万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ウクライナとの「将来の攻撃」での「24時間以内協議」は何を意味するのか

2024年06月28日 10時12分51秒 | 国際政治
 先日、6月13日、G7サミットへの出席のためにイタリアを訪れた岸田文雄首相は、同地にあってウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、「日・ウクライナ支援協力アコード」に署名しました。同アコードには、ロシアによる‘将来の攻撃’に際し、両国間で‘24時間以内の協議’が明記されていたため、メディアが報じるところとなったのですが、同様の内容を含む協定が、ウクライナとEUの間にも締結されたそうです。偶然の一致とは思えず、これらの条項は、一体、何を意味するのでしょうか。

 そもそも、「日・ウクライナ支援協力アコード」を見ましても、その公式名称からして不自然極まりありません。何故ならば、アコードは英語のAccord(合意)をそのまま日本語のカタカナで表音表記しており、日本語でもウクライナ語でもないからです。通常は、協定の名称は当事国の言語で表記されますので、英語表現である今般の‘アコード’は、一般の二国間協定とは異なることを強く示唆しています。つまり、同協定は、日本国政府とウクライナ政府との交渉の結果ではなく、既に草案が存在しており、それは英語で書かれたものであったと推測されるのです。アコードの内容も詳細かつ多方面に亘っており、短時間の二国間交渉で作成されたとも思えません。因みに、外務省のホームページでは、同協定のファイルは英語、日本語、ウクライナ語の順に並んでいます。

 ‘アコード’という表現は、ウクライナを中心とした世界大での対ロ陣営の形成が水面下で進行している疑いを強めるのですが、今般のEUとウクライナとの協定締結は、さらにこの懸念を深めることとなりました。しかも、「日・ウクライナ支援協力アコード」と同じく‘将来の攻撃’、並びに、‘24時間以内協議’が明記されているともなれば、疑いは確信に近くなります。ロシアからの‘将来の攻撃’は、既に戦闘状態にある以上、認定する側の判断次第で、署名時とされる‘アコード’の発効以降、何時でもあり得ます。そして、緊急事態とも言える24時間、すなわち、1日という時限設定は、奇襲攻撃ならぬ、‘奇襲反撃’を可能とするからです。

 もっとも、同アコードは、書面での通知によりいつでも終了できるとされています。しかしながら、終了日は通知の受領日から6ヶ月後とされておりますので、24時間以内の協議が開かれ、何らかの決定が下された後では‘時既に遅し’となりましょう。僅か24時間という時限設定は、時間的な余裕を与えず、むしろ、各国での国内的な慎重な議論や予測される参戦反対世論を無視し、奇襲的な反撃を可能とするための条項である疑いがさらに強まるのです。敢えて、かくも短い時限設定をする必要など、まるでないのですから。また、日本国の場合、国会承認条約ではなく、行政取極として締結されているため、24時間以内の協議には法的義務がないとする反論もありましょう。しかしながら、奇襲反撃が既定路線であれば、政府は、あたかも同協定に基づく自国の義務であったかのように、国民に説明することでしょう(もっとも、ロシアに敵国認定され、先制攻撃あるいは報復を受ける可能性も・・・)。

 それでは、日本国並びにEUとの協定の草案を作成したのは、誰なのでしょうか。最も可能性として高いのはアメリカ政府なのでしょうが、‘西側陣営’の盟主国とはいえ、必ずしも米国とは限りません。日本国の場合、日米同盟が締結されていますので、日本国政府がアメリカの意向に従ったとする見方はできますが(日本国は、既に軍事権も外交権を失っている・・・)、ヨーロッパの場合、NATOではなくEUが締約当事者となっているからです。EUにあってはアメリカは部外者ですので、直接的に口を挟める立場にはないのです。

 アメリカの線が薄いとしますと、ここで推測されるのは、世界権力の存在です。背後には巨額の戦争利権が蠢いており、独自の世界戦略をもって人類支配を目指す勢力の存在を仮定した方が、余程、現状が合理的に説明されるからです。この推測からすれば、現状にあって、ロシアのプーチン大統領を含めた何れの政治家達も、第三次世界大戦計画のスケジュールに沿って行動していることとなります。 ‘アコード’とは‘カバー・ストーリー’のために用意された一種の謀略であり、ユーラシア大陸の東西による集団的アクション、あるいは、奇襲反撃’も、同戦略の一環なのでしょう。上記の‘アコード’には、その目的として「・・・ウクライナの戦略的目標の実現のため」と記されていますが、‘ウクライナ’を‘世界権力’に置き換えますと、マネー・パワーに屈した岸田首相をはじめ各国の首脳達が、私益のために自国民、否、人類を犠牲に供しながらひたすらに世界権力に尽くし、世界各国の24時間以内の対ロ行動による第三次世界大戦への道を開いているようにも見えてくるのです。

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