beatitude

好きなことだらけさ…

『レッド1、2』

2009年11月01日 | コミック

『レッド』 山本直樹 著 イブニングKCDX 講談社

有害コミック指定作家“エロスのカリスマ”!?山本直樹の意欲作!ですか。
これは1969年~1972年、タイトルでわかるようにいわゆる連合赤軍の話です。
(その手のシーンも少々ありますが、エロマンガではありません)
名前は変えてあるものの、実にリアルに淡々と話が運びます。



このコミックは現在3巻まで刊行されてますが、
BOOK‐OFFで購入のため2巻まで読みました。
追い詰められていく学生の苦しい息が伝わってきますが、
自分には、いったい何のために?なぜここまで?と・・・

高校生の頃、学生運動って何だったんだろうとハードカバーの本を
1冊読んだ事がありますが(タイトルは「連合赤軍」だったと思いますが
著者が誰だったかは忘れました)
その時も、東大紛争、安田講堂事件、大菩薩峠事件、よど号ハイジャック
そして真岡銃砲店襲撃事件から浅間山荘事件と流れを
追う事はできたものの、やはり理解できませんでした。

なにより、自分の中であの時代はアポロ11号月面着陸、大阪万博、コンコルド、
ゴジラ映画、ふしぎなメルモ、海のトリトン、ガッチャマン・・・
漠然とSFちっくな未来社会が目の前に広がってました。

それと、三島由紀夫割腹自殺とか、成田闘争がかみ合わない。
バリケードも機動隊も角棒も火焔瓶も、
クレーン車で吊った鉄球で山荘をぶち壊してる映像も、なんじゃこりゃ?でした。
(小学生高学年から中学生でしたから、ほほほ。)



「官僚機構、資本家から自由を勝ち取り、人民に奉仕を!」と訴う彼らが行き詰まり、
自分たちの組織の中で自己批判、総括、死刑と突き進む。
その彼らはどこにでもいる普通の学生。

2巻の巻末に著者の山本氏と押井守氏の対談が載ってました。
押井氏は高校生で学生運動に参加していたそうです。
読んでいると、確かにあの頃、中高生は小さな事でも体制に反発してました。
実際、自分の中学でも生徒会長が全校生徒を動員して総会を繰り返し、
男子丸刈り校則を撤廃しました(時代を感じますぅ

赤軍派が高校生を組織に入れるときの儀式が万引き、
これは暴走族入会儀式と一緒という話には驚きました。
人民への奉仕はどうなっちゃってるのでしょう。

一連の学生運動はその時代の彼らの空気を吸ったものと
吸わなかったものとでは、恐ろしいくらいの温度差があるような気がします。