Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

煙が目にしみた

2013-02-04 00:30:00 | コラム
20年前の出来事である―。

当時、やたらめったらいろんな女子とデートしていた。
ヤケクソっていうくらいに。

「もちろん」モテていたわけではない。
新聞奨学生の先輩に俳優を志すイケメンが居て、そのひとがお客さんを次々と喰っていた。
学生寮に住む女子大生を片っ端から、さらに主婦と楽しんだり。

あまりにも遊びが過ぎ、結果、新聞専売所のなかでは極端に浮いた存在となり、仲良くするのは自分くらいだった。
自分は毎晩のように先輩から自慢話(だったと思う)を聞かされ、羨ましくなって、身の丈ではないと自覚しつつ、見よう見まねで自分の区域の独り暮らし女子に声をかけてみたのだった。

きっと暗過ぎる高校生時代の反動だったんだろう、ヤリタイヤリタイ病に罹っていたんだろう、
ダメモトに近かったが、答えは意外にも「いいですよ、食事くらいなら」というのが多かった。

モテている―と錯覚した自分は調子に乗って、さらに女子に声をかけまくる。
約束を取りつけてはシナリオ執筆そっちのけで、お洒落(と思っていたが、たぶんダサかった)をして女子大生と遊びまくった。
もちろん財布にはコンドームが入っていたが、それを使うことは「ほとんど」なかったわけで。


その日の相手は学生寮に住むМさん。
寂しそうに笑う巨乳で、趣味はコスプレだという。

その半年前―度々コラムに記していることだが、新聞配達中に酔っ払いにからまれ、やり返すことが出来なかった自分は道場に通い始め、力に「そこそこ」の自信を持っていた。

半年というのが鍵で、格闘技を始めた連中にとって最も「勘違い」し易い時期にあたる。

「俺、つえーんだぜ」みたいな。

「つえーんだぜ」とは思っていなくとも、自分の力を試したくなる傾向にあるのだった。

こういう風に書けば想像はつくと思うが、そのとおり、実際にヤンキーどもにからまれたのである。


ゲームセンターのUFOキャッチャーでMが欲したぬいぐるみをゲットしたあと、「雰囲気、だいぶいいな。これはエッチに誘えるんじゃね?」と自分は思った。

そこで「まだ帰らなくていい?」と聞くと、彼女は黙ってコクンと頷いた。

高鳴る胸。
右手で彼女の手を握り、左手で財布のコンドームを確認する自分。

こうしてゲームセンターを出たのだが、その直後、二人組のヤンキーが「俺も欲しいぬいぐるみがあるんだけど~」などと声をかけてきたのだ。

逃げるが勝ち?

そういう考えもあるが、なにしろこっちは○○道場でMMAを習いたてなのである。
ここ強調、「習いたて」ね。

格闘技の作法はきっちり覚えたが、もちろん喧嘩慣れしているわけでもない。
しかしMMAは万能だ、だろ? 桜庭さんよ。桜庭さんを倒したシウバのように突進すればいいんだろ。 だろ? シウバさんよ、、、などと、明らかに間違った発想を持っていた。

「自分で取ればいいじゃねーか」

「金、ないんすよー。先輩」
「先輩、格好よく奢ってくださいよー」

明らかに喧嘩慣れしている態度である。

先手必勝か、それとも一発がくるのを待ってから行くべきか。

Mに「大丈夫だから、ちょっと離れていて」といい、ふたりと対峙する自分。

・・・・・。

で、秒殺。

もちろん、自分がやられた。

なにをどうされたかも分からないハヤワザだった。

しかし安心してくれ、金とМだけは守ったぞ、渡さなかったぞっていう。


二人組は、あっという間にどこかに消えていった。

財布やMに固執しなかったところを見ると、単にムシャクシャしていただけだった、、、のかもしれない。

路上に倒れこむ自分は、遠くで見ているはずのМの姿を確認する、、、が、彼女、自分と視線が合うと、どういうわけか一目散に逃げ出してしまったのである。

あれ? みたいな。

あの感じ、べつに警察に通報しに行ったわけでもなさそうだけれど・・・。


そんな痛い目に遭っても、明日はやってくる。

数時間後―顔を腫らした自分は新聞専売所に行き、朝刊配達の準備を始めた。

店長が「どうした? ボコられたか?」

「(苦笑)えぇ、まぁ、そんなところです」
「連絡簿、チェックしておけ。理由は分からんが、契約を解除したいっていうお客さんが居るぞ」
「えっ」

それが、Мだった。

あんなことがあったから、集金で顔をあわせたくないってことなのだろう。


配達前に自販機の前で、煙草を吸っていると。

店長が「だからKのマネをするなってことだよ」とヒトコト。

Kとは、前述したイケメン先輩のことである。

痛い思いをして、おまけに振られて、購読客まで減らしてやんの。


これが青春かもしれないが、煙草の煙がやけに目にしみるなぁ―と感じたのは、たぶん、この20時間後に19歳を迎えたからなのだろう。


・・・・・そんな20年前のエピソードを思い出す自分、きょうで39歳になりました苦笑


※画像は、荒れ狂う少年少女を描いた傑作『バレット・バレイ』。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

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明日のコラムは・・・

『拭いてばかりいる、いろんなモノを。』

コメント (3)
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