丁寧語には、「です」 「ます」 の他に 「ございます」 があり、「ございます」 には二つの意味があります。
1 ある 「 の隣に がございます。」
2 ある 「 の隣は でございます。」
どちらも 「ある」 の丁寧語ですし、よく似た文ですが、1 と 2 の「ございます」 では意味が異なります。
丁寧な言い方(敬体)を、普通の言い方(常体)に直してみますと、それぞれの 「ございます」 は、
1 は、「 の隣に がある。」 という 存在 を表し、
2 は、「 の隣は である。」 という 断定 を表し、「 の隣は だ。」 と言い換えることができます。
「である」 は 「であ」 を経て 「だ」 になった 断定の助動詞 ですので、
「だ」 の中に 「で」 が含まれていると考えて差し支えないのでしょうが、
「ございます」 には 「で」 が含まれていませんので、断定 を表す際には 「で」 を付ける必要があります。
さて、「(で)ございます」 は 「です」 「ます」 より丁寧な表現ですが、
前回お話しした、丁寧語の会話例に当てはめてみますと、
「田中さん、電話でございます。」
「どなたでございますか?」
「ABC 商事の鈴木さんでございます。」
となり、「どなた」 と 「鈴木さん」 には、「ございます」 が、しっくり来ないことにお気づきでしょう。
これは、存在 を表す 「ございます」 が、自分側の事に限らず、広く様々な内容を述べる際に使えるのに対し、
断定 を表す 「(で)ございます」 は、自分側の事を述べる場合に使い、相手側には使えない ためです。
「(で)ございます」は、丁寧語であると同時に 謙譲語Ⅱの様相を呈している丁重な表現 と言ってもよいでしょう。
上記の会話を、丁寧語を用いた適切な表現に言い換えますと、
「田中さん、電話でございます。」
↓
「田中さん、お電話です。」
秘書A子さんが上司に取り次ぐ場合は、「お電話でございます。」となるのでしょうが、
田中さんが肩書きの付かない先輩や同期、まして後輩なら、これで
「どなたでございますか?」
↓
「どなたでしょうか?」 「どなたからですか?」
電話の相手に尋ねるのなら、「どちら様でいらっしゃいますか?」となりますが、
この場合は、自分側である同僚との会話ですので、このようにシンプルな丁寧語で
「ABC 商事の鈴木さんでございます。」
↓
「ABC 商事の鈴木様です。」 「ABC 商事の鈴木様からです。」
の会話は二人だけのものですが、このように取り次ぐことになりますと、
その場に居合わせた上司やお客様、そしてもちろん の相手の耳を意識しなくてはなりません。
「誰 」 「鈴木さん」では、たとえその後の言葉遣いが丁寧であっても、
舞台裏が見えてしまったようで、周囲の方に雑な印象を与えてしまいますし、何より相手の方に失礼です。
保留ボタンを押し忘れて、会話が筒抜けになってしまっても慌てることのないよう、気をつけたいものです。
前述したように、存在 を表す「ございます」は、「ある」 「あります」 という意味で広く使える丁寧語です。
「 売り場は地下1階にございます。」
一方、断定 を表す丁寧語 「(で)ございます」 は、自分側には使えますが、相手側には使えません。
「先ほどお電話いたしました、佐藤でございます。」
「お待ちいたしておりました。 佐藤様でございますね。」
「私の郷里は北海道でございます。」
「佐藤様のご郷里は、どちらでございますか?」
*******************************************************************************************
秘書検定の面接試験では、準1級 1級共に、上司に対して報告を行なうという課題がありますが、
「新製品が発売されたそうでございます。」 「大変便利だとのことでございます。」 などの「~でございます」は、
自分側の話ではなく、一般的な話題を伝聞形式で述べるものです。
したがって謙譲語Ⅰの役割はなく、上司に対してひたすら丁寧に述べていると解釈すればよいでしょう。
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1 ある 「 の隣に がございます。」
2 ある 「 の隣は でございます。」
どちらも 「ある」 の丁寧語ですし、よく似た文ですが、1 と 2 の「ございます」 では意味が異なります。
丁寧な言い方(敬体)を、普通の言い方(常体)に直してみますと、それぞれの 「ございます」 は、
1 は、「 の隣に がある。」 という 存在 を表し、
2 は、「 の隣は である。」 という 断定 を表し、「 の隣は だ。」 と言い換えることができます。
「である」 は 「であ」 を経て 「だ」 になった 断定の助動詞 ですので、
「だ」 の中に 「で」 が含まれていると考えて差し支えないのでしょうが、
「ございます」 には 「で」 が含まれていませんので、断定 を表す際には 「で」 を付ける必要があります。
さて、「(で)ございます」 は 「です」 「ます」 より丁寧な表現ですが、
前回お話しした、丁寧語の会話例に当てはめてみますと、
「田中さん、電話でございます。」
「どなたでございますか?」
「ABC 商事の鈴木さんでございます。」
となり、「どなた」 と 「鈴木さん」 には、「ございます」 が、しっくり来ないことにお気づきでしょう。
これは、存在 を表す 「ございます」 が、自分側の事に限らず、広く様々な内容を述べる際に使えるのに対し、
断定 を表す 「(で)ございます」 は、自分側の事を述べる場合に使い、相手側には使えない ためです。
「(で)ございます」は、丁寧語であると同時に 謙譲語Ⅱの様相を呈している丁重な表現 と言ってもよいでしょう。
上記の会話を、丁寧語を用いた適切な表現に言い換えますと、
「田中さん、電話でございます。」
↓
「田中さん、お電話です。」
秘書A子さんが上司に取り次ぐ場合は、「お電話でございます。」となるのでしょうが、
田中さんが肩書きの付かない先輩や同期、まして後輩なら、これで
「どなたでございますか?」
↓
「どなたでしょうか?」 「どなたからですか?」
電話の相手に尋ねるのなら、「どちら様でいらっしゃいますか?」となりますが、
この場合は、自分側である同僚との会話ですので、このようにシンプルな丁寧語で
「ABC 商事の鈴木さんでございます。」
↓
「ABC 商事の鈴木様です。」 「ABC 商事の鈴木様からです。」
の会話は二人だけのものですが、このように取り次ぐことになりますと、
その場に居合わせた上司やお客様、そしてもちろん の相手の耳を意識しなくてはなりません。
「誰 」 「鈴木さん」では、たとえその後の言葉遣いが丁寧であっても、
舞台裏が見えてしまったようで、周囲の方に雑な印象を与えてしまいますし、何より相手の方に失礼です。
保留ボタンを押し忘れて、会話が筒抜けになってしまっても慌てることのないよう、気をつけたいものです。
前述したように、存在 を表す「ございます」は、「ある」 「あります」 という意味で広く使える丁寧語です。
「 売り場は地下1階にございます。」
一方、断定 を表す丁寧語 「(で)ございます」 は、自分側には使えますが、相手側には使えません。
「先ほどお電話いたしました、佐藤でございます。」
「お待ちいたしておりました。 佐藤様でございますね。」
「私の郷里は北海道でございます。」
「佐藤様のご郷里は、どちらでございますか?」
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秘書検定の面接試験では、準1級 1級共に、上司に対して報告を行なうという課題がありますが、
「新製品が発売されたそうでございます。」 「大変便利だとのことでございます。」 などの「~でございます」は、
自分側の話ではなく、一般的な話題を伝聞形式で述べるものです。
したがって謙譲語Ⅰの役割はなく、上司に対してひたすら丁寧に述べていると解釈すればよいでしょう。
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