い「ど」→「ど」りー(ドリー)
どしんと構え、まったく動かさないのも映画。
忙しなく動き続けるのも、映画。
撮影技法の話である。
どこまで続くのかという固定カメラ(=フィックス)もすごいとは思うけれど、
個人的には、キャラクターとともに動き続けるカメラワークが好き。
カメラもキャラクターの一部ですよ―みたいな映画。
技法といっても、難しいことを語ろうってわけじゃない。
たとえば、こういう映像を格好いいと思うっていうね。
※傑作『グッドフェローズ』(90)より、キャラクターたちの動きをワンショットで捉えるシーン。
「いつ切れる? どこで切れる?」と、ワクワクさせてくれるほどカメラワークが流麗で、じつに気持ちいい。
リズムも抜群だし、流れる音楽も最高。
だからこのシーンだけで、80回は観ている。
これマジな話で、このシーンだけDVDが再生不可能になってしまったくらいなのだ。
キャラクターたちを追うカメラはステディカムといって、
カメラマンの身体に「装着も可能」なほど軽量化されたもの。
動きは滑らかで、ブレも生じさせない。
まさに、カメラもキャラクターの一部であるかのような映像が出来上がる。
70年代に開発され、野心的な映画監督が80年代に実験を繰り返した。
現在ではテレビ番組でも多用される技法だが、それ以前の移動撮影は、カメラをドリー(dolly)と呼ばれる台車に乗せておこなうものが一般的だった。
その理由は、前述したように手持ちだと(臨場感は出るが)ブレまくり、さらに、カメラそのものが「ひじょうに」重たかったからである。
映画の撮影風景といって想起し易いのが、クレーン撮影か、このドリー撮影だと思う。
あらゆる機材を駆使している現場は、とても大がかりで、なんとなく夢を与えてくれるものね。
だが、誤解を恐れずにいえば。
出来上がった映像を見て、あれだけ大がかりな撮影だったのに、こんなものか・・・と思ったことはないだろうか。
でっかい台車にカメラを置き、長~~いレールまで用意して撮影した割には地味な映像じゃないかと。
そう、ドリーで撮られた映像は、けっして派手なものではない。
「動くもの」と並行して撮っているだけだから。
ただ、敢えて並行して撮らない例外もあって、
「動くもの」を追い抜いて「先で待っている」ような映像もあれば、
基本は横移動だが、階段を上るキャラクターを追うために「縦移動をするドリー撮影」なんていうのもある。
初見から撮影技法に注目する必要はないけれど、
好きな作品で何度も何度も観返している―というものがあれば、ぜひカメラの動きや編集のタイミングなどにも目を向けてほしい。
そういうことを繰り返していると、最後に流れるスタッフロールが気になってくるはず。
へぇぇ、カメラクルーがこんなにも居るんだ! とか、第二班の撮影監督ってなんだ? とか、機材レンタル会社っていつもここだよな、、、とか、映画への知的好奇心に火がつくのではないかと。
映画って究極的には監督のものだけれど、監督ひとりじゃどうにも出来ないものね。
監督の「芸術的ワガママ」を実現させるために、スタッフロールに刻印されている人数の倍くらいは「なんらかの」形で協力しているといっていい。
これが、文学や音楽とのおおいなるちがいだと思う。
次回のしりとりは・・・
ど「りー」→「りー」とんぷそん。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『ハードルは高く』
どしんと構え、まったく動かさないのも映画。
忙しなく動き続けるのも、映画。
撮影技法の話である。
どこまで続くのかという固定カメラ(=フィックス)もすごいとは思うけれど、
個人的には、キャラクターとともに動き続けるカメラワークが好き。
カメラもキャラクターの一部ですよ―みたいな映画。
技法といっても、難しいことを語ろうってわけじゃない。
たとえば、こういう映像を格好いいと思うっていうね。
※傑作『グッドフェローズ』(90)より、キャラクターたちの動きをワンショットで捉えるシーン。
「いつ切れる? どこで切れる?」と、ワクワクさせてくれるほどカメラワークが流麗で、じつに気持ちいい。
リズムも抜群だし、流れる音楽も最高。
だからこのシーンだけで、80回は観ている。
これマジな話で、このシーンだけDVDが再生不可能になってしまったくらいなのだ。
キャラクターたちを追うカメラはステディカムといって、
カメラマンの身体に「装着も可能」なほど軽量化されたもの。
動きは滑らかで、ブレも生じさせない。
まさに、カメラもキャラクターの一部であるかのような映像が出来上がる。
70年代に開発され、野心的な映画監督が80年代に実験を繰り返した。
現在ではテレビ番組でも多用される技法だが、それ以前の移動撮影は、カメラをドリー(dolly)と呼ばれる台車に乗せておこなうものが一般的だった。
その理由は、前述したように手持ちだと(臨場感は出るが)ブレまくり、さらに、カメラそのものが「ひじょうに」重たかったからである。
映画の撮影風景といって想起し易いのが、クレーン撮影か、このドリー撮影だと思う。
あらゆる機材を駆使している現場は、とても大がかりで、なんとなく夢を与えてくれるものね。
だが、誤解を恐れずにいえば。
出来上がった映像を見て、あれだけ大がかりな撮影だったのに、こんなものか・・・と思ったことはないだろうか。
でっかい台車にカメラを置き、長~~いレールまで用意して撮影した割には地味な映像じゃないかと。
そう、ドリーで撮られた映像は、けっして派手なものではない。
「動くもの」と並行して撮っているだけだから。
ただ、敢えて並行して撮らない例外もあって、
「動くもの」を追い抜いて「先で待っている」ような映像もあれば、
基本は横移動だが、階段を上るキャラクターを追うために「縦移動をするドリー撮影」なんていうのもある。
初見から撮影技法に注目する必要はないけれど、
好きな作品で何度も何度も観返している―というものがあれば、ぜひカメラの動きや編集のタイミングなどにも目を向けてほしい。
そういうことを繰り返していると、最後に流れるスタッフロールが気になってくるはず。
へぇぇ、カメラクルーがこんなにも居るんだ! とか、第二班の撮影監督ってなんだ? とか、機材レンタル会社っていつもここだよな、、、とか、映画への知的好奇心に火がつくのではないかと。
映画って究極的には監督のものだけれど、監督ひとりじゃどうにも出来ないものね。
監督の「芸術的ワガママ」を実現させるために、スタッフロールに刻印されている人数の倍くらいは「なんらかの」形で協力しているといっていい。
これが、文学や音楽とのおおいなるちがいだと思う。
次回のしりとりは・・・
ど「りー」→「りー」とんぷそん。
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前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『ハードルは高く』