓として戦争の悲惨さや不条理さを十分過ぎるほどに学んでいます。人というものが知性的な存在であるならば、戦争回避に努め、かつ、紛争やトラブルを平和裏に解決し得る制度やシステムを考案していたことでしょう。しかしながら、現実は、その逆です。戦争反対を積極的に訴える左翼の人々も、デモ行進をしたり、戦争放棄の理想論を語るだけで、戦争回避のための具体的な仕組み造りには無関心なのです。

それでは、一体、何が戦争回避への道を阻んでいるのでしょうか。今日の国際社会を観察しますと、欠陥に満ちた国連、二国間・多国間の軍事同盟、NPT体制、自由主義国と全体主義国との対立、地域紛争など、一見、無関係でばらばらなように見えながら、その実、そのそれぞれが複雑に絡み合っています。このため、何らかの出来事が起きますと、それをきっかけとして第三次世界大戦に発展しかねないリスクを孕んでいます。言い換えますと、今日の国際社会には、容易に世界大戦を引き起こすことができるメカニズムが予め組み込まれていると言えましょう。

世界大戦への歯車を動かすには、メカニズムを構成する歯車の一つ一つが呼応して動き出す必要があります。そして、その役割を担うのは、戦争が国家を主体とする行為である以上、自由主義国であれ、全体主義国であれ、各国の為政者、あるいは、政府をおいて他にありません。そして、仮に、戦争が陰謀であるとすれば、世界戦争を引き起こしたい者―世界権力?―によって、各国の為政者あるいは政府がコントロールされているという結論に必然的に至ってしまうのです。

陰謀の存在を肯定する人々がメディア等を介して愚者のレッテルを貼られ、学術的にも正面から取り上げられないのも、戦争を誘発したい者の存在を隠したいという動機の他に、自らの責任や罪を問われたくない政府、政党並びに政治家の思惑もあるのでしょう。陰謀の存在は、戦争に関与した政治家の多くが国民を騙して戦争誘発に協力した‘売国奴’であったことを明らかにしてしまうのですから(政府から裏の陰謀の存在を知らされていない場合、自国の軍隊も騙される側に・・・)。積極的な‘売国奴’とまでは至らないものの、少なくとも、巧妙に仕掛けられた陰謀を見抜けずに、易々誘導、協力させられてしまった愚かな為政者と言うことにはなります。何れにしましても、政治サイドにとりましても、陰謀は‘絶対にあってはならない’のです(革命が陰謀であることは周知の事実となりつつありますが、戦争が陰謀である点については、これを頑なに認めようとしないのも、世界各国の現役の政治家が疑惑の対象となるからなのかもしれない・・・)。

安部元首相と世界平和統一家庭連合(元統一教会)との関係が、保守政党である自民党に対する信頼性を著しく損ねた原因も、ここにあります。何故ならば、同新興宗教団体の政治的目的やその政界での工作活動は、陰謀以外の何ものでもないからです。韓国による日本国の召使い化や教祖の文一族と皇族との縁組みといった目標の策定とその実行は、まさに、その定義である「表に見えないところで謀議をめぐらし、自己の目的のために密かに計画をたててそれを実行しようとする行為」です。そして、‘世界平和統一’という名称や世界大での布教活動を考慮しますと、グローバル展開を推進している創価学会と同様に、強大なるマネー・パワーを有する世界権力の下部組織である可能性が極めて高いのです。

これまで、中国の急速な軍事的台頭や度重なる北朝鮮のミサイル実験を前にして、日本国も従来の方針を見直して防衛力を強化すべきとする見解に対しては、国民の多くも理解を示していたはずです。二期に亘る安倍長期政権に対する主たる評価も、対中包囲網の形成の文脈における安全保障面における戦後レジームの転換でした。しかしながら、戦争も陰謀であるとしますと、ここに重大な疑問が提起されることとなるのです。ウクライナ紛争をはじめとした地域的紛争や対外的な脅威が世界権力によって造られたものであるならば、日本国は、一体、どこに向かって歩んでいるのか、という・・・。

 圧力や偏見を排して調査や研究の対象とすべき理由は、その存在の有無によって人々の政府に対する判断や評価が真逆になるからに他なりません。そして、その存在の有無を確かめないままに演出された‘時代の潮流’というものに流されるとしますと、人類は、二度の世界大戦と同じ轍を踏むのではないかと危惧するのです。

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