Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(50)

2013-08-24 00:30:00 | コラム
い「ど」→「ど」りー(ドリー)

どしんと構え、まったく動かさないのも映画。
忙しなく動き続けるのも、映画。

撮影技法の話である。

どこまで続くのかという固定カメラ(=フィックス)もすごいとは思うけれど、
個人的には、キャラクターとともに動き続けるカメラワークが好き。

カメラもキャラクターの一部ですよ―みたいな映画。

技法といっても、難しいことを語ろうってわけじゃない。
たとえば、こういう映像を格好いいと思うっていうね。

※傑作『グッドフェローズ』(90)より、キャラクターたちの動きをワンショットで捉えるシーン。

「いつ切れる? どこで切れる?」と、ワクワクさせてくれるほどカメラワークが流麗で、じつに気持ちいい。
リズムも抜群だし、流れる音楽も最高。
だからこのシーンだけで、80回は観ている。

これマジな話で、このシーンだけDVDが再生不可能になってしまったくらいなのだ。




キャラクターたちを追うカメラはステディカムといって、
カメラマンの身体に「装着も可能」なほど軽量化されたもの。

動きは滑らかで、ブレも生じさせない。
まさに、カメラもキャラクターの一部であるかのような映像が出来上がる。

70年代に開発され、野心的な映画監督が80年代に実験を繰り返した。
現在ではテレビ番組でも多用される技法だが、それ以前の移動撮影は、カメラをドリー(dolly)と呼ばれる台車に乗せておこなうものが一般的だった。
その理由は、前述したように手持ちだと(臨場感は出るが)ブレまくり、さらに、カメラそのものが「ひじょうに」重たかったからである。

映画の撮影風景といって想起し易いのが、クレーン撮影か、このドリー撮影だと思う。

あらゆる機材を駆使している現場は、とても大がかりで、なんとなく夢を与えてくれるものね。

だが、誤解を恐れずにいえば。
出来上がった映像を見て、あれだけ大がかりな撮影だったのに、こんなものか・・・と思ったことはないだろうか。

でっかい台車にカメラを置き、長~~いレールまで用意して撮影した割には地味な映像じゃないかと。

そう、ドリーで撮られた映像は、けっして派手なものではない。
「動くもの」と並行して撮っているだけだから。

ただ、敢えて並行して撮らない例外もあって、
「動くもの」を追い抜いて「先で待っている」ような映像もあれば、
基本は横移動だが、階段を上るキャラクターを追うために「縦移動をするドリー撮影」なんていうのもある。


初見から撮影技法に注目する必要はないけれど、
好きな作品で何度も何度も観返している―というものがあれば、ぜひカメラの動きや編集のタイミングなどにも目を向けてほしい。

そういうことを繰り返していると、最後に流れるスタッフロールが気になってくるはず。

へぇぇ、カメラクルーがこんなにも居るんだ! とか、第二班の撮影監督ってなんだ? とか、機材レンタル会社っていつもここだよな、、、とか、映画への知的好奇心に火がつくのではないかと。


映画って究極的には監督のものだけれど、監督ひとりじゃどうにも出来ないものね。

監督の「芸術的ワガママ」を実現させるために、スタッフロールに刻印されている人数の倍くらいは「なんらかの」形で協力しているといっていい。

これが、文学や音楽とのおおいなるちがいだと思う。


次回のしりとりは・・・
ど「りー」→「りー」とんぷそん。

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明日のコラムは・・・

『ハードルは高く』

コメント (1)
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