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『硫黄島からの手紙』

2006-12-20 22:45:07 | └映画のこと
@丸の内ピカデリー

監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド
脚本:アイリス・ヤマシタ
製作総指揮:ポール・ハギス
製作:スティーブン・スピルバーグ
出演:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童
上映時間:2時間21分

『父親やちの星条旗』に続く「硫黄島」2部作第2弾、日本から見た硫黄島。
日本兵にも米兵にもあった心

きっと重いんだろうなぁと思って、見終わったあとのことを考え
たいてい映画は1人で観るけどこれはぐっさんと一緒に観て来た。

『父親たちの星条旗』が硫黄島で勝利をおさめた若き兵士の
その後を描いたものだったのに対して、今作は硫黄島での戦いそのものだったので
戦闘シーンは思った以上に長く壮絶だった。
観終わっていろんな意味で疲れた衝撃的な作品。
出演者はほとんど日本人で日本語。
でもこれは紛れも無くハリウッド映画。
邦画じゃあ出せない映像全体のにじんだ感じの色合い。
ストーリーだけじゃなくて映像も『父親たちの星条旗』と対を成している。

渡辺謙さんの凄みある演技
ひょうひょうとした雰囲気の兵士を演じるニノの、
仲間の自決を止めようと声をあらげる変貌ぶり。
見事なキャスティング。
クリント・イーストウッドのすごさを思い知った作品だった。
ハリウッド映画にありがちな間違った日本的な要素がひとつもなかった。
これ本当にハリウッド映画なの?と思ってしまう細部への徹底振り。
アメリカ映画でありながら米兵をひいきめに描くこともなく
平等に“戦争”を描いていたなぁと思う。

“おめでとうございます”と言って召集令状を持ってくる人と
“ありがとうございます”と言ってそれを受け取る人
なんだか寒い違和感を感じた。
生きて還ることが“恥”で潔く死ぬことが“美徳”とされたこの時代。
観終わって思うことは本当に単純だけど、戦争ってひとつもいいことないってこと。
簡単に言っていいことかよく分からないけど、
過去の悲劇の上に成り立っている今の平和を、せめて守っていかなくちゃ
いけないんだなと思った。

栗林中将(渡辺謙)から息子へ
西郷(二宮和也)から妻へ
そして母親から米兵へ
手紙につづられる想いはみんな一緒なんだよなぁ。

最後、横たわった西郷がうっすら微笑んでいて
何を見て微笑んでいるのかと思ったら硫黄島から見える夕日だった。
そんなニノの演技、お見事でした。
嵐のニノが遠くへ行っちゃった気がしたよ。

この作品を日本映画界が作らなかったことが口惜しい。

今年の映画はこれが最後かな。

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