せっかくの敬語も、使い方を間違えてしまいますと、相手に敬意や心遣いが伝わらないばかりか、
かえって失礼になってしまうことさえあります。
敬語の間違えやすい使い方として、今日は 「二重敬語」 についてお話しいたします。
一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったものを 「二重敬語」 といいます。
たとえば 「歩く」 を尊敬語で表すには、
1 尊敬語を作る公式 「お~ (に) なる」 に当てはめて、「お歩きになる」
例) 「ゆっくり お歩きになっても 10 分で到着します」
2 尊敬の助動詞 「~ れる・られる」 を使って、「歩かれる」
例) 「バスの本数が少ないので、歩かれた方が早いと思います」
どちらか一方で尊敬語になるのに、両方を使って 「お歩きになられる」 と言ってしまう背景には、
「敬語は長いほど丁寧に聞こえる」 という思い込みがあるのかも知れませんね。
ただし、敬語を二重に使っても 「二重敬語」 には該当しない場合もあります。
例外 1 習慣として定着している語
「お召し上がりになる」 「お見えになる」
「召し上がる」 「見える」 だけでも尊敬語になるのですが、
「~ (に) なる」 を付けることが、習慣として定着 しています。
例外 2 敬語連結( ふたつの尊敬語を、接続助詞である 「て」 で繋げたもの )
例) 「お客様がお読みになって いらっしゃる」
「お客様が読んでいる」 の 「読む」 と 「いる」 を、
尊敬語の 「お読みになる」 と 「いらっしゃる」 にして、「て」 で繋げた。
例) 「お客様がお読みになって くださる」
「お客様が読んでくれる」 の 「読む」 と 「くれる」 を、
尊敬語の 「お読みになる」 と 「くださる」 にして、「て」 で繋げた。
これらは、個々の尊敬語の使い方が適切であり、結びつきに不合理がないため許容されているものです。
*******************************************************************************
秘書検定の面接試験では、来客役の面接官に対して、秘書になりきって話します。
第 92回の 「状況対応」(準1級) では、このような課題が出されました。
「 いらっしゃい。(お辞儀をする)
(前傾姿勢で言う) 山田部長はすぐに来るので、椅子に座って待ってくれ。(椅子を指し示す) 」
これを適切な敬語に直すのですが、解答例には次のように書かれています。(動作は省きます)
「 いらっしゃいませ。
(部長の) 山田はすぐに参りますので、椅子にお掛けになってお待ちください(ませ) 」
「お掛けになってお待ちください」 という箇所が、「敬語連結」 に該当しますが、
「て」 を付ければよいというものではなく、前後の語を適切な尊敬語に整えることが必要です。
「座ってお待ちください」 では、「座る」 が尊敬語になっていません。
「お座りになって待っていてください」 では、「待つ」 が尊敬語になっていません。
「お座りになられてお待ちください」 では、「お座りになられ」 が 「二重敬語」 です。
ところで、課題文の 「座る」 が、解答例では 「掛ける」 になっていることにお気づきでしょうか?
「座る」 と 「掛ける」 の違いは?
畳や床には 「座る」 と言いますが、脚の付いた椅子やソファーには、「座る」 も 「掛ける」 も使います。
そういう意味では、「掛ける」 より 「座る」 の方が、使用範囲が広いと言えるでしょう。
また、「掛ける」 よりも 「座る」 の方が、時間が長くなる場合に使うと聞いたことがあります。
昔は、「お嫁に行くまでの、ほんの腰掛け」 と言って、社会勉強のために働く女性もいましたっけ。
さて、「食べられる・飲まれる」 より 「召し上がる」 、 「着られる」 より 「お召しになる」 の方が、
そして 「お座りになる」 よりも 「お掛けになる」 と言った方が、スマートではありませんか?
相手の動作をそのまま述べるより、別の言い方をした方が奥ゆかしく、上品に聞こえるようです。
ちなみに座布団を勧めるときは、「お座りください」 ではなく、「どうぞ おあてください 」 と言います。
ひとつの動作にも、さまざまな言い方があります。
それもまた、日本語の魅力ですね。
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かえって失礼になってしまうことさえあります。
敬語の間違えやすい使い方として、今日は 「二重敬語」 についてお話しいたします。
一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったものを 「二重敬語」 といいます。
たとえば 「歩く」 を尊敬語で表すには、
1 尊敬語を作る公式 「お~ (に) なる」 に当てはめて、「お歩きになる」
例) 「ゆっくり お歩きになっても 10 分で到着します」
2 尊敬の助動詞 「~ れる・られる」 を使って、「歩かれる」
例) 「バスの本数が少ないので、歩かれた方が早いと思います」
どちらか一方で尊敬語になるのに、両方を使って 「お歩きになられる」 と言ってしまう背景には、
「敬語は長いほど丁寧に聞こえる」 という思い込みがあるのかも知れませんね。
ただし、敬語を二重に使っても 「二重敬語」 には該当しない場合もあります。
例外 1 習慣として定着している語
「お召し上がりになる」 「お見えになる」
「召し上がる」 「見える」 だけでも尊敬語になるのですが、
「~ (に) なる」 を付けることが、習慣として定着 しています。
例外 2 敬語連結( ふたつの尊敬語を、接続助詞である 「て」 で繋げたもの )
例) 「お客様がお読みになって いらっしゃる」
「お客様が読んでいる」 の 「読む」 と 「いる」 を、
尊敬語の 「お読みになる」 と 「いらっしゃる」 にして、「て」 で繋げた。
例) 「お客様がお読みになって くださる」
「お客様が読んでくれる」 の 「読む」 と 「くれる」 を、
尊敬語の 「お読みになる」 と 「くださる」 にして、「て」 で繋げた。
これらは、個々の尊敬語の使い方が適切であり、結びつきに不合理がないため許容されているものです。
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秘書検定の面接試験では、来客役の面接官に対して、秘書になりきって話します。
第 92回の 「状況対応」(準1級) では、このような課題が出されました。
「 いらっしゃい。(お辞儀をする)
(前傾姿勢で言う) 山田部長はすぐに来るので、椅子に座って待ってくれ。(椅子を指し示す) 」
これを適切な敬語に直すのですが、解答例には次のように書かれています。(動作は省きます)
「 いらっしゃいませ。
(部長の) 山田はすぐに参りますので、椅子にお掛けになってお待ちください(ませ) 」
「お掛けになってお待ちください」 という箇所が、「敬語連結」 に該当しますが、
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「座る」 と 「掛ける」 の違いは?
畳や床には 「座る」 と言いますが、脚の付いた椅子やソファーには、「座る」 も 「掛ける」 も使います。
そういう意味では、「掛ける」 より 「座る」 の方が、使用範囲が広いと言えるでしょう。
また、「掛ける」 よりも 「座る」 の方が、時間が長くなる場合に使うと聞いたことがあります。
昔は、「お嫁に行くまでの、ほんの腰掛け」 と言って、社会勉強のために働く女性もいましたっけ。
さて、「食べられる・飲まれる」 より 「召し上がる」 、 「着られる」 より 「お召しになる」 の方が、
そして 「お座りになる」 よりも 「お掛けになる」 と言った方が、スマートではありませんか?
相手の動作をそのまま述べるより、別の言い方をした方が奥ゆかしく、上品に聞こえるようです。
ちなみに座布団を勧めるときは、「お座りください」 ではなく、「どうぞ おあてください 」 と言います。
ひとつの動作にも、さまざまな言い方があります。
それもまた、日本語の魅力ですね。
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新入社員研修、お疲れさまでした
>敬語には本当に苦戦しています。
言葉というものは、聞いているうちに覚えるものですから、
周囲の大人が敬語で話しているのを聞く機会が少ないと、
外国語を習得するような大変さが伴うかも知れませんね。
>思わず「オレ」・・・・・
私が担当した新入社員は、「自分」
高齢の方が多くお見えになる職場ですので、
軍隊を連想させるような言葉は控えましょうね、と指導しました。
りっちゃんは、外国籍の方も担当していらっしゃるのですね。
NHK の外国人向けの番組「使える! 伝わる日本語」を見ますと、
基本に忠実で、日本人より丁寧に話す方がいらっしゃいますものね。
全国の新入社員の皆さんも、新しい事をどんどん吸収できる若さで、
爽やかな敬語や所作を身につけていただきたいものです。
若い方は、お辞儀等からだを使うものは習得が早いのですが、敬語には本当に苦戦しています。
休憩中も、できるだけ「わたくし」と言うように伝えましたが、思わず「オレ」・・・・・
ところで、「お召し上がりになる」「お見えになる」は、正に二重敬語と言われそうでしたが、「慣用句」ということで納得していただきました。
これからも、世の中の矛盾に沢山つき合うのですから、この程度の矛盾には慣れて欲しいものですよね。
それにしても、外国籍の新入社員の日本語は、余計な癖がないせいか基本通りで、敬語もよくできていて感心しました。
新入社員の皆さんには、早く、敬語が似合うビジネスパーソンになって欲しいですね。
応援しています!