<14年度総括、第12弾>
本年度の総括、その最後は「もちろん」映画。
まずは2日をかけて、個人的なベスト20を展開したい。
去年も同じことをいっていたような気がするけれど・・・
「ランクインした映画、ぜんぜん観ていない」という感想メールやコメントを沢山もらうのね。
自分からしたら、「それでいい。というか、そうじゃないと困る」。
自分はLiLiCoや有村昆ではないので、放っておいてもヒットする映画への言及は「極力」避けているんです。
「こういう映画があるけど、どう?」と紹介したいひと、なんです。
だから「全部観てた!」という感想より、「ぜんぜん観てない。でも、これが観たい!」という感想のほうがうれしい。
それを理解したうえで、極私的なベスト20を読んでくださいね!!
※13年12月~14年11月に日本で劇場公開された映画を対象とする
第20位『捨てがたき人々』
ジョージ秋山の傑作漫画を映像化、日々を懸命に生きるダメ人間たちを「突き放しつつ」愛情たっぷりに描き出した。
大森南朋の安定感より、三輪ひとみの不安定感、貫禄の美保純にこころ動かされた。
この映画を支えているのは、女たちなのだ。
第19位『ブルージャスミン』
ハズレなしの驚異的なキャリアでコンスタントに新作を発表し続けるウディ・アレンの、ここ10年を代表するであろう佳作。
アレン版の『こわれゆく女』、そう解釈するのが正しいのかも。
オスカー主演賞を受賞したケイト・ブランシェットはもちろん素晴らしいが、
さほど美人とはいえないサリー・ホーキンスがひじょうに魅力的で、相変わらずアレンは「俳優のツラ選び」が抜群である。
第18位『るろうに剣心 京都大火編』
人気コミックを3部作にして映画化、そのどれもが「いちおうの成功」を収めたという、日本映画としては稀なケース。
完成度という点ではこの2作目が最も優れていて、3作目の公開日がとても待ち遠しかった。
これを殺陣と呼べるのか―?
そんな疑問を投げかける向きもあり、たしかにそうなのだが、この躍動感・疾走感は日本の時代劇で味わったことのないもので、そこが新鮮だった。
第17位『セッションズ』
(ポリオを患ったことにより)首から下が麻痺してしまった詩人のマーク、現在38歳。
彼は新しい介護士アマンダにこころを奪われ、ほとんど諦めかけていた「童貞の卒業」を夢見るようになる。
障害を持つ主人公、彼に寄り添おうとするセックス・セラピストのシェリル、そしてふたりの恋を成就させようとするブレンダン神父―きわどいテーマをユーモアたっぷりに描き、米産インディーズの底力を見せつけられた思いがした。
いちばんに賛辞を送るべきなのは、シェリルを演じたヘレン・ハントだろう。
オスカー授賞式にH&Mのドレスを着て悪口を書かれたが、そんな気取らない精神の持ち主だからこそ、こんなに難しいキャラクターを演じられたのかもしれない。
第16位『小さいおうち』
山田洋次、御歳83。
50年のキャリアにおいて「初」といっていい艶っぽい物語に挑戦、映画小僧たちに新鮮な感動を与えてくれた。
中島京子による直木賞受賞作を映像化、女中奉公する娘タキの視点で描かれる、戦中の庶民の暮らし、そして禁断の恋…。
女中タキ役の黒木華は可憐で瑞々しく、まさに適役。
けれども14年度の総括という意味では、『アナ雪』もあったことだし、本年は「松たかyear」だった、、、と結ぶことが出来そうだ。
第15位『ホドロフスキーのDUNE』
「失敗してもかまわない、それも一つの選択なのだ」
フランク・ハーバードの壮大なSF小説『デューン』に惚れ込み、それを映像化しようと試みた鬼才たちの記録。
ダリ、ギーガー、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ・・・最高の表現者たちが「一瞬とはいえ」同じ方向に歩もうとしていたことだけは事実であり、そこにロマンを感じる。
結果的には失敗に終わった、幻の映画企画―けれども、これほど楽しく、元気の出るドキュメンタリー映画は滅多にお目にかかれない。
映画小僧にとっての最良のテキストの誕生に、乾杯。
第14位『her/世界でひとつの彼女』…トップ画像
元妻のことが忘れられない傷心の作家が、人工知能(AI)を有するオペレーティング・システム(OS)に恋をした。
近い将来、起こらないともかぎらない物語を繊細に紡いだスパイク・ジョーンズの脚本はオスカーに輝き、
また、キレ芸ばかりが話題になっていたホアキン・フェニックスの「別の側面」を引き出すことにも成功している。
カレン・Oによる主題歌『The Moon Song』は胸に染み入り、個人的には『レリゴー♪』より好きだ。
第13位『かぐや姫の物語』
「私は、生きるために生まれてきたのです」
『となりの山田くん』の失敗? から15年―高畑勲が再び「あの描線」で挑む、愛と情熱と復讐のアニメーション。
誰もが知っているはずの『竹取物語』が初めて触れる物語のように感じ、後半、その美しさとやるせなさに思わず涙してしまった。
どちらがよいとかそういうことではなく、
宮崎爺は表現において現在の「半歩」先を、高畑爺は「一歩」先を目指しているように思う。
いずれにせよ、たいしたジジイだよ。
第12位『グランド・ブダペスト・ホテル』
俊英ウェス・アンダーソンによる、コミカルな群像劇。
白銀の世界とカラフルなホテルの対比、凝ったカメラワークとズレた笑い―本年「最も明るい気持ちになった」佳作であり、
自分がもう少し若かったら、こういうのをデートムービーにしたいなぁ、、、などと「ひとりでスクリーンを眺めつつ」妄想に耽った。
なにがなんでも、このひとの映画に出たい―米国映画の強みは、俳優たちにそう思わせる映画監督が「相当数」存在すること、なのではないかな。
第11位『アクト・オブ・キリング』
「俺は、悪者なのか?」
65年、インドネシアでン百人どころの話ではない大虐殺が起こった。
この映画は、罪に問われることなく「ふつうの暮らし」を続ける加害者たちに、当時の地獄絵図を再現してもらおうとする、かなり野心的なドキュメンタリーである。
正気と狂気、真実と虚構の狭間で揺れる彼らを見ていると、こっちのモラルまで狂ってしまう。
そういう意味では鑑賞には覚悟の要る、、、しかし、これほど刺激的なドキュメンタリーは『ゆきゆきて、神軍』以来であるからして、映像表現とはなにか?なんてなことを哲学するものは、学校や会社を休んででも観なければなるまい。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『光と影の世界、ここで死にたい その弐』
本年度の総括、その最後は「もちろん」映画。
まずは2日をかけて、個人的なベスト20を展開したい。
去年も同じことをいっていたような気がするけれど・・・
「ランクインした映画、ぜんぜん観ていない」という感想メールやコメントを沢山もらうのね。
自分からしたら、「それでいい。というか、そうじゃないと困る」。
自分はLiLiCoや有村昆ではないので、放っておいてもヒットする映画への言及は「極力」避けているんです。
「こういう映画があるけど、どう?」と紹介したいひと、なんです。
だから「全部観てた!」という感想より、「ぜんぜん観てない。でも、これが観たい!」という感想のほうがうれしい。
それを理解したうえで、極私的なベスト20を読んでくださいね!!
※13年12月~14年11月に日本で劇場公開された映画を対象とする
第20位『捨てがたき人々』
ジョージ秋山の傑作漫画を映像化、日々を懸命に生きるダメ人間たちを「突き放しつつ」愛情たっぷりに描き出した。
大森南朋の安定感より、三輪ひとみの不安定感、貫禄の美保純にこころ動かされた。
この映画を支えているのは、女たちなのだ。
第19位『ブルージャスミン』
ハズレなしの驚異的なキャリアでコンスタントに新作を発表し続けるウディ・アレンの、ここ10年を代表するであろう佳作。
アレン版の『こわれゆく女』、そう解釈するのが正しいのかも。
オスカー主演賞を受賞したケイト・ブランシェットはもちろん素晴らしいが、
さほど美人とはいえないサリー・ホーキンスがひじょうに魅力的で、相変わらずアレンは「俳優のツラ選び」が抜群である。
第18位『るろうに剣心 京都大火編』
人気コミックを3部作にして映画化、そのどれもが「いちおうの成功」を収めたという、日本映画としては稀なケース。
完成度という点ではこの2作目が最も優れていて、3作目の公開日がとても待ち遠しかった。
これを殺陣と呼べるのか―?
そんな疑問を投げかける向きもあり、たしかにそうなのだが、この躍動感・疾走感は日本の時代劇で味わったことのないもので、そこが新鮮だった。
第17位『セッションズ』
(ポリオを患ったことにより)首から下が麻痺してしまった詩人のマーク、現在38歳。
彼は新しい介護士アマンダにこころを奪われ、ほとんど諦めかけていた「童貞の卒業」を夢見るようになる。
障害を持つ主人公、彼に寄り添おうとするセックス・セラピストのシェリル、そしてふたりの恋を成就させようとするブレンダン神父―きわどいテーマをユーモアたっぷりに描き、米産インディーズの底力を見せつけられた思いがした。
いちばんに賛辞を送るべきなのは、シェリルを演じたヘレン・ハントだろう。
オスカー授賞式にH&Mのドレスを着て悪口を書かれたが、そんな気取らない精神の持ち主だからこそ、こんなに難しいキャラクターを演じられたのかもしれない。
第16位『小さいおうち』
山田洋次、御歳83。
50年のキャリアにおいて「初」といっていい艶っぽい物語に挑戦、映画小僧たちに新鮮な感動を与えてくれた。
中島京子による直木賞受賞作を映像化、女中奉公する娘タキの視点で描かれる、戦中の庶民の暮らし、そして禁断の恋…。
女中タキ役の黒木華は可憐で瑞々しく、まさに適役。
けれども14年度の総括という意味では、『アナ雪』もあったことだし、本年は「松たかyear」だった、、、と結ぶことが出来そうだ。
第15位『ホドロフスキーのDUNE』
「失敗してもかまわない、それも一つの選択なのだ」
フランク・ハーバードの壮大なSF小説『デューン』に惚れ込み、それを映像化しようと試みた鬼才たちの記録。
ダリ、ギーガー、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ・・・最高の表現者たちが「一瞬とはいえ」同じ方向に歩もうとしていたことだけは事実であり、そこにロマンを感じる。
結果的には失敗に終わった、幻の映画企画―けれども、これほど楽しく、元気の出るドキュメンタリー映画は滅多にお目にかかれない。
映画小僧にとっての最良のテキストの誕生に、乾杯。
第14位『her/世界でひとつの彼女』…トップ画像
元妻のことが忘れられない傷心の作家が、人工知能(AI)を有するオペレーティング・システム(OS)に恋をした。
近い将来、起こらないともかぎらない物語を繊細に紡いだスパイク・ジョーンズの脚本はオスカーに輝き、
また、キレ芸ばかりが話題になっていたホアキン・フェニックスの「別の側面」を引き出すことにも成功している。
カレン・Oによる主題歌『The Moon Song』は胸に染み入り、個人的には『レリゴー♪』より好きだ。
第13位『かぐや姫の物語』
「私は、生きるために生まれてきたのです」
『となりの山田くん』の失敗? から15年―高畑勲が再び「あの描線」で挑む、愛と情熱と復讐のアニメーション。
誰もが知っているはずの『竹取物語』が初めて触れる物語のように感じ、後半、その美しさとやるせなさに思わず涙してしまった。
どちらがよいとかそういうことではなく、
宮崎爺は表現において現在の「半歩」先を、高畑爺は「一歩」先を目指しているように思う。
いずれにせよ、たいしたジジイだよ。
第12位『グランド・ブダペスト・ホテル』
俊英ウェス・アンダーソンによる、コミカルな群像劇。
白銀の世界とカラフルなホテルの対比、凝ったカメラワークとズレた笑い―本年「最も明るい気持ちになった」佳作であり、
自分がもう少し若かったら、こういうのをデートムービーにしたいなぁ、、、などと「ひとりでスクリーンを眺めつつ」妄想に耽った。
なにがなんでも、このひとの映画に出たい―米国映画の強みは、俳優たちにそう思わせる映画監督が「相当数」存在すること、なのではないかな。
第11位『アクト・オブ・キリング』
「俺は、悪者なのか?」
65年、インドネシアでン百人どころの話ではない大虐殺が起こった。
この映画は、罪に問われることなく「ふつうの暮らし」を続ける加害者たちに、当時の地獄絵図を再現してもらおうとする、かなり野心的なドキュメンタリーである。
正気と狂気、真実と虚構の狭間で揺れる彼らを見ていると、こっちのモラルまで狂ってしまう。
そういう意味では鑑賞には覚悟の要る、、、しかし、これほど刺激的なドキュメンタリーは『ゆきゆきて、神軍』以来であるからして、映像表現とはなにか?なんてなことを哲学するものは、学校や会社を休んででも観なければなるまい。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『光と影の世界、ここで死にたい その弐』