中短編が3作
表題作の『ダナエ』は、実際にエルミタージュ美術館で起こった
レンブラントの作品に硫酸がかけられた事件をなぞらえながら、
1人の画家の過去があかされて行くお話。
『まぼろしの虹』は作者が癌におかされてから書かれたもの。
母親の不倫がきっかけで出会った母と息子の不思議な存在感。
仕事の第一線から退いてしまったクリエイターが、
別れた女性と再会し、別れる原因ともなった女性の過去に
かかわっていく『水母』
どれも短編なのがもったいない。
『ダナエ』『ひまわりの祝祭』と、有名な絵画が出て来て
藤原さんという方は美術に造詣の深い方だったのかなー。
広告業界がよくでてくるので気になって調べたら
やはり、電通に勤めていたそうな。
藤原伊織の作品には昼間っからお酒を飲んでいるような男の人が
よく出てくるんだけど、その人がたいていかっこいい。
かっこいいっていうか、陰があるんだけど魅力的な。
解説を小池真理子さんが書いていて、なかなかよかった。