![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/56/d561241074fc5bfdfe2a03e8bc9bbfa3.jpg)
今回、私たちが参加した土日祝限定の駒止(こまど)湿原ツアーの案内ビラ
集中豪雨で甚大な被害を受けた南会津町では、現在も復旧工事が続いている
駒止湿原もアクセス道路が土砂崩れで崩壊し、全面通行止めにして復旧工事を
行っている。
そんな中で、今年から土日祝日限定で、シャトルバス形式で完全予約制の
駒止湿原ハイクが企画されたので、私は早速申し込んだ。
最初は私一人で申し込んだが、花友も参加することになり、結局おなじみの
三人で行くことになった。
4日は申し込みが少ないということで、中止になると思っていたが、なぜだか
催行することになって、大急ぎで準備した。
私が申し込んだ理由は、水芭蕉の苞が2枚つく「双苞水芭蕉」をもう一度
見たかった事と、多少なりとも被災地の応援になればと思ったからである。
田島駅前の郵便局の駐車場に車を止めて、みなみやま観光のカウンターで
受付を済ませたのは発車20分前である。。
年配の運転手さんのマイクロバスに乗り込んで、ふと気が付いたら肝心の
カメラがない。
花友のIさんが「肝心のカメラを持たないでどうするのよ」と笑っている
Kさんに車のドアを開けてもらうと、座席にカメラが残っていた。
やれやれ。
湿原に向かって走ると、山は崩れ、川の土手も田の畦も流されて、何台もの
重機が復旧工事をしているようだった。
台倉スキー場から伊達市からきた一組が乗り込み、遅れてガイドの方も
乗り込んできた。
このガイドの方が実にユニークで面白かった。
そういえば自己紹介も無かったので、名前を聞き忘れてしまったけれど
熊の生態を研究しているそうで、この駒止湿原には、三頭の熊が居るという
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/95/f22ddd525f47fa87b5e82214763a0c9e.jpg)
駒止湿原の駐車場全景、手前に留まっている車は、管理している人たちのが
見回りに来ていたらしい。建物はトイレ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/03/4edb24980c0c2bdc31b4fdd35aa01acc.jpg)
出発前に自作の野草茶を入れてくれたガイドさん
私はクワの葉で作ったクワ茶をもらった。
(顔の見える方には多少のモザイクをかけました)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/6b/081dd3787abb6a97eca225d383a5baf0.jpg)
今回、私が見たかった苞が2枚ついた水芭蕉、「双苞水芭蕉」と呼ぶ
日本で、この苞が2枚の水芭蕉を最初に発見したのは白馬山麓の落倉で
落倉水芭蕉と呼ばれているという
ガイドさんの話によれば、落倉自然園以外にも双苞水芭蕉の群生地は
有って、岩手県の小岩井農場にもあるのだそうだ。
ただしそこは私有地なので一般の人は入れないという。
「いいなー有資格者は」と私が笑いながら言うと、みんな笑った
ガイドさんも笑っている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/51/cfa5e454f7af08374bd7ded66c90d8aa.jpg)
今年は、苞が3枚もついた水芭蕉があるというので探して見つけた花
双苞とは呼べないから、3出苞水芭蕉とでも呼ぼうかな(笑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/58/f4a0a34921ab6755ca6d4cafe7a96acd.jpg)
おそらく豪雪で倒れたと思われるヨシやヌマガヤの間から花を咲かせる
双苞水芭蕉もある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/19/4cb6077e1955f3ae4038195331ac3e42.jpg)
おーい重いよーと言っているような双苞水芭蕉
最初の大谷地湿原に入る木道の脇には、ウスバサイシンが花をつけていた
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/34/8df8aac5d3c4447def2145e36acc328e.jpg)
ウスバサイシンの花、根は細く辛みがある、漢方で細辛と呼んで薬用にする
鎮痛や鎮咳などに効用があるという。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/d2/f553782697bc6ae580e0586d663a6961.jpg)
ウスバサイシンの葉、地際から2枚の葉を出し、その葉柄の根もとに花を
1個つける。花には短い花柄がある
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/73/6bbfcd63f4387313abc37a678c98706d.jpg)
タムシバの花、別名をカムシバと呼ぶのは、葉を噛むと甘いので名づけられたらしい
それが転化してタムシバになったという説もある
葉に先立って、白い6弁の花と小型の白い萼片を3枚つける。
よく似たコブシは、花の下に小さい葉をつけるが、タムシバにはない。
ちなみにコブシと呼ぶのは、
果実が握りこぶしに似ているからと言う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/45/9d4ccba57b2c91a86077946d90b29406.jpg)
大谷地湿原の水芭蕉群落
今回は写真を撮らなかったが、木道の脇にハイイヌツゲが続いている。
ハイイヌツゲは、常緑の低木で、大量の雪で圧迫され、樹幹が横に這って
伸びる。ツゲに似ているが、ツゲのようには役に立たないので「犬」と
名付けられたという。
ところでズミという木を知っていますかとガイドさんが聞くので
「コリンゴ」と答えると、それを改良して姫リンゴをつくり、さらに
改良して何とかというリンゴを作ったという話をされた。
それは普通食べないで、改良のための基にするのだという
それを聞いた花友が「エーッ、そのリンゴを霊山に行った時、産直の出店で
わざわざ買ったのよ」というと、「あーごめんごめん」とガイドさんが
あやまった。
そういえば、あの時復興支援に役だつからと、リンゴなどを買ったっけ
それに気づいてガイドさんも謝ったのだろう。
このガイドの方は、熊の生態を研究しているということで、クマに出会ったとき
どう対応するかという話をされた。
クマに出会ったら、決して真正面から目を見てはいけないのだそうだ。
眼を見ると、戦う意思の表れと思われ、襲われる確率が高いという。
だからできるだけ頭を下げるようにして「恐れ入りました」という態度で静かに
その場から遠ざかるのが良いと。
この方、よく野草を食べる話に結び付けて説明する。
木道の脇に咲いていた白い小さなスミレの名を聞いたら「ニョイスミレ」だという
そしてスミレは食べるとおいしいよと言う。
どこを食べるのと聞くと「全草」だという具合である。
今は咲いていないが、湿原に咲く「サワギキョウ」は、花はきれいだが毒草なのだ
と言う。
子供が誤って食べると、ひきつけを起こすくらい毒が強いという。
そういえば、ビジターセンター主催の観察会に参加すると、鹿が食べる木の
味見をさせられたりする。
ツルコケモモの実も食べられますよとガイドさんが言うと、花友が反論した
「自然保護区では取って食べられないでしょう」
「いや何とかと言う場所に行けば、保護区じゃないから食べられますよ」と
ガイドさん。
でもそんな所にわざわざ食べにはいかないよね。
後でガイドさん曰く、あなたたちのような人には、普通のガイドの方は困って
しまうかもと言っていたけれど、それは違う、私たちにはガイドの方をいじる
つもりは毛頭ない。
会話を楽しんでいるだけなのだから。
もしかすると、知ったかぶりをする嫌な客になっていたのかなー、反省
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/b9/72bf28e776f2efe9382c0f4aac912795.jpg)
リュウキンカの群落
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/e7/bb50889a86eafd6274a7fd61023095a9.jpg)
花はまだ無いが、コバイケイソウの群落が広がっていた
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/f3/63f2f35324e0a9423a9bce1b55e79bdf.jpg)
コバイケイソウ群落に囲まれてリュウキンカ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/fa/ed411cee58dadb8b80326eb0d9162662.jpg)
木道脇にナツトウダイの群生が有った、花はこれから
上から撮影したので、ちょっと見にくい、ごめんなさい
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/20/5809c1d3c335b98c104c3d18219fe899.jpg)
湿原の周りの林の中に咲くムラサキヤシオツツジの鮮やかな色
小ネタ話
写真はまだだが、今年はワタスゲの当たり年で、数がものすごかった
少し白くなりかかっているものもあったので、もう少しでワタスゲの
見頃をむかえそうです。
惜しむらくは、土日祝限定でのツアーでしか行けないので、タイミングが
合うかどうか、ガイドさん曰く、ワタスゲのフワフワしたワタスゲを
撮るには、三日間の晴天が続かないとだめなのだそうである。
梅雨時に三日間の晴天とは厳しい条件である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/ea/de0e86ad9b946ebb12be4bf2b7327b5e.jpg)
ワタスゲの穂
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/d7/5545b172478900bd57c4fbaef3035878.jpg)
綿毛になりかけのワタスゲの穂も見かけた、次回のツアーでは綿毛の
ワタスゲが見られるかも
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/28/04be0191510c192b99f7fee0a562dc12.jpg)
木道を歩く。駒止湿原の木道は昭和44年に最初の木道が施設された
そのときは落葉松の間伐材3~4本を針金で組んだものだったらしい
それ以前の調査の折りや、探訪者の探勝時は決まった道筋は特になく
調査の目的地や目立つ植物の所へ自由に歩いていたという。
ただ最初の踏み跡を次の人も歩くので、自然と踏み跡道が出来て
その部分の植物は荒廃したという。
その現状を見て湿原保護のために木道の施設が決まったのだそうだ
しかも施設したのは、踏み跡で荒廃した踏み跡道の上であった
その後、昭和49年と昭和59年に木道の更新が行われている
49年の更新では、落葉松材の二つ割りが使われ、59年の更新では
落葉松材の角材が使用された。同時に各谷地に3ヶ所のテラスが
施設された。
しかし、その木道が思わぬ問題を引き起こしているという。
木道が湿原の水流を分断したため、木道を境として水流の水質が
変わり、双方水芭蕉のような突然変異を起こす原因になっているかも
しれないという。
木道は歩く人には便利だが、自然にとっては必ずしも良いとは言えない
のではないか、新しい形の木道の研究が必要になっていると思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/3f/6307f2db2b65eb0cb0ea4adc98de628b.jpg)
ヤマドリゼンマイの芽だしが沢山ある
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/01/465e39b95b5efc1a5f583f3bafa02333.jpg)
なぜヤマドリと言うのかは、このゼンマイの部分の模様が
山鳥に似ているからだそうだ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/38/7ccacd355a91d7f038c0cd10799ae900.jpg)
獣の糞とタテヤマリンドウ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/7f/d079a2e4fb70a9d7c5b35f3983760796.jpg)
タテヤマリンドウの蕾、今年はなぜか花が小さい
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/75/ccb73bfad33d0a88abb582ddaeff535c.jpg)
水流に沿って低木林が続く中に、隙間が出来ているところが熊の
通り道だよとガイドさんが言う。
熊が風下に居るときは嗅覚が何百倍も優れているので、風上に人間が
居ればすぐに判り、熊の方で避けるので安心だが、今日のように
風下から風上に向かっているときは、熊ににおいが届かないので
危ないのだと言う。
そのために、わざと大きな声で説明しているのだと言う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/bb/0c7701fb7563ecf48bf102269868d1f0.jpg)
タテヤマリンドウの花
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/5a/1d1ae7422a49718396e301d5e11ced75.jpg)
イワナシの花がかろうじて残っていた。
ツアーは、3つの湿原の内、二つ目の白樺谷地で時間切れとなり、そこから引き返し
普通なら一方通行で戻れない大谷地を戻ってきた。
帰りに294号線の下妻の道の駅で一休みしていたら、西の空が夕焼けで燃えていた
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/c3/4716eb4d89fa02756766dd38baf57e52.jpg)
下妻で見た夕焼け