富士山スバルラインの一合目下駐車場に車を止めて、富士アザミを撮影
ピークは過ぎていたが、このような株が至る所に咲いていた。
御中道入口の大沢崩れの所から奥庭が見える。
この写真の左上には、奥庭の四阿が写っています。
その付近を望遠で撮影すると、ほらね 四阿がちゃんと判るでしょう
近くの富士山の植物の垂直分布の解説板も写っています。
ということで今回は、御中道の御庭を歩く編です。
御庭に向かう林道の入口は、奥庭駐車場のトイレの向かい側の
ゲートの横から入る。
この林道は、一般の車は入れず、工事関係者の車両のみ入れる
注意、この林道のコースは、正式な
御中道コース案内には入っていません。
ただ比較的平坦なコースなので、年配者でも楽に歩けますので紹介します。
ゲートから続く林道の様子。
工事車両のタイヤ跡が残っている
右の林の中に、古い林道の名残か、ゲート用のバーが残ってました
コケのついた岩壁の間を抜けたり
明るい林道を歩くと、時々甘い香りがします。
このにおいには記憶があって、「ミヤマハンノキ」だなと思って
廻りを見渡すと、やっぱりハンノキが丸い実をつけていました。
所々に作業用のスペースが設けてあり、一息入れるのには丁度良い。
林道の先が明るいのでなんだろうと思ったら「富士山大沢源頭部対策工事」の
案内板が建っている工事現場でした。
だがここは野草の宝庫で、山側には色々な花の名残が有りました。
富士アザミの残り花
ヤマホタルブクロの残り花も有りました
上は風に飛ばされたのか、地際の花だけがかろうじて残っています。
よく見ると付近にもヤマホタルブクロが点々と残ってました。
工事現場の様子1
工事現場の様子2
作業小屋も建っています。
小屋の脇には作業内容の掲示板も立ってました。
行くときはガスで展望が無かったのですか、帰りに通りかかったら
ガスが晴れて南アルプスの山々が雲の上に見えました。
またまたコケモモの大群落がつづきます。
工事用のヘリコプターの発着で、風で飛ぶ粉塵に注意の看板も有ります
色づいたナナカマドを眺めたり
苔むす原生林を眺めたりして進むと、工事関係者の乗用車が一台
許可証を掲示して止まっていました。
やがて大石を並べた車止めが有りました
反対側に回ってみると、御中道の案内が出ています。
そこには大沢崩れ入口が300メートル手前と書いてありました。
やっぱりここも、五合目の駐車場から来た人向けに書いてあるようです。
いずれにしても、あと300メートルで大沢崩れの入口に到着です。
まもなく左側が開けた場所に出ましたが、左の谷側は霧がもうもうと立ち上がり
何にも見えません。
ガスで絶景がかくされてしまいました。
この辺には色づいた木も有り、10月のなかばの紅葉が待ち遠しい
振り返ってみる林道方面
森林限界らしく砂礫地の多い道を進むと、あの御中道の入口になる
大沢崩れの案内板が右に有りました。
ネットなどで調べると、大沢崩れの大沢休泊所跡まで、ここから片道1時間20分と
書かれています。
途中には放射谷と呼ばれるところが数カ所あり、そこを渡るのが
大変らしい。
滑沢とか仏石流しとかは、そういう難所につけられた名前のようです。
ガイドには、落石多し、路肩に注意などと書かれています
一番沢と呼ばれる所は、足下が切れ落ちていて、短いクサリも有るとか
私が大沢崩れにこだわるのは、そこに大沢の名前のついた特産種
オオサワトリカブトが咲いているときいたからです。
林道ですれ違った方に聞いたら、場所ははっきりしませんが、鳥兜が
有ったと言っていたからです。
茎の上部に開出した毛があるのがオオサワトリカブトの特徴らしいので
それを一度見てみたい。
しかしベストとは言えない体調で、難所を一人で歩くのは危険だ
潔く断念した。
と言えば聞こえは良いが、早い話ビビッたのである。
とはいえ、この後仏石流しまで行って、荒れていて渡れなかったという
ペアの方に出会ったのだから、結果的には良かったかも。
御中道コースは、森林限界付近のコースで、厳しい環境の中で変形した
樹形が見られる。
外の山ならハイマツなのだろうが、歴史の新しい火山である富士山では唐松が
森林限界の主役になっている。
変形した樹形2
途中に広い砂礫地が有った
その先に行くと、おそらく御庭山荘の跡地ではないかと思われる
場所があった。
ガイドブックなどでは、御庭山荘の荒廃した写真が出ていたりするが
強風に飛ばされないように、取り片付けしたと思われる。
その付近に、御庭の植物についての説明板が立っていた。
寄生火山の説明版が有り
そばに四阿とベンチが設けられていた。この四阿の脇が寄生火山
その先の引き返し地点で撮影した富士Ⅲ
近くには、あの白いコケ(この白いコケについては、「富士山の奥庭を歩く」を
参照して下さい)
引き返し地点から五合目に向かうルートを見る
分岐から奥庭に下るルートに有った「おおさわくずれ」の案内
裏に回ってみると、コマクサと書いてある。
案内板の先に、ロープを張ってあったのは、コマクサの保護のため
なのであろうか。
奥庭の方へ、少し降りたところで富士山を撮り、近くで記念写真も
撮った。
その後は、林道を歩いて奥庭の駐車場に戻り、五合目の駐車場の様子を
見に行った。
五合目に有る小御嶽神社(こみたけじんじゃ)
無料休憩所の裏から、この神社に登る階段があり、階段脇には
ハナイカリの群落があった。
小御嶽神社正面
階段脇のハナイカリ群落
富士山御中道付近の植物については、下記の文献が役立つと思われます
コレはネット上にPDFとして公開されてますので、誰でも見ることが出来ます
富士山の極限環境に生きる植物 増沢武弘著
84ページからは、「御中道付近でよく見られる植物」という事で、御中道の
植物が紹介されています。
しかしながら、フジアザミの生態を研究した部分なども、示唆に富んで面白いですよ
成長の早さと太くて長い根が、崩落を食い止める役割を果たしているなど、読めば
納得出来ます。
私は、フジハタザオが常緑で冬も光合成が出来る事にはびっくりでした。
そのため、外の植物が活動を始める前に、光合成を活発化して一足早く成長を始め
られる事など、したたかな生存戦略に驚かされます。
本来なら通しで書くべき所でしたが、私の事情で御中道の記事が三部作になって
しまい、ご迷惑をおかけしてしまいました。
第一編「富士山の五合目御庭は秋の気配」はプロローグ風に書いてみました。
第二編「富士山の奥庭を歩く」と
第三編「富士山御中道を歩く御庭編」は本編に当たる部分ですが、分けて
書いたので、前の部分を読まないと判らない部分も有るかも、ごめんなさい。