駒止湿原の案内板、南会津町の駐車場側から入ると、最初の湿原が大谷地で
ここだけ
時計回りの一方通行で、後戻り出来ない。
尚、昭和村側の入口から奥に入った所に、池が二つあって、ミツガシワが
咲くと聞いているが、一度も行った事がない。今回初めて行こうかなと
思ったのだが、12時近くになって、カンカン照りになり、熱中症警報が
なり出したので、やめた。
(私のザックにつけている「温湿度計」には、熱中症予防の警報器がついている)
今更だが、駒止湿原は国指定の天然記念物で、福島県南会津郡南会津町と昭和村の
境界付近にある湿原で、山菜さえも採取が禁止されている。
駒止湿原が有名になったのは、平成2年6月、
秋篠宮紀子妃殿下のお印「ヒオウギ
アヤメ」の生育地としてテレビで紹介されたのが大きいと言われる
ヒオウギとは檜の薄板を扇形にそろえて、要の所を金具だ留め、さらに
薄板の先端に穴を開けて糸を通してとじたもので、公卿が儀式に使う
ものだそうだ。私も見たことがないので、高橋勝雄さんの野草の名前
から引用した。
そのヒオウギに似た形に葉が出て、花がアヤメに似ているのでヒオウギ
アヤメと呼ばれる。(簡単に言えば、葉が扇形に広がる)
残念ながら、今年はすでに花が終わっていて、実をつけていたので紹介
出来ない。
ミズギクのアップ、中心部は筒状花、周りは舌状花
漢字では水菊と書くように、水辺に咲く菊だから水菊、そのまんまである
分布は、東北から近畿と九州の宮崎、宮崎に飛び地で分布しているのが
興味深い。
根元にロゼット状に広がる葉が有り、茎葉は互生する。毛は密に生えるものがある。
普通は単一だが、まれに上部で分枝して2分枝花をつける。(駒止湿原植物図鑑)
まれにと言われる2分枝花が駒止には結構咲いている。
この写真では見にくいが、毛が密に生えていた。
マルバモウセンゴケの花
私は「マルバモウセンゴケ」という名前を知らなかったので
駒止湿原植物図鑑に出ていた名前をそのまま紹介する。
普通のモウセンゴケと、どこが違っているのか不明だが
マルバとつくからには、葉の形が違っているのかも
尚、駒止では、ナガバノモウセンゴケとヒメシャクナゲは
自生しないと書いてある。
マルバモウセンゴケの咲く様子
マルバモウセンゴケの葉
同じくマルバモウセンゴケの葉
ミズギボウシ、これは駒止湿原植物図鑑に出ていた名前なので
そのまま採用した。
ただし、普通の図鑑などでは、ミズギボウシの分布は愛知県以西
と書かれていることが多い。
水ぎわや溝のそばの湿地に生える多年生草本。
葉は群がって出て主に長楕円形10cmほど。
8月初旬頃葉芯から細い茎を直立させ、頂に総状花序を出す。
花は斜めに下垂して、花被はろう斗状形をした鐘形。
色はうす紫色で希には白いものもある。
花後、長楕円形のさく果ができて、熟すと3片に裂開し、黒色の
うすいたねを飛ばす。
コバギボウシと呼ぶ場合もある。(駒止湿原植物図鑑より引用)
これが私の頭を混乱させている。
コバギボウシとミズギボウシは違うと思っていたからだ。
あるいは最新の図鑑では区別しなくなったのか
キンコウカ、ユリ科キンコウカ属、漢字で金光花、または金黄花
日本では同属の花は無く一種のみ、北米に2種、ヨーロッパに1種
花は下から咲く、花糸に毛が際だつ、葉は先端から紅葉する
キンコウカの咲く湿原、3つある湿原のうち、大谷地の奥の
第三テラス付近にのみ咲いている。
キンコウカは高層湿原の指標とも言われているので、湿原の
成り立ちにも関係するのだろう。
注、湿原はそのタイプによって、3つに分類されている
低層湿原、中間湿原、高層湿原である。
高層と言っても、標高を表している訳ではない。
高層湿原とは、雪や雨のような降水ににのみ水分補給を頼っている湿原
湿原の表面が地下水位面よりも高い(高層)湿原。
部分的には水がたまっている凹みや盛り上がって乾いた凸地がある
きわめて貧栄養状態の湿原
高層湿原の指標植物として、キンコウカ、ミズゴケ、ツルコケモモが等が
あげられている。
第三テラス付近からミズギボウシ越しにキンコウカ
木道の脇には巨大化した水芭蕉の葉が残っている。
ツルコケモモの咲き残りの花、すでに花の色は薄く、形も
崩れているが、見る事が出来てラッキイ
ツルコケモモの花と左奥にはツルコケモモの実も写っている。
ツルコケモモの実、熟すと赤く色づく、食べられるが、ここは
国指定の天然記念物なので、試食は不可。
大谷地の第三テラスから振り返ってみる風景
白く見えるのはノリウツギの花
ただ一本のみ咲き残っていたニッコウキスゲ
トキソウの花も咲き残っていた
カヤツリグサ科のミカヅキグサ
湿原のあちらこちらにたくさん咲いていたが、私の好みではない
カヤツリグサをこれだけ取り上げたのには訳がある。
名前の由来がすてきなのである。
三日月草の名は、湿原の緑色中の白穂の群生する姿を、夕やみの
三日月の夜の明るさを感ずる事に似せたと言われる。
こんな繊細な感じは、日本人だなー と思うからである。