Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(32)

2013-02-25 00:15:00 | コラム
まん・おん・ざ・「むーん」→「むーん」りっとないと(ムーンリットナイト)

流行といっていいのかどうか、
90年代にエイズ、あるいはHIVを扱った映画が続々と制作された。

実際にエイズ患者、HIV感染者が異常に増えた時期であり、映画が社会の鏡といわれるのは、そうした背景を貪欲に取り入れる「体質」があるからだろう。

そういった視点で捉えると、90年代に比べてエイズ/HIVを扱った映画が少なくなった現代というのは、この問題が解消されていっているのか・・・というと、そんなこともない。

日本でも陽性反応が出る若者が多いと聞くし、(エイズの場合は)セックスを介する感染症ゆえ、癌には見られない偏見という大きな壁が患者を苦しませる。


映画のなかで描かれたエイズ―そんなテーマでひとつ選ぶとするならば、意外と思われるだろうが『フォレスト・ガンプ』(94)を挙げる。

ガンプの永遠の恋人であったジェニー、彼女は病に倒れ短い生涯を終えるが、それがエイズ「らしい」のである。
「らしい」のだが、そうだとは描かれていない。
描かれていないが、きっとそうなんだろうと思わせる。ラブ&ピースな時代を生きたジェニーは、ジェニーだけを想い続けたガンプとはちがい、カジュアルセックスな日常を送っていたのだから。


ハーモニー・コリンを一躍有名にした『KIDS』(95)、
トム・ハンクスの熱演が印象に残る『フィラデルフィア』(93)、
ペネロペ・クルスがHIV感染症の修道女、しかも妊婦という複雑なキャラクターを好演した『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)、
二重苦・三重苦に悩まされるヒロインはエイズにも苛まれる『プレシャス』(2009)、
エイズになっても彼女を愛し続ける『ユア・マイ・サンシャイン』(2005)などなど、

メインテーマとしてエイズ/HIVを中核に置く映画もあれば、そうでない映画もある。

この難しいテーマに初めてきちんと向き合った映画は『ロングタイム・コンパニオン』(90)―だと思っていたのだが、その前年、イタリア・フランスが合作した『ムーンリットナイト』(89)という作品が公開されていた。

出演はルトガー・ハウアーとナスターシャ・キンスキー、さらにピーター・オトゥールが脇を固めるという、なかなかに豪華な布陣。

ルトガー・ハウアーは新聞記者ジョンを演じる。
彼はエイズ感染者を偽り、周囲がどんな反応を示すか―という差別意識の調査をしている。
だが、かつて「月の美しい夜」(=原題、On A Moonlit Night)に一度だけ関係を持ったことがある知人がエイズで死んだことを知り、不安を抱いたジョンは検査を受ける。すると・・・という物語。


ゲイであるとか、性生活が荒んでいるとか。
身体に触れただけで感染するとか。

自暴自棄になり、ヤリまくって仲間を増やしてやろうとか。


謎の、恐怖の奇病というイメージが未だ残る厄介な病だが、
とりあえず少年少女にいっておく。

コンドームは、ちゃんとつけようね。
ナマのほうが気持ちいいのは分かる、面倒であることも分かるけれど。

まちがっても、『KIDS』の主人公のような振る舞いをしてはいけないよ。


※この映画も忘れるわけにはいかない。
「きょう、あの子の大事な親友が亡くなったの。葬式に行かせてあげて」「もうひとつ、今度あの子に手を上げたら、あなたを殺すわよ」

他人の母親に実子のことをこんな風にいわれたら、かーちゃんも変わるわよね。

ブレッド・レンフロって、もうこの世には居ない―という現実が未だピンとこない、『マイ・フレンド・フォーエバー』より





次回のしりとりは・・・
むーんりっとない「と」→「と」にー・もんたな。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『Goldfinger、2013』

コメント (3)
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